先生があなたに伝えたいこと / 【齊藤 正史】腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)では薬物治療で改善しない場合、低侵襲(ていしんしゅう)による手術法で神経圧迫を取り除くことにより症状が改善します。骨粗鬆症性(こつそしょうしょうせい)の椎体骨折は神経麻痺を発症することがあり、後方固定術で神経の圧迫を取り除くことで劇的に回復します。

先生があなたに伝えたいこと

【齊藤 正史】腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)では薬物治療で改善しない場合、低侵襲(ていしんしゅう)による手術法で神経圧迫を取り除くことにより症状が改善します。骨粗鬆症性(こつそしょうしょうせい)の椎体骨折は神経麻痺を発症することがあり、後方固定術で神経の圧迫を取り除くことで劇的に回復します。

医療法人社団 大聖病院 齊藤 正史 先生

医療法人社団 大聖病院
さいとう まさし
齊藤 正史 先生
専門:脊椎脊髄

齊藤先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 気象変動です。グリーンランドの氷が溶けたり、日本でも台風がだんだん巨大化してきたりと、孫たちの代にどうなっていくのか気がかりです。

2.休日には何をして過ごしますか?
 へたなゴルフを楽しんでいますが、孫が遊びに来た時には近所の公園に連れていって一緒に遊びます。

先生からのメッセージ

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)では薬物治療で改善しない場合、低侵襲(ていしんしゅう)による手術法で神経圧迫を取り除くことにより症状が改善します。骨粗鬆症性(こつそしょうしょうせい)の椎体骨折は神経麻痺を発症することがあり、後方固定術で神経の圧迫を取り除くことで劇的に回復します。

脊椎の構造Q. 先生のご専門である脊椎の疾患にはどのような疾患が多いのでしょうか?

A. 脊椎の疾患は頸椎(けいつい)から胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)と非常に広範囲に及びます。最も頻度が高いものが腰椎の疾患で、代表的なものに腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)、腰椎椎間板ヘルニアがあり、高齢者では胸椎から腰椎に骨粗鬆症性(こつそしょうしょうせい)の椎体骨折が頻発します。

医療法人社団 大聖病院 齊藤 正史 先生Q. 腰部脊柱管狭窄症について具体的に教えてください。

A. 加齢により脊椎の骨や靭帯、椎間板などが変性して神経の通り道が狭くなり、神経が圧迫されて起こる疾患で、症状には個人差があり、痛みを伴うものとしびれを伴うものとがあります。進行すれば下肢(かし:股関節から足のつま先までの部分)が麻痺することもあり、重症化すれば直腸膀胱(ぼうこう)機能にも障害を起して便秘や尿が出にくくなる、失禁するといったことが起こりえます。

Q. 痛んだり、しびれたりするのは症状の重さによって異なるということでしょうか?

A. 広範囲に脊柱管を圧迫されている方がしびれを訴えるケースが多いのですが、必ずしも重症化しているとは限らず、そのメカニズムはまだ完全には解明されていません。

Q. 骨粗鬆症性椎体骨折はどのようにしておこるのでしょうか?

A. 骨粗鬆症は老化とともに自然に起こる原発性のものと、原因疾患に伴って起こる続発性のものがあります。多くの場合が加齢とともに起こる骨粗鬆症で、椎体の骨がもろくなるために、しりもちや軽いけがが原因で骨折したり、本人が気づかないうちに骨折していたりして、それが痛みの原因になっていることがあります。

Q. いわゆる「いつの間にか骨折」といわれるものですね? やはり女性の患者さんが多いのでしょうか?

A. 女性は50代以降、閉経を境に女性ホルモンが減って骨粗鬆症が進むことが多いので、患者さんは女性が多いですが、男性も老化で骨がもろくなることに変わりはありません。70代以上の方で椎体骨折をされる方は多くなります。

Q. これらの疾患に対してどのような治療が行われていますか?

医療法人社団 大聖病院 齊藤 正史 先生A. いずれの疾患も、緊急を要する場合を除いて基本的に手術を伴わない保存療法を行います。具体的には、消炎鎮痛剤などの内服薬を使用しながらコルセットによる固定、温熱療法などの理学療法や運動療法を行います。骨粗鬆症性椎体骨折の場合には、骨粗鬆症の治療も併せて行います。ビタミンDや女性ホルモン製剤、骨の吸収を抑制する薬剤などを併用した内服薬が中心となりますが、骨がよりもろく、折れた周辺の骨も連鎖的に折れる可能性のある方に対しては効果が高い注射薬を用いることもあります。ただ、患者さんには、「薬だけで骨が丈夫になるわけではないので、適度な運動をして、骨を刺激することが大切ですよ」とお伝えしています。

ウォーキングイラストQ. どのような運動をすればよいのでしょうか?

A. 天気の良い日に30分から1時間程度、ご自分の体力に合わせて散歩していただければそれで十分で、何も特別な運動をする必要はありません。骨を強くするには歩くことです。

医療法人社団 大聖病院 齊藤 正史 先生Q. どのような場合に手術が行われるのでしょうか?

A. 運動麻痺など神経障害が起きた場合には手術にならざるをえません。通常の椎体骨折では神経に障害は起こりませんが、まれに骨折によって椎体に血が流れなくなり、栄養障害になって椎体がつぶれてしまうことがあります。いつまでも骨がつかないために、骨折部の骨がグラグラと不安定になることで神経麻痺を起こすことがあります。

Q. 手術になるかを見極めるタイミングはどれくらいでしょうか?

A. 画像では骨がグラグラしていて不安定なように見えても時間が経つと痛みが取れてきて、しびれがなくなる方もまれにいますので、コルセットなどで脊椎を固定して2~3週間程度様子を見ます。その間に神経症状が改善するか進行するかで判断します。改善が認められなければ手術になりますが、高齢者の場合は背骨が多少変形したとしても症状が良くなっていくようならば、手術を行う必要はないと思います。

椎体圧壊が起こりやすい部位Q. 高齢であれば、それだけ手術の危険が伴うということですか?

A. そうです。椎体圧壊(ついたいあっかい)といって、骨がだめになって麻痺が起こる場所は腰椎ではなく、胸椎と腰椎がつながっている部分であることが多く、この部分を手術するには肺機能がしっかりしていることが必要です。
また椎体骨折を起こすのはご高齢の方が多いですから、糖尿病や心臓、肺の疾患を持っている方が多く、それだけ合併症のリスクが高まります。本人に自覚がなくても調べてみると心機能や肺機能が落ちていることが多いのです。ただ、麻痺症状が出た場合には、多少のリスクがあっても手術をしなければならない場合があります。その場合には内科と連携して心機能、肺機能をチェックしたうえで手術を行います。

Q. 具体的にはどのような手術が行われているのでしょうか?

A. 後方短縮術(こうほうたんしゅくじゅつ)という手術法を行っています。具体的には背中側から縦に切開し、神経を圧迫している骨、靭帯、椎間板を除去します。骨折した部分は後弯(こうわん)といって通常は前にカーブしている腰椎が後ろに曲がるので、後弯を直すようにスクリューなど金具で骨折部を短縮するように固定します。

後方短縮術

後方短縮術

Q. 手術を安全に行うために取り組んでいることがあれば教えてください。

A. 当院では手術の際、手術用ルーペを使用して術野を詳細に確認できるようにしています。また変形が大きくて多くの骨を切除する必要がある場合には、超音波骨メス(ちょうおんぱこつめす)を使用します。手術ではつぶれている椎体部分を取り除く必要がありますが、超音波骨メスを使うことで神経や椎体の周辺にある血管など大事な組織を傷めることなく、非常に安全な施術ができます。

Q. 手術を受けたことによるデメリットもあるのでしょうか?

医療法人社団 大聖病院 齊藤 正史 先生A. 骨を固定するのにチタン製のスクリューとフック、ロッドを使うのですが、強固に固定されるため、固定した箇所の上あるいは下の骨に負荷がかかって骨折してしまうことがあります。そのために骨粗鬆症の椎体骨折では、骨密度も測って手術前後を通じて骨粗鬆症の治療を行うことで、続発性の椎体骨折を防ぐようにしています。

Q. 手術の傷跡は大きいのでしょうか?

A. 神経を圧迫している骨を取り除いて、骨をしっかり固定させるためには、どうしても大きく切開しなければなりませんので傷跡は大きくなります。ただし強固に固定できるので、術後は早期にリハビリテーションを開始できます。3日目から起きて、装具を着けて歩行訓練を行います。

Q. リハビリはどのようなことを行うのでしょうか?

A. 具体的にはまずは車いすで移動訓練や、両下肢の筋力を向上させる運動を行ってから、立位(りつい)が可能となれば平行棒を使って歩行訓練を行います。だいたい1ヵ月程度で退院される方が多いです。
退院後は週3回30分程度のウォーキングで筋力を維持することができますから、ぜひとも習慣にして骨粗鬆症の治療も継続して受けていただきたいと思います。

Q. 術後の日常生活の制限はありますか?

A. ほとんどありません。手術の目的はけがをする前の生活ができるようにすることです。立つと足がしびれて力が入らないから、と車いすで来院された方も早期に手術を行えば良好な回復が期待できます。手術の効果は非常に大きいと思います。

医療法人社団 大聖病院 齊藤 正史 先生Q. どの段階で診てもらうべきでしょうか?

A. 多くの方が誤解されていると思いますが、椎体骨折がすぐに麻痺となるわけではなく、骨折した箇所によっては変形が残るものの麻痺を起こすことはまれです。骨粗鬆症の治療により腰や背中の痛みも改善します。治療を受けても頑固な痛みや下肢のしびれ、脱力感を自覚した場合には、脊髄神経麻痺になる可能性がありますので脊椎外科の専門医に診てもらうとよいでしょう。

Q. 痛みに悩まれている方に向けて、メッセージをお願いします。

A. 手足のしびれ、腰や背中に頑固な痛みを自覚したら、脊椎に由来する疾患が疑われますので脊椎外科の専門医を早めに受診してください。

取材日:2019.9.27

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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