先生があなたに伝えたいこと
【水上 哲也】歯の自然な美しさを回復して、患者さんのQOLに関わる部分までも回復することをモットーとしています。
水上歯科クリニック
みずかみ てつや
水上 哲也 先生
専門:歯科
水上先生の一面
1.最近気になることは何ですか?
虫歯や歯周病など総合的な治療の際に歯の機能回復や痛みを取り去ることだけではなく、「審美歯科」と呼ばれる分野の役割として、いかにしてできるだけきれいに丁寧に仕上げていくのかということです。歯の自然な美しさを回復して、患者さんのQOLに関わる部分までも回復することをモットーとしています。
2.休みの日は何をしていますか?
ぼーっとしているか、仕事か読書です。講演会の準備など仕事をすることもありますが、喫茶店でするなど時間を決めるようにしています。本は、書店の目立つ場所に置いてある話題の新書などを読みます。小説は昔たくさん読みましたが、最近はあまり読まなくなりました。さっと読める手軽なものを選んで、講演会のネタにすることもよくあります。
Q. まず始めに歯周病について教えてください。
A. 歯周病とは歯茎の周りの感染症です。人間の体は皮膚で守られていて、皮膚にあたるのが歯茎の部分です。そこから突き出した歯と歯茎との境目にバクテリアが増殖して炎症を起こしている状態が歯周病です。
Q. 自覚症状はありますか?
A. 日本人の成人の80%以上は歯周病にかかっているといわれていますが、初期段階のほとんどの人に自覚症状がありません。歯茎が赤くなる、歯を磨くと血が出るといった症状は初期の歯周病のサインです。口の中のにおいが気になる場合はかなり重度の段階と考えてよいでしょう。激しい痛みが出る場合は、急性炎症を起こしている可能性が高いため、なるべく早く医師に相談することをおすすめします。
Q. 歯周ポケットとは?
A. 歯と歯茎の間の表面に潰瘍ができると、歯茎が歯から離れてきます。そうしてできたすき間を「歯周ポケット」と呼んでいます。ポケットの溝が深くなると、酸素を嫌う嫌気性菌(けんきせいきん)が中にすみついて繁殖し、歯周病の原因となります。
Q. 歯周病の治療法は?
A. まずは、原因となるバイオフィルム(歯周病菌のすみ家)と歯石を取り除き、しっかりと洗い流します。水道の蛇口や浴槽に付いたヌメリを取り除くようなイメージです。ほとんどの方はこの治療で改善できますが、ここを徹底していないと薬がうまく効かず、菌が繁殖し続けてしまいます。初期、中度、重度と段階に応じて治療しますが、重度になると骨まで溶けて歯がぐらつくこともあり、その場合は再生療法が必要です。治療後は毎日の歯みがきで口内を清潔に保ち、年に2、3回のメンテナンスで歯石を除去して予防につなげます。
Q. 歯周病を防ぐ方法はありますか?
A. 腸内に細菌が生息しているのと同じ様に、口内にもさまざまな菌がすみついていています。歯周病菌は常在菌のため、完全に殺してしまうことはできません。18~20歳ごろから口内にすみつき始め、歯周病が発症するのは30歳以降だとされています。生息している歯周病菌は人によって異なり、歯周病にかかりやすいかどうかには個人差がありますが、毎日の歯みがきや定期的な歯科検診で発症のリスクを減らすのが一番の予防法です。ちなみに、口腔内のサンプルを採取してラボに依頼すれば、代表的な歯周病菌のうち数種類は検査で割り出すことができます。検査費用は保険適用外で5~10万円と高額のため一般的には普及していませんが、希望された方や例外的に症状が重度の方には検査をおすすめして治療の指標とすることもあります。
Q. 歯科用インプラントとはどのようなものでしょうか?
A. なくなった歯を補うための人口歯根です。しっかり噛める機能性と普通の歯と同じような見た目を回復します。以前は板状のブレードタイプや筒状のシリンダータイプなどもありましたが、今はねじのような形状のスクリュータイプが一般的です。
Q. 長所と短所を教えてください。
A. インプラントの利点は、骨にしっかりと付き、確実に噛むことができる点です。入れ歯のように残っている歯に負担をかけることはありません。きれいな見た目も保つことができます。一方デメリットとしては、メンテナンスを怠ると歯周病などの疾患にかかる可能性がある点です。年に3、4回メンテナンスをして表面の汚れを除去するのが理想です。
Q. インプラントはニーズが高まっている?
A. インプラントのニーズは年々高まってきましたが、2015年ごろからインプラントが万能でないことがわかってきました。平均寿命が長くなり、健康な歯を持つ高齢者が増える分、歯周病や虫歯の患者はこれからも増えると考えられます。高齢者の健康寿命をいかに伸ばすかが、今後大きな論点となるでしょう。インプラント治療以外の選択肢もありますので、治療の際はメリットとデメリットを患者さんに明確にお伝えして、ご本人の意思や生活スタイルを考慮して最終的な判断をします。
Q. 日頃自分でできるケアはありますか?
A. 飲食後、歯に汚れがついたらすぐに歯みがきをするのが一番です。口内にもっとも雑菌が繁殖するのは夜眠っている間なので、就寝前と起床後は特に念入りに磨いてください。歯みがき粉は、昔に比べて格段に性能が上がりました。ホワイトニングや歯周病用、虫歯用など、市販の商品の種類も多種多様なので、どれを選べばよいかわからないときは歯ブラシと合わせて歯科衛生士さんに選んでもらうのがよいでしょう。
Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。
取材日:2018.7.30
*本文、および動画で述べられている内容は医師個人の見解であり、特定の製品等の推奨、効能効果や安全性等の保証をするものではありません。また、内容が必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。
先生からのメッセージ
歯の自然な美しさを回復して、患者さんのQOLに関わる部分までも回復することをモットーとしています。