先生があなたに伝えたいこと / 【高橋 敏行】頸椎の手術は、最新の神経モニタリングを使用することにより安全性が向上しています。手術は大きな神経障害を起こす前に行うのが望ましいでしょう。

先生があなたに伝えたいこと

【高橋 敏行】頸椎の手術は、最新の神経モニタリングを使用することにより安全性が向上しています。手術は大きな神経障害を起こす前に行うのが望ましいでしょう。

藤枝平成記念病院(脊髄脊椎疾患治療センター 部長) 高橋 敏行 先生

藤枝平成記念病院(脊髄脊椎疾患治療センター 部長)
たかはし としゆき
高橋 敏行 先生
専門:脊椎脊髄外科

高橋先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 将棋が好きで、藤井聡太君の対局が大変気になります。やるのは下手です(笑)。

2.休日には何をして過ごしますか?
 学会や研究会が多くてあまり休めませんが、時間があればジムに行ったり、散歩で体を動かしたりするようにしています。歴史関係や推理小説の読書も好きです。

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先生からのメッセージ

頸椎の手術は、最新の神経モニタリングを使用することにより安全性が向上しています。手術は大きな神経障害を起こす前に行うのが望ましいでしょう。

藤枝平成記念病院(脊髄脊椎疾患治療センター 部長) 高橋 敏行 先生Q. まず、先生が所属されている「脊髄脊椎疾患治療センター」について教えてください。

A. 2003年に開設されました。特徴は脳神経外科医が脊髄脊椎病変の診断と治療に特化して携わっていることです。センター長の花北先生はこの分野で大変有名なので、近隣の方々のみならず遠方からもたくさん来院されています。また教育機関としても充実していて、複数の大学病院の関連研究施設として機能しています。

藤枝平成記念病院(脊髄脊椎疾患治療センター 部長) 高橋 敏行 先生Q. 脳神経外科の先生が脊髄脊椎の治療をされるのですね。

A. 日本では脊椎というと整形外科のイメージですが、海外では脳神経外科、すなわち神経外科に行かれる患者さんの7割ほどが「脊髄・末梢神経」に関するものなので、「脊髄脊椎」とひとくくりにします。したがって、海外では脳神経外科医が脊髄脊椎の病気を勉強するのは当たり前のカリキュラムなのです。英語の綴りも脳神経外科は「Neurosurgery」といいます。「Neuro」は「神経」で、「surgery」は「外科」を意味します。

Q. それでは今回のテーマ「椎間板ヘルニア」について伺います。そもそも椎間板(ついかんばん)とはどのような組織なのでしょうか?

A. 椎間板は椎骨(ついこつ)とともに背骨を構成し、体の支柱となっています。椎骨と椎骨の間にある軟部組織で、体を支えつつ、柔軟性があるのでさまざまな運動を可能にするものです。また、椎骨間のクッションの役割も果たしています。背骨の中には脳から連続する脊髄という神経の束があって、頸椎の各高位(上端)では、そこから一対の神経が左右に枝分かれし(神経根)、これが両腕や手などに分布しています。

Q. 椎間板ヘルニアの病態とはどのようなものでしょうか? 特に頸椎について教えてください。

A. 椎間板は早い段階で加齢性変化を起こしやすいため、その老化が原因となります。椎間板は本来、水分をかなり含んだ軟骨ですが、水分が徐々に少なくなって劣化することで、損傷をおこしてはみ出してしまいます。これがヘルニアの病態です。頸椎のヘルニアは30歳、40歳以降で発症する場合が多く、7つある頸椎の中下位に多く発生します。

頸椎のヘルニアの例

Q. どのような症状が出るのでしょうか?

藤枝平成記念病院(脊髄脊椎疾患治療センター 部長) 高橋 敏行 先生A. 大きくは発症の場所、飛び出す部分がどこを圧迫するかによって症状に違いがあります。飛び出した部分が「神経根(しんけいこん)」を圧迫する場合では、初期には首や肩甲骨(けんこうこつ)周囲の痛み、その後、腕や手のしびれを伴うことが多いです。広い範囲ではなく局所的な痛みが出てきます。首を後ろに反らす動作や、痛い方向に傾けるとさらに痛みが増強してしまいます。時として腕や手の感覚が鈍くなり脱力や筋肉の痩せ(筋委縮)をきたすこともあります。「脊髄」が圧迫される場合では、一本の神経の場合より幅広い範囲に症状が出て、手足全体がしびれ、歩行障害がおこります。症状が進行すると排尿が難しくなり、便が出にくいなどの排泄障害も出てきます。首が痛いだけではなかなか病院にかかられない方が多いのが現状ですが、少なくとも手足に症状が出るようなら専門医を受診して、MRIなどの画像診断を受けていただくことをお勧めします。

Q. どういった治療が行われるのでしょうか?

A. 症状としてしびれ、痛みが中心で生活に大きな支障のない段階では、安静にするなどの保存療法を行います。特に神経根の症状は軽快する可能性が高いです。発症から数週間は症状が強くて大変でも、薬物療法、頸椎カラーなどの装具療法、リハビリや牽引などの理学療法などを、ある程度時間をかけて続けていると、ヘルニアが自然吸収されて手術をしないで済む方もたくさんいます。しかし、保存療法が奏功せず、手足のしびれが増して手が動きにくい、筋肉が痩せてくるなどの症状が出れば手術を考慮します。もし手全体のしびれや痛みが強い、歩行障害、排尿・排便障害など大きな神経の症状(脊髄症)があるようなら、早期の手術対象になります。重度の神経障害を起こすと手術をしても改善が難しくなるので、適切な段階で手術を選択するのが好ましいです。

頚椎カラー

Q. 手術の方法は色々あるのでしょうか?

A. いくつか手術法はありますが、ヘルニアはいきなり何ヵ所も起こるわけではありませんので1ヵ所、あるいは2ヵ所、圧迫している部分を取り除く方法が一般的です。手術は頸椎の前方から進入し、ヘルニアの生じた椎間板全体をくり抜き、空洞化した部分にスペーサーという器具を使用したり、腸骨から採った骨を移植して固定したりします(前方除圧固定術)。最近では固定してしまわずに、可動域(動かすことができる角度)を温存できる人工椎間板も登場しています。しかし人工椎間板は、日本ではまだ一部の施設で数例行われている段階で、まだまだ様子をみないといけないと思います。固定術といっても、1、2ヵ所程度なら、極端に首が動かなくなることはありません。ほかに当院で行っているかなり特殊な手術として、「鍵穴(Key hole)手術」があります。ヘルニアが神経根の片側に偏っていたりする場合に限局的に除圧し、脊椎構造を極力温存する方法です。この場合は固定しません。狭い範囲で神経を除圧するのでより熟練した手技が求められる手術です。

前方除圧固定術

前方除圧固定術

鍵穴(Key hole)手術

鍵穴(Key hole)手術

Q. 前からのアプローチでは傷跡が気になるのですが?

A. もとからある皺に合わせて皮切(ひせつ)しますので、ほとんど目立ちません。

Q. 治療や手術における安全対策についてもお聞かせください。

藤枝平成記念病院(脊髄脊椎疾患治療センター 部長) 高橋 敏行 先生A. 手足に症状が出る疾患は実はいろいろあります。そのため、まずは綿密な診断が必要です。具体的には、問診、検査、そして症状と画像所見が合致するか十分に検討するようにします。痛みやしびれが強くてヘルニアの症状をきたしていても、ヘルニア自体が小さく画像診断がつきにくい場合や、逆に、画像上ヘルニアの所見があっても症状のほとんどない場合もあります。そのような場合はMRIだけではなく、脊髄造影や神経根造影といった特殊な検査をプラスします。
手術に関しては、すべての症例で顕微鏡を使用し、拡大した視野で出血を最小限にしながら安全に除圧ができるようにしています。さらに「術中神経モニタリング」といって、電気刺激で神経に障害や悪影響が出ていないか、正常に機能しているかを常にチェックしながら手術を行っています。

Q. 入院期間はどれくらいでしょうか? 退院後に気をつけることは何かあるのでしょうか?

A. 手術によって安静度は異なりますが、通常の手術では翌日から飲水、食事が可能で、立って歩ける方もいらっしゃいます。1週間程度は頸椎カラーを装着していただき、その間に身の回りのことができるようになります。特別なリハビリを要しない場合は、10日から2週間で退院というのが目安です。
退院後は首に負担がかかるような動作や激しい運動をしなければ、日常生活では特に活動制限はありません。ただし仕事復帰は術後1ヵ月、重労働だともう少し長く首が安定するまで様子をみていただいてからのほうが良いと思います。

藤枝平成記念病院(脊髄脊椎疾患治療センター 部長) 高橋 敏行 先生Q. ありがとうございました。最後に、先生が脳神経外科医を目指されたきっかけのようなものはあったのでしょうか?

A. 子どもの頃、地元に大変有名な脳神経外科施設がありました。当時は漠然と認識していた程度ですが、記憶の片隅に残っていたのでしょう。進学するにつれて医師になること、特に脳神経外科医になることが憧れになりました。

Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

高橋 敏行 先生からのメッセージ

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取材日:2018.2.9

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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