先生があなたに伝えたいこと / 【星川 直哉】患者さんが自分の家族だったらと考え、様々な治療の選択肢の中から最適な治療法を提案しています。

先生があなたに伝えたいこと

【星川 直哉】患者さんが自分の家族だったらと考え、様々な治療の選択肢の中から最適な治療法を提案しています。

医療法人社団 田島厚生会 神谷病院 星川 直哉先生

医療法人社団 田島厚生会 神谷病院
ほしかわ なおや
星川 直哉 先生
専門:股関節膝関節

星川先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 2022年に理事長に就任してからは、患者さんが病院に何を期待しているのかを気にかけています。

2.休日には何をして過ごしますか?
 自転車が趣味で、ロードバイクで荒川土手を走るのを楽しんでいます。

先生からのメッセージ

患者さんが治療を選ぶことができる時代ですが、情報が多ければ何が自分にあった治療なのかを判断するのは難しくなると思います。患者さんが自分の家族だったらと考え、様々な治療の選択肢の中から最適な治療法を提案しています。

このインタビュー記事は、リモート取材で編集しています。

股関節の仕組みと疾患

股関節の構造Q. まず始めに股関節の構造について教えてください。

A. 股関節は人体で最も大きな関節の一つで、大腿骨の先端にある球状の大腿骨頭(だいたいこっとう)が骨盤側で受け皿となる寛骨臼(かんこつきゅう)にはまり込む球関節です。立ったり座ったりする際に大きな負荷がかかる関節で、関節の表面は軟骨というクッションのような組織で覆われ、周囲の強靭な靭帯によって安定性が保たれています。

Q. 股関節の代表的な疾患について教えてください。

A. 最も多いのは軟骨が変性し、関節の内側にある滑膜(かつまく)が炎症を起こして痛みを感じるようになる変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)です。日本人には寛骨臼のつくりが生まれつき浅い臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)が多く、体重が一部に集中して軟骨が早くすり減ってしまうことも原因とされています。臼蓋形成不全は女性に多く、変形性股関節症は40~50歳以降の女性によくみられます。また、高齢者に多いのは、骨頭のすぐ下にある頸部という細くくびれた部分が転倒などの衝撃で折れてしまう大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)を含む大腿骨近位部骨折です。

変形性股関節症

正常 臼蓋形成不全

Q. どんな痛みが起こるのでしょうか?

A. 変形性股関節症は、立ち上がりや歩き始めに股関節周辺、お尻や太腿が痛むことが多いとされています。骨折ともなれば立っていられないほどの激痛で、救急車で搬送されて手術が必要になるケースがほとんどです。

Q. 変形性股関節症の治療法について教えてください。

A. はじめは保存療法といって、薬物療法やストレッチ、筋力トレーニングなどの運動療法、超音波などによる物理療法で症状の改善をはかります。痛みを抑えるのに杖をつくのもお勧めです。薬は、非ステロイド性消炎鎮痛剤やアセトアミノフェンなどの痛みを緩和する薬を投与します。こういった保存療法で効果がみられず、生活にも支障が出るようであれば手術を勧めます。

Q. どのような手術になりますか?

医療法人社団 田島厚生会 神谷病院 星川 直哉先生A. 骨盤や大腿骨を切って関節の向きを変えることで関節の接触面積を増やしたり、骨を切って荷重する部分に正常な軟骨が来るように形状を変更する骨切り術(こつきりじゅつ)か、傷んだ箇所を人工物に換える人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ)が主に行われます。骨切り術は関節を温存できるのがメリットですが、変形が強い方や中高年以降の方は手術後にも変形が進んでしまうことが多いため、50歳くらいまでの方が適応となります。人工股関節置換術は以前に比べ人工股関節自体進歩していることもあり、術後の患者さんの満足度が高く、痛みの強い患者さんには、保存療法を長引かせず早めに提案することもあります。

Q. 人工股関節自体は以前に比べて進歩していると伺いましたが、具体的にはどのような点が進歩しているのですか?

A. 軟骨の代わりになるポリエチレンライナーが薄くて摩耗しにくいものが開発された点が大きく進歩しました。これによって人工股関節自体の耐用年数が延びたうえ、ポリエチレンライナーが薄くなった分、中に入れる骨頭ボールが大きくなり術後の脱臼のリスクが減りました。

人工股関節置換術の例

人工股関節置換術の例

骨頭が小さい場合 骨頭が大きい場合

Q. 人工股関節の手術も進歩しているのでしょうか?

A. 筋肉や靭帯を温存する術式が普及し、術後の回復が早くなっています。

膝関節の仕組みと疾患

膝関節の構造Q. 続いて膝関節の構造についても教えてください。

A. 膝関節は大腿骨と脛骨(けいこつ)、膝のお皿の骨である膝蓋骨(しつがいこつ)から成る蝶番(ちょうつがい)のような動きをする関節で、大腿骨と脛骨の間にある複数の靭帯が屈曲や伸展といった膝の複雑な動きを支えています。関節の中に水が溜まると膝の皿の上が腫れてきて、いわゆる「膝に水がたまる」という状態になります。

Q. 膝関節の代表的な疾患について教えてください。

A. スポーツなどによる靭帯損傷や半月板損傷もありますが、最も多いのは軟骨が変性して痛みを感じるようになる変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)です。60歳以上の方の4人に1人が痛みを伴う変形を有しているという調査も出ています。

Q. もはや国民病ですね。変形性膝関節症になる原因は何でしょうか?

A. 原因は様々で、重いものを持つ方や膝を酷使する方、過体重の方は軟骨がすり減りやすい傾向にあります。靭帯や半月板を傷めることも将来的に変形性膝関節症になる可能性を高めるといわれています。患者さんは圧倒的に女性が多く、立ち上がりや歩き始めに痛み、悪化すると長い距離を歩けなくなっていきます。一般的にO脚の方は膝の内側、X脚の人は膝の外側に痛みを感じることが多いです。

Q. 治療法について教えてください。

A. 股関節と同じく保存療法から始め、悪化するようなら骨切り術や人工膝関節置換術(じんこうひざかんせつちかんじゅつ)を提案します。膝関節には、足底板(中敷き)や膝のサポーターを使って症状を軽減させる装具療法もあります。膝関節の骨切り術も50歳くらいまでが適応ですが、人工膝関節置換術後のスポーツは制限される傾向があるため、スポーツを重視される方は60歳以上でも骨切り術を行う方もいます。

人工膝関節置換術の例

人工膝関節置換術の例

Q. 人工膝関節置換術の手術も進歩していますか?

A. 膝関節の複雑な動きを支える"複数の靭帯バランス"を重視する術式が普及した点で進歩したと言えます。

合併症についてなど

フットポンプQ. 手術で考えられる合併症と対策についても教えてください。

A. 最も注意すべきは、エコノミークラス症候群とも呼ばれる下肢深部静脈血栓症肺塞栓症です。手術の出血が落ち着いたら血液をサラサラにする薬を投与し、フットポンプを使って血流をよくして予防に努めています。脚を動かさない時間が長くなるほどリスクが高まるので、手術後は早めにリハビリを始めます。

Q. リハビリはどのようなことをするのでしょうか?

A. 手術翌日から歩行練習を始め、3週間ほどかけて筋力をつけたり、可動域を広げたりするトレーニングを行います。歩行が可能になれば退院とする病院も多いですが、当院では片手にスーパーのレジ袋を持って歩くなど生活に即した運動が可能になることを目指すリハビリも行っています。早期退院を目指すのか、より高いレベルの運動を習得するまで入院でのリハビリを行うのか、患者さんと相談しながらニーズに合わせたリハビリを行います。

Q. 治療にあたってのモットーがありましたら教えてください。

A. まずは、患者さんが治ったら何がしたいか希望を伺い、一人暮らしか、家族に助けてもらえるかといったことも考慮して治療にあたるようにしています。いまは医師が様々な治療の選択肢を提示して患者さんに選んでもらう時代です。患者さんが迷われた場合には、自分の家族だったらどうするかを考え、その方に合った最適な治療法を提案しています。また、手術になった場合には、患者さんが人工関節にしたことを忘れるような手術を行うことを目指しています。

Q. 最後に、関節の痛みに悩まれる方へメッセージをお願いします。

A. 関節の痛みに悩まれる方は多く、少しでも症状が和らぐよう医学的なサポートを行っていきたいと思います。いまは身体に負担の少ない治療の選択肢が増えていますので、痛みを我慢せず、早めにお近くの医療機関にご相談ください。

リモート取材日:2023.9.12

*本文、および動画で述べられている内容は医師個人の見解であり、特定の製品等の推奨、効能効果や安全性等の保証をするものではありません。また、内容が必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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