先生があなたに伝えたいこと
【覚本 嘉美】歯の健康を保つには定期的なメンテナンスが不可欠です。歯でお悩みの方は、インプラントも選択肢の一つとして、お近くの歯科かかかりつけ医にご相談ください。
覚本歯科医院
かくもと よしみ
覚本 嘉美 先生
専門:インプラント
覚本先生の一面

1.最近気になることは?
日々進歩する歯科技術です。知り得た最新情報を学会や講演会で歯科医の先生方にお伝えしつつ、診察に生かしていきたいと思っています。
2.休日には何をして過ごしますか?
なかなかまとまった時間が取れませんが、ワインや焼酎を飲んで息抜きしています。
Q. 歯の病気にはどんなものがあるのでしょうか?
A. 虫歯と歯周病が最も多く、そのほかには粘膜や顎の骨の病気、口腔ガンなどがあります。最近は20代でも8割の方が歯周病にかかっているとされ、10代の歯肉炎も増えています。
Q. 歯を悪くする原因は何ですか?
A. 歯の質もありますが、毎日の歯磨きで汚れを落とし切れていないことが一番の原因です。患者さんに「毎日歯を磨いていますか?」と聞くと、皆さん「磨いている」とおっしゃいますが、調べてみると磨けていないことがほとんどです。
歯周病で歯茎が下がってくると歯の隙間が大きくなり、歯ブラシだけでは磨ききれなくなるので、歯間ブラシを使う必要があります。
糖尿病の人は歯周病になりやすいなど、体質もあります。遺伝もありますが、最近は若くて糖尿病になる人も増えています。
Q. 虫歯には色々な種類があるのですか?
A. 小さな虫歯から、歯の大部分がなくなるような虫歯、歯根に膿(うみ)が溜まるようなひどい虫歯まで様々な虫歯があります。
Q. 虫歯の原因は何でしょうか?
A. 糖分、細菌、歯の質の3つの要因が重なるとできます。放置すると症状は進行していきます。
Q. 虫歯にはどういった治療法があるのでしょうか?
A. 虫歯に侵された部分を取り除き、詰め物をする。歯根の治療をした場合には被せ物をするなどの治療法があります。
Q. 親知らずは抜いてしまったほうがよいのでしょうか?
A. 最近は顎の骨が小さい人が多く、奥歯が生えきれない方が増えています。その場合は口腔衛生上、腫れやすくなるので抜いたほうがいいでしょう。無理に抜く必要はなく、あくまで生活環境や口の中の状況によります。妊娠する予定のある方は、抵抗力が落ち、麻酔も出来なくなりますので早めに抜いたほうがいいでしょう。
Q. 若くても歯がなくなることはありますか?
A. 虫歯や若年性の歯周病で歯がなくなったり、スポーツや事故で歯が欠けたりすることがあります。
Q. 歯がない部分にはどのような治療法が考えられるでしょうか?
A. 虫歯や歯周病は放っておくと症状が進み、歯を支える骨が溶け、歯が抜けてしまうことがあります。その場合には、入れ歯(義歯)やブリッジ、インプラントといった方法が考えられます。
「入れ歯」は、失った歯の周囲に金属の留め金を付けて人工の歯を留めるもので、「ブリッジ」は失った歯の両隣の歯に橋渡しを行って人工の歯を被せるものです。
Q. 「インプラント」とはどういうものですか?
A. 歯がなくなってしまった部分に人工の歯の根を埋め込み、その上に人工の歯を被せるものです。最大のメリットは、自分の歯のように噛め、取り外しをしなくてすむことです。
入れ歯だと毎日取り外しを行う必要があり、ブリッジは、失った歯の両側の歯の土台を削って被せるため、きれいな天然歯を削る必要があります。
Q. インプラントに向かない人もいるのでしょうか?
A. 全身疾患、特に骨粗鬆症の方は事前に医師への相談が必要です。治療薬によって顎の骨の炎症を起こす恐れがあります。
成長段階にある若い方は、顎の骨の成長が止まる18歳くらいまでは行わない方が良いでしょう。年齢の上限はなく、80歳、90歳であってもインプラントは可能です。
Q. 審美面を重視してインプラントを選択される方もいますか?
A. 入れ歯だと、旅行に行って食事をすれば洗わなくてはいけませんし、前歯の場合、バネが見えてしまうこともあるので、女性は入れ歯に抵抗のある方も多いようです。
Q. インプラント手術はどこでも可能ですか?
A. この10年は歯科大学のカリキュラムにも含まれるようになり、インプラントを実施する歯科医院は増えていますが、どこでもやっているわけではなく、日本口腔インプラント学会などの団体に所属する歯科医が、学会や研修会、メーカー開催の勉強会を通じて技術や知識を身に付けています。
Q. 歯科医もセカンドオピニオンをした方がいいでしょうか?
A. 素材の選び方や、手術の方法、費用に納得できない場合、あるいはひどい虫歯があったときに、「すぐ抜いてしまいましょう」といわれた場合など、別の角度から情報を得るうえでもセカンドオピニオンを求めるのもいいと思います。
Q. インプラントの素材について詳しく教えてください。
A. 当院ではインプラント治療を30年以上行っていますが、初期のインプラントは、骨とくっつかず、自分の歯をブリッジのような形で使うタイプのものでした。しかし、1960年代に海外メーカーが骨と接合するタイプのインプラントの開発に成功し、その後、インプラント治療は劇的に変わりました。いまではチタン合金の表面にさらに骨とくっつきやすい加工を施して、より長もちする素材のものも出ています。
Q. 違和感も少なくなくなったのでしょうか?
A. そうです。より自分の歯のように噛めるようになりました。ただ、骨とくっつくので、その後のケアを怠ると歯が下がって歯周病になり、やがてぐらぐらして抜ける...という事態にもなります。また、上に被せるのは人工の歯ですので、定期的にチェックし、壊れたら交換する必要はあります。
Q. 費用はどれくらいかかりますか?
A. 保険適用外で、その方の歯や顎の状態、医院によっても異なりますが、1本20数万から50万円程度が相場でしょう。当院では1本30万円前後で行っています。
Q. 手術の流れについて教えてください。
A. 事前にCTを取って顎の骨の高さや幅、太さを計測して、最適なインプラントを選びます。手術当日は、麻酔をして歯茎を切開し、ドリルで骨を削ってインプラントを埋めていきます。通常、インプラント1本あたり20~30分程度で完了します。同じ日に4~8本入れる方もいらっしゃいます。
Q. リスクはあるのでしょうか?
A. 骨を削る手術になりますので、麻酔によるアレルギーや、血管や神経を損傷させないよう十分に注意する必要があります。
Q. 先生が手術をするうえで心がけていらっしゃることは何ですか?
A. 事故を起こさないように、安心安全な治療を行うことに尽きます。
Q. 手術後、日常生活の制限はありますか?
A. とくにありません。手術当日は、麻酔が切れるまで唇を噛まないように注意していただくことと、運動と飲酒は控えてもらう程度で、あとは堅いものを噛んでいただいて大丈夫です。麻酔が切れて、次の日に少し腫れることはあるかもしれませんが、歯を抜く処置と同じくらいに思っていただければいいと思います
Q. インプラントを長く保つにはどうしたらいいですか?
A. 定期的に3ヵ月に一度くらいは歯科医を受診し、自分の歯と同じように歯石や汚れを取るなどのメンテナンスをしていただけばいいと思います。
Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。
取材日:2018.7.11
*本文、および動画で述べられている内容は医師個人の見解であり、特定の製品等の推奨、効能効果や安全性等の保証をするものではありません。また、内容が必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。
先生からのメッセージ
歯の健康を保つには定期的なメンテナンスが不可欠です。歯でお悩みの方は、インプラントも選択肢の一つとして、お近くの歯科かかかりつけ医にご相談ください。