先生があなたに伝えたいこと / 【島田 崇史】筋肉を温存する人工膝関節置換術はリハビリをしっかりと行えば、膝の機能を十分に回復させることができます。患者さんが設定するゴールに向けて、一緒に治療していきたいと思っています。

先生があなたに伝えたいこと

【島田 崇史】筋肉を温存する人工膝関節置換術はリハビリをしっかりと行えば、膝の機能を十分に回復させることができます。患者さんが設定するゴールに向けて、一緒に治療していきたいと思っています。

社会福祉法人 聖ヨハネ会 桜町病院 島田 崇史 先生

社会福祉法人 聖ヨハネ会 桜町病院
しまだ たかし
島田 崇史 先生
専門:膝関節

島田先生の一面

1.休日には何をして過ごしますか?
最近は、二人目の子どもが生まれたばかりなので、もっぱら子どもたちと戯れています。

2.最近気になることは何ですか?
仕事以外においては、やはり子どもたちの成長が気になります。それと、最近、子どもから手足口病がうつってしまいました。気持ちは20代ですが、いつのまにか体力が落ちてきていることが気になります。(笑)

先生からのメッセージ

筋肉を温存する人工膝関節置換術はリハビリをしっかりと行えば、膝の機能を十分に回復させることができます。患者さんが設定するゴールに向けて、一緒に治療していきたいと思っています。

Q. 年をとると、膝の痛みを訴える方が多く見受けられます。高齢者の膝が痛くなる主な原因は何でしょうか?

A. 関節が動く際に骨と骨の衝突や、摩擦を防ぐクッションの役割を果たす軟骨が加齢とともにすり減ることで起こる変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)や、膝関節への様々な刺激によって滑膜が増殖することで起こる滑膜炎等があります。滑膜は関節液を作る役割があるため、滑膜が増殖する滑膜炎では、関節液が増え、いわゆる膝に水が溜まって痛みを発します。

変形性膝関節症

Q. 膝の痛みは、具体的にはどんな症状があらわれることが多いでしょうか?

A. 階段や坂道を下るときには膝関節に体重の約4倍の負荷がかかり、膝の内側や裏側を中心に特に痛みが強くなります。また、膝関節の可動域が制限されるために、正座ができなくなったり、ちょっとした日常生活動作ができにくくなったりします。変形性膝関節症で来院される患者さんは、60歳以上の女性が多いのですが、若いころに膝関節のケガをした方やスポーツで酷使していた方は、40歳前後でも痛みがあらわれる場合があります。

Q. その治療法について教えてください。

A. まずは膝関節への負担を減らすために体重を減らし、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を鍛える運動療法を行っていただきます。膝周りの筋肉を鍛えることで膝の動きを安定させ、痛みを和らげることが期待できます。椅子に座った状態で膝を伸ばして足を上げ、倍の時間かけてゆっくりと降ろしたり、プールで歩いたりするのもいいでしょう。膝にサポーターをつけるのも効果的です。
膝に水が溜まっている場合には、一度水を抜いて、関節の滑りをよくするためにヒアルロン酸を注射したり、痛みが強い場合にはステロイドの関節内注射を行ったりすることもあります。運動療法薬物療法でも効果が乏しく、痛みで日常生活に支障をきたしている方には手術をお勧めします。

大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を鍛える運動療法

Q. 内視鏡視下手術(ないしきょうしかしゅじゅつ)という方法もあるそうですが、これはどのような手術ですか?

A. 膝のお皿(膝蓋骨)の脇に10mm程度の穴を2ヵ所あけ、そこから関節鏡や器具を挿入して行う手術です。当院では、半月板損傷や膝に水が溜まる滑膜炎、初期の変形性膝関節症の方に適用しています。
胃カメラをイメージしていただくとわかりやすいと思いますが、関節鏡に内蔵されたカメラのレンズを通して膝関節の内部の状態を確認し、炎症を生じた滑膜や半月板等の処置を行います。変形性膝関節症の場合は軽度の場合に限られますが、患者さんに大きな負担なく痛みを取ることができる有効な治療法です。

社会福祉法人 聖ヨハネ会 桜町病院 島田 崇史 先生Q. 変形や軟骨の損傷が激しい場合には人工膝関節の手術になるのでしょうか?

A. 一度虫歯になれば歯を磨いても完治しないように、軟骨も一度擦り減ると元に戻ることはありません。それと同様に、痛みを取るために痛んだ軟骨や骨の表面を削り、その部分に金属のカバーを被せる手術が人工膝関節置換術(じんこうひざかんせつちかんじゅつ)です。

Q. 人工膝関節置換術は、膝全体をごっそり人工物に取り換えるものだと思っていました。

A. ほとんどの手術では表面だけを削ります。薄いところでは1~2㎜、最大でも10㎜程度です。いまは1㎜単位のバリエーションで様々な人工膝関節が開発されているので、患者さんにぴったり合った最適なものを選んで設置することができるようになりました。
人工膝関節置換術は大きく2つの種類に分けられます。膝の内側か外側部分だけを人工物にする、人工膝関節単顆置換術(じんこうひざかんせつたんかちかんじゅつ:UKA)は、膝の外側の軟骨や靭帯が傷んでなく、膝関節の可動域も十分にある方等が適用になります。傷口が小さく、術後の痛みも少ないため、術後の回復が早いことがメリットとなります。
ただし、膝関節の損傷が進んでからの手術になると、人工膝関節全置換術(じんこうひざかんせつぜんちかんじゅつ:TKA)になります。

人工膝関節単顆置換術

人工膝関節全置換術

Q. こちらの病院では手術で筋肉を極力切らない方法を採っているそうですが、それについて詳しく教えてください。

A. 人工膝関節置換術は痛みを取るのに最適な治療法ですが、歩くのに最も重要なのは筋肉です。いくら最高級の入れ歯をしても顎の力がなければ噛めないのと同様に、いくら正確に人工膝関節を設置しても、脚の力がなければ歩けるようにはなりません。当院では膝周囲の筋肉の層をよけながら関節包の一部分だけを切ることで膝関節に到達する「アンダー・バスタス・アプローチ:UVA」という術式を採用しています。筋肉の損傷が少なく、術後疼痛も少なく、回復が早いのが特長です。

Q. 膝関節の両側を取り換えるTKAと片側だけを取り換えるUKAとでは、術後の動きに違いはありますか?

A. どちらの術式の場合でも、患者さんには術後のリハビリをかなり頑張っていただく必要がありますが、術後のリハビリ次第で曲げ伸ばしなど、膝の機能は十分に回復します。

Q. 人工膝関節手術後のリハビリは、実際にはどのくらいの期間、どのようなことをするのでしょうか?また、TKAとUKAで違いはありますか?

A. 安静にし過ぎると膝が固まって動かしにくくなってしまいますから、早ければ手術翌日から歩行訓練や可動域訓練を開始します。リハビリ期間は、早く仕事に復帰したい方で2~3週間程度、高齢でじっくりリハビリに取り組みたい方は4~6週間程度で、階段の上り下りができるようになることを目安にしています。
TKA、UKAのどちらの術式の場合でも、大きな違いはありません。

社会福祉法人 聖ヨハネ会 桜町病院 島田 崇史 先生Q. 膝の手術はかなり痛いと聞きましたが...。

A. 当院では、膝関節周辺の筋肉に様々な痛み止めを配合したものを注射しながら、腰からの麻酔や内服の痛み止めも併用するなどして、痛みを軽減するカクテル療法(多剤併用療法)を採用しています。筋肉を切らずに手術を行っていることも合わせて、最近では手術直後の痛みも少なくなってきている印象です。

Q. 人工膝関節手術の合併症について教えてください。また、合併症を防ぐためにどのような対策をとられているのでしょうか?

A. 万が一、人工膝関節の金属部分にばい菌が付着すれば再手術が必要になりますから、感染を防ぐことが非常に重要です。そのために抗生物質を投与し、手術はクリーンルームで実施しています。さらに、術後の経過観察を怠らず、急な発熱、痛みといった予兆を見逃さないようにしています。そういったこと以外でも、当院では退院された患者さんに対しては、少しでも異変を感じたらすぐに連絡してもらうようにしています。
ほかには、手術中、長時間にわたって脚を動かさないでいると血管の流れが滞り、血栓が起こる恐れもありますから、患者さんには術前に血栓の兆候がないか検査しています。また、術後も弾性ストッキングやフットポンプをふくらはぎに装着して筋肉に刺激を与えることで血栓を防いでいます。

弾性ストッキングやフットポンプ

Q. 先生が治療に際して意識されていることはありますか?

A. 患者さんの中には、薬や手術治療を嫌がる方もいますから、膝を治した後にどう生活していきたいのか、患者さんの希望を聞くようにしています。歩けないレベルになれば手術になるのも仕方ありませんが、リハビリだけでがんばっていきたい方に無理に手術を勧めることはしませんし、患者さんの設定したゴールに向けて、痛みが改善できるように一緒に治していきたいと思っています。

Q. 先生が整形外科医を志望された理由がありましたら教えてください。

A. 子供のころからスポーツが好きで、骨折などのけがをして整形外科医にかかることが多く、なじみがあり、目指すようになりました。

社会福祉法人 聖ヨハネ会 桜町病院 島田 崇史 先生Q. 最後に、膝の痛みを抱える方に、メッセージをお願いします。

A. 膝が痛いと日常生活に支障が出て、旅行やスポーツなどの好きなことも楽しめなくなってしまいます。その痛みを放置していてもよくなることはありませんので、まずは専門医を受診して、いまの膝の状態を把握しておくことが大切です。人工膝関節置換術も含めて様々な治療方法がありますから、専門医と相談のうえで今後の治療方針を決められるとよいでしょう。

島田 崇史 先生からのメッセージ

※ムービーの上にマウスを持っていくと再生ボタンが表示されます。

取材日:2019.8.2

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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