先生があなたに伝えたいこと / 【中川 裕介】人工膝関節置換術は膝の病状がすすんでしまった方には痛みが取れて変形が治る最善の矯正術です。膝の変形が初期で半月板の損傷がある方には縫合して温存できるようになっています。手術をすると痛みがないことが、どれほど幸せなことかがわかります。

先生があなたに伝えたいこと

【中川 裕介】人工膝関節置換術は膝の病状がすすんでしまった方には痛みが取れて変形が治る最善の矯正術です。膝の変形が初期で半月板の損傷がある方には縫合して温存できるようになっています。手術をすると痛みがないことが、どれほど幸せなことかがわかります。

国立大学法人 東京医科歯科大学 医学部附属病院 中川 裕介 先生

国立大学法人 東京医科歯科大学 医学部附属病院
なかがわ ゆうすけ
中川 裕介 先生
専門:膝関節

中川先生の一面

1.休日には何をして過ごしますか?
自宅近くの河川敷でジョギングをして手術に必要な体力を養っています。夜は文献を読んだり、手術の計画を立てたりして、患者さんにベストな治療ができるように準備にあてています。

2.最近気になることは何ですか?
人工知能(AI)が医療をどう変えるかということですね。診断ソフトが開発されるなど、人工知能は医療分野にも導入され始めています。今よりも正確で早い診断ができるようになれば、患者さんだけでなく、医師にとっても負担が減り、医療の質が向上することが期待できます。

先生からのメッセージ

人工膝関節置換術は膝の病状がすすんでしまった方には痛みが取れて変形が治る最善の矯正術です。膝の変形が初期で半月板の損傷がある方には縫合して温存できるようになっています。手術をすると痛みがないことが、どれほど幸せなことかがわかります。

Q. 多くの中高年が膝の痛みを抱えながら生活しています。そもそもこの痛みはどうして起こるのでしょうか?

A. 膝関節は歩行で体重の2~3倍、階段の昇り降りでは6~8倍の負荷がかかるとされ、足首の関節や股関節よりも不安定になりやすく、変形しやすい関節です。筋肉や靭帯など、膝関節を支える組織が加齢などによって変性して弱くなり、不安定になることが原因です。膝関節に受ける衝撃を吸収し、靭帯を補助する半月板も加齢とともにすり減り、若い時にはなんでもなかったものが、日常生活のちょっとした動作で損傷したり、ずれたりして痛みが起こります。

Q. 痛みを起こす病名にはどんなものがありますか?

A. 変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)があります。
何らかの変形が起こっている人は全国で多く見積もって2,000万人いるとされ、変形性膝関節症は膝痛の代表的な疾患です。ただ、すべての人に痛みがあるわけではなく、何らかの症状があらわれるのは3分の1程度といわれています。50代から60代で発症することが多く、加齢や肥満、遺伝的な要素や重労働に就いているなどの生活習慣も発症の遠因になります。その他に関節リウマチなどの炎症性の病気や半月板損傷や前十字靭帯損傷(ぜんじゅうじじんたいそんしょう)などの膝関節の怪我が原因で起こることもあります。半月板損傷は、若い方でスポーツをしていて膝をねじって起こる、あるいは中高年の方で弱くなった半月板にちょっとした力が加わることで切れて起こる場合があります。

国立大学法人 東京医科歯科大学 医学部附属病院 中川 裕介 先生Q. その治療法について教えてください。すぐに手術になるのでしょうか?

A. 変形性膝関節症では、まずは最低3~6ヵ月の保存的治療を行います。
一番重要なのは運動療法です。当院では、伝統的にひざのお皿 (膝蓋骨:しつがいこつ)の周囲を上下、左右、斜めから5秒くらいずつお皿を押すストレッチや、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を鍛える運動を指導しています。周囲の筋肉や靭帯がほぐされて痛みが減り、膝の動きが安定します。そのほかには、消炎鎮痛剤を使って腫れを引かせ、注射で関節内にヒアルロン酸を補充し、機能を改善させることを目指します。サポーターを使って膝の動きを安定化させたり、O脚に変形している場合はインソールで補正したりすることもあります。 関節軟骨や半月板がそれほど傷んでなければ、こうした保存的治療でよくなる方も多いです。
スポーツなどで前十字靭帯を損傷した場合は、10年、20年後に変形性膝関節症になることを防ぐ意味で、靭帯の再建術をすることをお勧めしています。

Q. それでもよくならない場合は手術になると思うのですが、手術にはどのような種類がありますか?

A. 中高年の方の半月板損傷に対しては、一般的には切除術が行われることが多いですが、残せるなら残すべきだと考えますので、当院では可能な限り縫合しています。また中高齢の方の半月板損傷には、半月板が関節の外側に飛び出してしまって(半月板逸脱)正常な機能を失っている方がいます。そういった方には、当科で独自に開発した関節鏡視下(かんせつきょうしか)で行う半月板内方化術(はんげつばんないほうかじゅつ)で縫合しています。脛骨(けいこつ)の端に、アンカーという糸のついたネジのようなものを打って正しい位置に引き寄せ、飛び出た半月板を正常な位置に戻します。
当院では、30代から60代くらいまでで、O脚で内側のみが損傷されている方、活動性の高い方に対しては、膝関節の近くで脛骨を切って角度を変え、O脚を矯正する高位脛骨骨切り術(こういけいこつこつきりじゅつ)と併せて行うことが多いです。
また、前十字靭帯損傷をおこしてしまった方には靭帯再建術(じんたいさいけんじゅつ)を行います。当院では靭帯を解剖学的に正常な位置に再建して元の機能を回復させることで、将来、変形性膝関節症になることを防ぐことを目指しています。それ以外には、傷んで変形した膝関節の表面を人工物に置き換える人工膝関節置換術(じんこうひざかんせつちかんじゅつ)があります。

Q. 人工膝関節そのものにも種類があるのでしょうか?

A. 人工膝関節は欧米の会社が開発したものが多いのですが、当院では10年ほど前に日本人の骨格に合わせ、膝が術後も良く曲げることができるインプラントをメーカーと共同で開発し、これまでに日本全国で2,000件くらいの手術が行われております。当院では今まで900件以上の手術を行い、良好な成績を得ています。
手術の方法としては、膝関節の一部分だけを人工関節に入れ換える単顆人工膝関節置換術(たんかじんこうひざかんせつちかんじゅつ:UKA)と、膝関節全体を人工関節に入れ換える全人工膝関節置換術(ぜんじんこうひざかんせつちかんじゅつ:TKA)とがあります。膝の内側だけが変性しているのであれば、UKAによって前十字靭帯を温存できるメリットがあります。変形が強い方はTKAになります。

Q. 人工膝関節の手術で、昔に比べて進歩している面があれば教えてください。

A. 当院では手術を受ける半数の方が両側同時のTKAを行っています。整形外科医6名・看護師2人の2チーム並行で手術を行うため、片側のみの手術と同じ手術時間で済むことが最大のメリットです。入院期間は通常片側で2週間ですが、両側同時であっても3週間程度で、術後のリハビリが1度で済むため、精神的にも、時間的、経済的な面においても両膝の悪い患者さんにはメリットが大きいです。
内科的にほかの病気がない方でしたら、高齢でも両側同時手術ができますので、とくに年齢制限は設けていません。
これまでに最高齢では91歳の方が両側同時の手術を受けられています。

国立大学法人 東京医科歯科大学 医学部附属病院 中川 裕介 先生Q. 両側が悪くても、片足ずつの手術を選択することもありますか?

A. あります。術後の合併症である深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)などのリスクは両側同時の方が高くなるので、術前の検査で問題があった方には片方ずつの手術を勧めることもあります。 ただ、両膝とも同じくらい変形が進んで痛いというのであれば両側同時をお勧めしています。片側だけ手術すると、悪い側の膝をかばってしまい、リハビリが進まないことが多いからです。

Q. 手術を受けた患者さんからはどんな声がありますか?

A. 「膝がまっすぐになった」、「歩く喜びを思い出した」という声をいただいています。とくに変形の強かった人ほど変化が一目瞭然で、満足度が高いです。人工膝関節置換術は痛みが取れて変形が治る最善の矯正術です。

Q. 膝の痛みに悩んでいる人に、メッセージをお願いします。

A. 近年は手技や機械も進歩し、患者さんの多様なニーズに合わせた治療ができるようになっています。痛みがないことがどれほど幸せなことか手術をするとわかります。悩むより、まずはお近くの専門医をお訪ねください。

国立大学法人 東京医科歯科大学 医学部附属病院 中川 裕介 先生Q. 先生が医師を志されたエピソードがありましたら教えてください。

A. 父が整形外科医で、毎日帰りが遅く、土日も家で手術のビデオを見ながらイメージトレーニングをしていました。それでも仕事に対する愚痴は一度も聞いたことがなく、医師というのは激務だけれど、やりがいのある仕事なのだということを父の背中を見て感じ、外科医を志しました。


中川 裕介 先生からのメッセージ

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取材日:2019.4.15

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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