先生があなたに伝えたいこと / 【松本 善企】トップアスリートのメディカルサポートを通じて培った知識と技術を、スポーツを愛するすべての人が運動を続けられることに活かしたいと思います。

先生があなたに伝えたいこと

【松本 善企】トップアスリートのメディカルサポートを通じて培った知識と技術を、スポーツを愛するすべての人が運動を続けられることに活かしたいと思います。

大分市医師会立 アルメイダ病院 松本 善企 先生

大分市医師会立 アルメイダ病院
まつもと よしき
松本 善企 先生
専門:スポーツ整形外科(膝関節ほか)

松本先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 早くコロナが落ち着いて、対面でのコミュニケーションが復活してほしいと願っています。
また、成長期のスポーツ選手の親御さんには、競技を続けていくうえで、何かあったときに助言をもらえる信頼できるドクターをみつけてほしいと思います。

2.休日には何をして過ごしますか?
 「初期治療をやっていればもっと早く治ったのに」と思うことが多く、土日はチームドクターとしてできるだけスポーツ現場に顔を出すようにしています。家族には申し訳ないと思うのですが、家にはほとんどおりません...。

先生からのメッセージ

トップアスリートのメディカルサポートを通じて培った知識と技術を、スポーツを愛するすべての人が運動を続けられることに活かしたいと思います。

このインタビュー記事は、リモート取材で編集しています。

Q. 本日は、日本整形外科学会「認定スポーツ医」、日本スポーツ協会「公認スポーツドクター」、JOC日本オリンピック委員会強化スタッフなど、スポーツ関連の医療に携わられている松本先生に、スポーツ医学についてお伺いします。まず始めに、「認定スポーツ医」、「公認スポーツドクター」について教えてください。

A. 「認定スポーツ医」、「公認スポーツドクター」は、スポーツ外傷・障害の治療や予防をはじめとするスポーツに関する課題を解決するために、スポーツ医学に興味のある医師がそれぞれ学会や協会のカリキュラムを受講して認定を受けるものです。開業医の方がスポーツ選手も診られるように認定を受けるケースが多いですが、実際にスポーツに関わっている認定医はそれほど多くはありません。

大分市医師会立 アルメイダ病院 松本 善企 先生Q. 「認定スポーツ医」、「公認スポーツドクター」は、整形外科の先生が多いのでしょうか?

A. 練習時の腹痛や風邪にも対応し、海外遠征時には予防接種といった内科的知識も問われるため、内科医も多く、日本スポーツ協会の公認スポーツドクターのうち、整形外科医は半分程度です。

Q. 実際にはどのような仕事をされているのでしょうか?

A. 院内で診断をつけて適切な治療を行い、リハビリスタッフと連携して選手の現場復帰につなげることを目指しています。私の場合、サッカーU-19/21(19-21歳以下)日本代表のチームドクターを務めていますので、年の4分の1はチームに帯同し、現場で救急対応を含めた医事対応を行っています。

Q. 診療で先生が意識していらっしゃることはありますか?

A. できるだけ早く適切な診断を下し、早期に治療介入することです。早く治療を始めれば、それだけ早く現場に復帰できる可能性が高まります。生活動作や食事についても聞き、日常生活で改善できることがあればアドバイスし、いかにコンディションを維持しながら治していくかを意識しています。
チーム帯同時には、選手一人ひとりと信頼関係を築き、成長期にある彼らをどうやって怪我なくトップレベルに押し上げていけるか考えています。

大分市医師会立 アルメイダ病院 松本 善企 先生Q. スポーツの「ケガ」と「障害」はどう違うのでしょうか?

A. 他の選手との接触や打撲といった一度の外力(外部から加わった力)で起こるのが「スポーツ外傷(ケガ)」で、スポーツによって関節や腱、骨などに繰り返し外力が加わることで起こるのが「スポーツ障害」です。
スポーツ障害は同じ動作を繰り返して酷使することが原因となることが多いですが、疲労や過労、フォームの悪さやスパイクやラケット、グローブなどの道具が遠因(間接的な原因)となることもあります。

Q. よくわかりました。ではまずスポーツ外傷から教えてください。スポーツでケガをしたらどうすればよいでしょうか?

A. スポーツで肉離れや捻挫、打撲などの外傷を受けた場合に医療機関にかかるまでダメージを最小限にするために、まずはプレーを止めさせ、応急処置として「RICE処置」を行います。RICEとは、患部の出血や腫れ、痛みを防ぐために安静(Rest)にし、患部を氷で冷却(Icing)し、包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患部を心臓より上に挙上 (Elevation)するの頭文字を取ったもので、応急処置の基本です。RICE処置後は早めに医療機関を受診することです。必ずしもスポーツ整形外科である必要はありませんが、加療や手術が必要となる場合には、スポーツ整形外科の方が復帰に向けた道筋が見えるかと思います。

RICE処置

Q. 次にスポーツ障害について教えてください。膝関節にはどのようなスポーツ障害がありますか?

大分市医師会立 アルメイダ病院 松本 善企 先生A. 膝の使い過ぎで起こる成長期のスポーツ障害として、代表的なものにオスグッド病や膝蓋腱炎(しつがいけんえん)があります。
オスグッド病は骨の成長に筋肉の成長が追いつかず、筋肉の付着部に炎症を起こして膝に痛みが起こります。膝蓋腱炎はいわゆる"ジャンパー膝"といってジャンプやダッシュのような膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで膝蓋骨(しつがいこつ:膝のお皿の部分)の腱を損傷して膝の前面に痛みが起こります。
オスグッド病はサッカー選手、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)は、その名の通りバスケットボールやバレーボールの選手に多く見られます。

Q. 膝のスポーツ障害を防ぐ方法はありますか?

A. オスグッド病も膝蓋腱炎も、膝のお皿の下の腱が伸び縮みしない部分・脛骨粗面(けいこつそめん)に負荷がかかることで起きます。脛骨粗面は大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という筋肉が付着している場所なので、この部分をしっかり伸ばすことが重要で、うつ伏せでかかとをお尻につけるストレッチを勧めています。成長期の子どもたちには練習前後のストレッチがとくに重要ですから、私も大分県のスポーツ協会と連携して中学校に出向いてストレッチの指導を行っています。

うつ伏せでかかとをお尻につけるストレッチ

Q. スポーツ外傷、スポーツ障害を治療する際のポイントはありますか?

A. 早期に正確な診断を下すことはもちろん、患者さんの重症度やニーズに応じた治療を行うことが大切です。たとえば高校生であれば1年生か、引退試合を控えた3年生なのか、本人が何を望んでいるかも踏まえて治療方針を決定します。
当院で整形外科部長兼スポーツ整形外科部長として、高齢者の方を含めてさまざまな年代の患者さんを診ていますが、高齢の方がいかに生きがいを持って運動を続けていけるかということも高齢社会で重要な課題だと感じています。

大分市医師会立 アルメイダ病院 松本 善企 先生Q. 一般の患者さんとスポーツ選手とではリハビリに違いはありますか?

A. いわゆるケガや病気から日常生活への復帰を目指すメディカル・リハビリテーションに対し、スポーツ選手の場合は、スポーツができるようになるまで、より高度な回復を目指すアスレチック・リハビリテーションが必要となります。
アスレチック・リハビリテーションでは、競技動作に即した動きができるようにチームのトレーナーと連携してグラウンドや体育館で適宜プログラムを作っていく形を取っています。

Q. 患者さんであるスポーツ選手に寄り添っておられるのですね。これまでに先生が携わられたスポーツ選手のケガや障害で印象に残っていることがありましたら教えてください。

A. サッカーの試合中に、目の前で膝の前十字靭帯断裂を起こした選手の治療に携わり、現場復帰まで見届けられたことです。受傷から数日経つと経緯がわかりづらくなり、回復もそれだけ遅くなりますから、やはりすぐに診断を下せて治療に介入でき、回復過程に携われるのはスポーツドクター冥利に尽きます。

アルメイダ病院整形外科のみなさんQ. 最後に先生が整形外科医、とりわけスポーツに関わられるきっかけとなったエピソードがありましたら教えてください。

A. 小学生の時に野球肘になり、中学生時分にはサッカーで膝をケガするなど、大事な場面で辛い想いをし、アスリートをサポートできるスポーツドクターになりたいという気持ちが芽生えました。

Q. 最後に患者様へのメッセージをお願いいたします。

松本 善企 先生からのメッセージ

※ムービーの上にマウスを持っていくと再生ボタンが表示されます。

リモート取材日:2022.1.24

*本文、および動画で述べられている内容は医師個人の見解であり、特定の製品等の推奨、効能効果や安全性等の保証をするものではありません。また、内容が必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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