先生があなたに伝えたいこと / 【横山 光輝】手指の疾患は、画像診断で患部を正確に把握できるようになって治療成績も向上しています。

先生があなたに伝えたいこと

【横山 光輝】手指の疾患は、画像診断で患部を正確に把握できるようになって治療成績も向上しています。

よこやま整形外科 手とリウマチクリニック 横山 光輝先生

よこやま整形外科 手とリウマチクリニック
よこやま みつてる
横山 光輝 先生
専門:手の外科・リウマチ

横山先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 いかに筋肉を保ち、また頭皮の健康を保つか、アンチエイジングが気になり、プラセンタの効能に注目しています。プラセンタを注射した方からは「指の痛みがやわらいだ」「よく眠れるようになった」「肌つやがよくなった」と聞きますが、解明されていないことが多く、情報を収集しているところです。

2.休日には何をして過ごしますか?
 ランニングか家の掃除です。マラソン歴は10年以上になり、今年の金沢マラソンは、これまでに何度も出させてもらった恩返しに救護担当のメディカルランナーとして参加します。掃除は毎回テーマを決めて、家中をピカピカに磨き上げています!

先生からのメッセージ

手指の疾患は、画像診断で患部を正確に把握できるようになって治療成績も向上しています。

このインタビュー記事は、リモート取材で編集しています。

Q. 今回は日常生活で重要な「手」について詳しくお伺いしたいと思います。まず、この繊細な動きをする「手」はどんな構造になっているのでしょうか?

A. 手はたくさんの骨と関節から構成されていて、手首の根元だけで8つの手根骨(しゅこんこつ)があります。さらに中手骨(ちゅうしゅこつ)という骨が5本あり、それぞれの指の骨と繋がっています。また指1本につき指を曲げる屈筋腱(くっきんけん)、指を伸ばす伸筋腱(しんきんけん)という2種類の腱があります。人差し指、小指は伸筋腱が2本ずつ付いていて、腱がバランスよく動くことで複雑な動きに対応できるようになっています。

手の構造と指の4つの関節

母指球

Q. 手の疾患にはどのようなものがありますか? どのような症状が起こるのでしょうか?

A. 代表的な疾患に周囲の組織が弱くなって関節が徐々に変形していく変形性手指関節症(へんけいせいしゅしかんせつしょう)があります。第一関節に変形や痛みが起こる疾患を「ヘバーデン結節」、第二関節に起こる疾患を「ブシャール結節」、親指の付け根に起こるものを「母指CM関節症」と呼んでいます。親指は開いたり閉じたり持ち上げたり様々な働きをするので負荷がかかりやすく、母指CM関節症に悩まれている方はとくに多い印象です。
変形性手指関節症の患者さんは40代以降の女性で、変形して痛みや腫れが起こり他の指もそうなるのではと不安になって受診される方が多いです。女性は更年期になって女性ホルモンが減少すると関節が腫れぼったくなって握りにくくなったり、無理に動かすと痛みを感じ、進行すると安静時にも痛んだりすることがあります。

Q. 手の疾患が起こる原因は何でしょうか?

A. 女性は家事などで「つまむ」動作が男性と比べて多いことが一因と考えられています。関節が弱くなる更年期に指先にグッと力を入れるような仕事をしている方は、変形性手指関節症の症状が生じやすくなります。

よこやま整形外科 手とリウマチクリニック 横山 光輝先生Q. 手の疾患の治療法について教えてください。

A. 変形が軽度で腫れや痛みが出てきた場合、女性ホルモンのような働きをするサプリの摂取を勧めています。ただ、これはホルモン療法ではなく、ポリフェノール成分で症状の改善をはかるもので、非常に安全な方法ですが、効き目があるのは5割程度です。変形が進んでからでは効果が薄いので、できるだけ早い段階から摂取することが大切です。
変形が進行して強い痛みが続く場合には、関節固定や骨切除、人工指関節を検討します。局所麻酔の場合は日帰り手術も可能です。手術した方からは、「長年、関節が曲げづらかったのが曲がるようになった」「力が入りやすくなった」という声をいただいています。

Q. 手の疾患を予防する方法はありますか?

A. 第一、第二関節を動かす伸筋腱や屈筋腱の緊張が続くと関節部の圧が高くなり、変形へとつながりやすいので、筋肉や腱を温め、ストレッチやマッサージで緩ませることが予防につながります。普段から関節に負担がかからないように、つまむ動作をする時にはもう片方の手を添えるなど、できるだけ一ヵ所に負荷が集中しないようにすべきです。
手指を専門に診る整形外科は少なく、一般の整形外科で「様子をみていればそのうち痛みはなくなる」と言われて痛みを我慢して長年放置した結果、強い変形が残って関節が硬くなってしまっているケースが非常に多いです。違和感が続くようなら、変形が進んで関節が硬くなる前に手指を専門に診る医師がいる医療機関を受診してほしいと思います。

Q. 手の外傷にはどのようなものがありますか? 治療法についても教えてください。

A. 60代以上の女性に多いのがコーレス骨折(橈骨遠位端骨折:とうこつえんいたんこっせつ)といって、つまずいて手をついた衝撃で橈骨(とうこつ)という手首の骨が折れてしまう疾患です。若い頃は手をついたぐらいでは折れなかったのが、骨粗鬆症で骨が脆くなったために強く手をついたことで簡単に折れてしまうことがあります。

橈骨遠位端骨折

骨折の治療は、整復(骨の位置を正常な位置に戻すこと)し、ギブスで固定します。骨粗鬆症で骨が弱い方の場合はプレートで固定をすることもあります。
骨粗鬆症の方は、一度骨折すると他の部分も骨折しやすくなるので、骨密度を測り、骨粗鬆症の治療を行いながらレントゲンで経過をみています。

Q. 手の外傷を防ぐにはどのようにしたらよいでしょうか?

A. 女性は更年期を過ぎたら骨粗鬆症の検査を行い、骨密度が低い場合には症状がなくても薬の内服など骨粗鬆症の治療をしておくことです。転倒予防のために足腰を鍛えておくことも大切です。日の当たるところで散歩するだけでも十分効果がありますよ。

Q. もし、ケガをしてしまったらどうしたらよいですか?

A. 氷をビニール袋に入れてタオルでくるんだもので患部を冷やし、段ボールで動かないよう固定し、すみやかに医療機関を受診してください。

Q. 最新の技術と設備で手術は安全になっているそうですが、どのような進歩があるのでしょうか?

A. 変形性手指関節症の場合、傷んだ関節をシリコンや金属を用いた人工指関節に置き換える人工指関節置換術(じんこうゆびかんせつちかんじゅつ)など治療法が進歩しています。エコーやMRI、CTなど画像診断が進歩し、腱の状態がより正確に把握できるようになったことで手術の成績も向上しました。
人工指関節は最近ではチタン製のものも開発され、以前に比べて強度は増していますが、手指の関節は股関節や膝関節に比べて小さいにもかかわらず可動域が広いので、耐久性が低い側面があります。まだまだ改良の余地があり、私も親指の部分の人工関節の研究を進めているところです。

よこやま整形外科 手とリウマチクリニック 横山 光輝先生Q. 手術後のリハビリはどのようなことをするのでしょうか?

A. 手術後は指が腫れてしまいますから、まず患部の腫れを引かせたうえで早期に指の曲げ伸ばしを開始します。リハビリの内容は、傷めた関節や部位によって異なりますが、屈筋腱が切れた場合、屈筋腱に負担がかからないように指先にゴムをつけて腱の癒着を防ぐリハビリを行います。リハビリ期間は2ヵ月ほどです。

Q. 先生が医師を志されたきっかけがありましたら教えてください。

A. 子供のころ親戚が集まると健康の話になることが多かったのです。身近な人の支えになりたいと思い医師を目指しました。

リモート取材日:2022.8.30

*本文、および動画で述べられている内容は医師個人の見解であり、特定の製品等の推奨、効能効果や安全性等の保証をするものではありません。また、内容が必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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