先生があなたに伝えたいこと / 【高山 柄哲】患者さんの脊椎に関連する症状や神経診察、検査画像に基づいて総合的に診断を行い、身体への負担が少ない治療を行っています。【五百藏 義彦】腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアに対する内視鏡手術は、小さな創で手術ができ、日帰りが可能なケースもあります。

先生があなたに伝えたいこと

【高山 柄哲】患者さんの脊椎に関連する症状や神経診察、検査画像に基づいて総合的に診断を行い、身体への負担が少ない治療を行っています。【五百藏 義彦】腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアに対する内視鏡手術は、小さな創で手術ができ、日帰りが可能なケースもあります。

社会福祉法人 京都社会事業財団 京都桂病院 高山 柄哲 先生

社会福祉法人 京都社会事業財団 京都桂病院
たかやま もとひろ
高山 柄哲 先生
専門:脊椎脊髄

高山先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 パリで開催されるオリンピックが楽しみです。特に柔道が好きなので、柔道大国のフランスで日本のお家芸がどこまで通用するのかを見届けたいです。

2.休日には何をして過ごしますか?
 子どもたちに手がかかる時期が過ぎたので、夫婦で登山をしたり、美味しいものを食べに行ったり、音楽を聴きに行ったりなど、リフレッシュする時間を過ごしています。

社会福祉法人 京都社会事業財団 京都桂病院 五百藏 義彦 先生

社会福祉法人 京都社会事業財団 京都桂病院
いおろい   よしひこ
五百藏 義彦 先生
専門:脊椎脊髄

五百藏先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 昨年、過去最高の体重になったことから運動を始め、減量に成功しました。そのまま毎日1時間以上の歩行やランニングをする運動習慣を継続しようと頑張っています。

2.休日には何をして過ごしますか?
 上の子どもが受験を控えているので、下の子どもを連れ出してあちこち遊びに行っています。最近では京都の嵐山を見せたくて、一緒に行ってきました。

先生からのメッセージ

患者さんの脊椎に関連する症状や神経診察、検査画像に基づいて総合的に診断を行い、身体への負担が少ない治療を行っています。(高山先生)

腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアに対する内視鏡手術は、小さな創で手術ができ、日帰りが可能なケースもあります。(五百藏先生)

Q. 脊椎において、特に腰椎に多い疾患を教えてください。

A. 高山先生:腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんへるにあ)が多くみられます。
腰部脊柱管狭窄症は加齢現象として起こることが多い疾患です。脊柱は、椎体(ついたい)という骨や椎間板(ついかんばん)、黄色靱帯(おうしょくじんたい)などの組織によって構成されています。これらが加齢に伴って弾力性がなくなるほか、肥厚したり骨が変形したりすることで、脊柱の中を通っている脊柱管という神経の通り道が狭窄していきます。それにより中を通る神経が締め付けられて神経本来の働きが損なわれ、異常な感覚をもたらすことがあります。このように脊柱管が圧迫されることによって起こるのが脊柱管狭窄症で、高齢の方に多くみられます。

腰部脊柱管狭窄症

正常な脊椎の断面図 脊柱管狭窄症の断面図

五百藏先生:腰椎椎間板ヘルニアも加齢に伴って起こりやすい疾患です。脊椎は椎体が連なっており、椎体と椎体の間にはクッションの役割を果たす椎間板があります。ここに長年体重がかかり続けることで、クッションが破れて中味が飛び出てくることがあります。破れた先には神経が通っており、クッションの中味つまり椎間板の中味が脚の感覚を司る神経に当たった場合、異常な痛みを感じたり、脚の筋力低下につながったりすることがあります。
高齢の方だけでなく、重量物を持つような腰に負担のかかる仕事に従事される方の中には、20代で発症するケースもあります。

腰椎椎間板ヘルニア

Q. それぞれどのような症状が現れますか?

A. 高山先生:腰部脊柱管狭窄症は、間欠性跛行(かんけつせいはこう)が代表的な症状です。安静時は強い症状は出ませんが、歩行や立ち仕事などによって脚がしびれたり痛みが出たり、力が抜けたりといった症状が現れます。しばらく安静にしていると、また歩行が続けられることから間欠性跛行と呼ばれています。ほかにも、体位を変えることで腰痛や脚のしびれが出たりすることもあります。
五百藏先生:腰椎椎間板ヘルニアは、最初にぎっくり腰のような腰痛が急に起こるケースが多いです。一般的な腰痛であればしばらくすると落ち着きますが、1~2週間経っても痛みが収まらず、しびれまで出てきたということで受診される患者さんが多いです。

社会福祉法人 京都社会事業財団 京都桂病院 高山 柄哲 先生Q. どのように診断するのですか?

A. 高山先生:患者さんの訴えを丁寧に聴取し、そこに至るまで症状がどのように変化していったかを把握することから始めます。さらに、神経の診察として脚の筋力や感覚、反射を調べ、最後にMRIやCA、CT、レントゲンなどの検査を行い、主訴や神経所見と検査画像が合致する病状を確認して診断しています。

Q. では、腰部脊柱管狭窄症と診断された場合の治療について教えてください。

A. 高山先生:加齢現象である場合が大半なので、いったん症状が出てしまうと保存的な治療で良くなるケースは少ないですが、リハビリやダイエットなどで神経が通る脊柱管の容積を広げることができれば治療につながると思います。また、腰部脊柱管狭窄症は馬尾神経(ばびしんけい)という脚につながる神経の血流が滞ることで起こるともいわれていますので、血流を良くする内服薬を使うこともあります。こうした治療が有効でなく、患者さんが日常生活や社会生活に支障をきたしている場合は、外科的な治療として神経の通り道を広げる手術が選択肢に上がってきます。

社会福祉法人 京都社会事業財団 京都桂病院 五百藏 義彦 先生Q. 腰椎椎間板ヘルニアはどのような治療になりますか?

A. 五百藏先生:飛び出た椎間板(ヘルニア)は、多くの場合は数カ月で自然に改善します。そのため、痛みが出ている間はそれを抑える内服薬を処方し、落ち着くのを待つことが患者さんにとって負担の少ない治療だと考えています。薬で痛みが抑えられない場合は、ブロック注射で神経そのものに麻酔を打つこともあります。このような保存的な治療を数カ月続けても症状が落ち着かない、あるいは腰椎椎間板ヘルニアの根本原因を取り除きたいと希望される場合は手術を検討します。

Q. 手術についても教えてください。

A. 高山先生:脊椎の手術というと、以前は皮膚を大きく切開して筋肉をはがし顕微鏡を使って行っていましたが、最近は低侵襲(ていしんしゅう:身体にかかる負担が小さい)な手術ができるようになりました。患者さんの体力低下につながる術後の安静期間も短く、合併症や全身麻酔による負荷も低減できるため、手術に対するハードルが下がってきている印象です。
五百藏先生:当院で行っているFESS(Full-endoscopic spine surgery)と呼ばれる内視鏡下手術は、小さな創で手術ができるので患者さんの身体にかかる負担が小さい手術です。腰部脊柱管狭窄症の場合は、内視鏡で確認しながら骨を削り、肥厚した硬い黄色靱帯を除去して神経の圧迫を取っていきます。低侵襲なため入院期間が短く、場合によっては日帰りも可能です。ただし、骨が不安定になっている患者さんの場合は、神経の圧迫を取るだけでなく、骨のずれを正して固定しなければならないケースもあります。その場合は椎間板を取り除いて、代わりに金属の人工骨を挟んでスクリューやロッドなどで固定する手術を行うため、入院期間は10日間から2週間ほど必要になることもあります。
腰椎椎間板ヘルニアの場合も内視鏡を使い、7~8mm程度の筒を挿入してヘルニアを除去する手術があります。FESSに対応できる医師や器材が整った医療機関でのみ受けることができる手術です。

椎体を固定する手術

椎間板ヘルニアの内視鏡手術

Q. 手術後のリハビリについても教えてください。

A. 高山先生:手術後のリハビリテーションは、疼痛の緩和や筋力の回復が目的になります。痛みをやわらげる電気療法などを行うこともあり、痛みを軽減させてから日常動作を行うための筋力をつけます。関節が動きにくくなっていることもあるため関節の可動域を上げる訓練を行い、家庭復帰または職場復帰を目指します。
また、固定する手術など大きな手術を行った場合には、術後に動きを制限するためにコルセットを着用することもありますが、範囲の狭い腰部脊柱管狭窄症や腰部椎間板ヘルニアなどで低侵襲な手術を行った場合は、必ずしもコルセットは必要ではありません。

Q. 腰部脊柱管狭窄症や腰部椎間板ヘルニアを予防することはできますか?

A. 高山先生:患者さんは重労働されている方が多い印象なので、腰椎に負荷をかけ過ぎないことが重要ですが、特に腰部脊柱管狭窄症は加齢現象ともいえるので、予防には限界があります。ただ、脊椎は身体を支える支柱のようなものなので、そこに負担がかからないように体重をコントロールすること、適度な運動を行って健康を維持することが大切かと思います。

Q. よくわかりました。では、先生方が医師を志されたエピソードを教えてください。

社会福祉法人 京都社会事業財団 京都桂病院 高山 柄哲 先生 五百藏 義彦 先生A. 高山先生:少年時代に手塚治虫さんの漫画「ブラックジャック」を読んで刺激を受けたことがきっかけです。また当時、テレビのドキュメンタリー番組「驚異の世界・ノンフィクションアワー」で最先端の手術が繰り広げられていて、いつか自分も参加したいと思いました。
五百藏先生:高校時代に人の意識や脳の機能に興味を持ち、医師の道を志しました。また、祖母が神経の難病にかかっていたことも影響しています。実際に脳外科医になってからは、手術によって患者さんの症状が改善されることにやりがいを感じています。

Q.最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

高山 柄哲 先生・五百藏 義彦 先生からのメッセージ

※ムービーの上にマウスを持っていくと再生ボタンが表示されます。

取材日:2024.7.12

*本文、および動画で述べられている内容は医師個人の見解であり、特定の製品等の推奨、効能効果や安全性等の保証をするものではありません。また、内容が必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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