先生があなたに伝えたいこと
【新谷 悟】いくつになっても自分の歯で噛めるように、インプラント治療や最先端の治療法も視野に入れて全力でサポートいたします。
東京銀座シンタニ歯科 口腔外科クリニック
しんたに さとる
新谷 悟 先生
専門:インプラント
新谷先生の一面
1.最近気になることは?
正しい歯科技術を世の中に発信していくことです。4つのホームページを使って、日々口の中の病気や歯科治療に関する情報発信を行っています。
2.休日には何をして過ごしますか?
自宅の水槽で伊勢エビ、クエ、フグなど、海水魚を飼っています。『フグちゃん』『クエちゃん』と呼びかけて餌をやって(笑)。身近に海を感じられて楽しいですよ。
Q. 歯の病気にはどんなものがあるのでしょうか?
A. 虫歯や歯周病が一番多く、顎の病気や、口腔ガンなどもあります。歯周病は、いまやほとんどの日本人がかかっている国民病といって過言ではないと思います。
Q. なぜ歯周病が増えているのですか?
A. 固い食べ物を噛むことが減り、柔らかい食べ物を好むことが増えたことも考えられますが、残念ながら体質によって虫歯にならない方もいれば、遺伝で若年性歯周病になる方もいます。
私が大学を卒業した時分は、80歳で歯がほとんど残っていない方も多く、街中に口臭の強い年配男性が多かった記憶がありますが(笑)、いまは80歳でも自分の歯を20本以上残されている方が増え、重度の歯周病の方は減っている印象です。
Q. 日本人の歯に対する意識が高くなったということでしょうか?
A. 少しは意識が高くなったと思いますが、欧米ほどではありません。欧米では「フロスか死か(Floss or Die)」という言葉があるほど、歯ブラシに加えてデンタルフロスを使ったケアが当たり前です。けれども、日本では歯ブラシだけで済ませる人が圧倒的に多いのが実状です。
Q. なぜ歯ブラシだけではだめなのですか?
A. 子どもは乳歯の咬合面(こうごうめん・噛みあう面)が虫歯になることが多いので、歯ブラシが効果を発揮しますが、大人になると歯と歯の隣接面が虫歯になることが多いのです。
歯周病で歯茎が下がってくると歯の隙間が大きくなり、やがては歯茎の下にある歯を支える骨を溶かしてしまいます。そうならないように、歯と歯の間や隣接部を磨くことが不可欠ですが、歯ブラシだけでは口腔内の汚れの6割程度しか落とすことができません。歯間ブラシも歯と歯の間を磨くには効果がありますが、隣接面には対応しきれません。
Q. デンタルフロスの効果的な使い方を教えてください。
A. デンタルフロスを歯と歯の隣接面に入れてこすりあげ、歯垢をからめ取ります。引っかかるようであれば初期の虫歯があり、出血すれば歯肉炎があるということです。歯肉炎から歯周病が始まるので、歯の状態をチェックするためにもデンタルフロスを役立ててください。
Q. 歯の治療に訪れる方はどのくらいの年代の方が多いですか?
A. 20代~30代で親知らずを抜く方、歯がなくなって治療に訪れる50~70代の方が最も多いです。
Q. 歯を失った場合にはどのような治療法がありますか?
A. 入れ歯(義歯)やブリッジ、インプラントといった方法があります。「入れ歯」は、失った歯の周囲に金属の留め金を付けて人工の歯を留めるもので、指にたとえるなら悪くした指に指サックを被せるようなものです。「ブリッジ」は失った歯の両隣の歯に橋渡しを行って人工の歯を被せるものですが、悪くした指を束ねるようなものなので、両隣の歯への負荷が懸念されます。
Q. 「インプラント」とはどういうものですか?
A. 歯がなくなってしまった部分に人工の歯の根に似せたボルトを埋め込み、その上に人工の歯を被せ、新しい指をつくるような方法です。欧米メーカー主導で各国で開発が進み、わが国でも90年代に国産インプラントが開発されたのを皮切りに、今ではインプラント設置のリスクを低減できるサージカルガイドと連携した新技術など、素材やシステムも進化しています。
Q. インプラントに向かない人もいるのでしょうか?
A. 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の治療をされている方、抗ガン剤治療をされている方です。その他、持病がある方はご相談ください。成長期にあるお子さんは、顎の成長が止まってから検討されることをお薦めします。女性で16歳、男性で18歳以上でしょうか。
Q. インプラントはどこの歯科医院でもやっていますか?
A. 実施していない歯科医院もありますし、実施している医院でもインプラントの手法は様々です。口腔内の粘膜疾患など、様々な事態に対応でき、サージカルガイドを使う歯科医院を選ぶことをお薦めします。
Q. 費用はどれくらいかかりますか?
A. 保険適用外で、医院のある地域や手術のプロセスによって違いがあります。
Q. 治療の際にセカンドオピニオンを求めた方がいいこともありますか?
A. 素材の選び方や手術の方法、費用に納得できない場合や、「すぐに抜いてしまいましょう」といわれた場合は、信頼できる医師をみつけるためにもセカンドオピニオンを求めるといいでしょう。
Q. 手術の流れを教えてください。
A. 事前にCTを取って3次元のコンピューターソフトを使って歯や顎の骨の状態を確認し、どの位置にどの角度でインプラントを入れるかシミュレーションを行います。手術当日は、口腔内の消毒後に麻酔をかけ、インプラントを埋め込みます。口腔内に問題がなければ1本10~15分程度で終わることもあります。
Q. 痛みはありますか?
A. 手術後に痛み止めを飲まない方もいらっしゃいます。1本程度なら歯を抜くより楽だとおっしゃる患者さんが多いです。
Q. インプラントを入れた場合のデメリットはありますか?
A. 適切な位置、角度に入れればデメリットは見当たりません。
Q. インプラントを入れた後に気をつけることはありますか?
A. 自分の歯と同じように噛めるのがインプラントのメリットですが、手入れを怠ると歯肉炎や歯周病になります。歯ブラシやデンタルフロスで毎日ブラッシングし、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けてください。
Q. よい歯科医院をみつける基準はありますか?
A. 虫歯検知薬を使い、デンタルフロスの指導を行っている医院を選ぶことをお薦めします。
虫歯治療で一番大切なことは、細菌に感染した歯質を完全に除去することです。残念ながら目視や歯の硬さを頼りに虫歯治療にあたる歯科医院も多く、治療で取り残された虫歯部分を悪くされ、再治療に訪れる方が多いのです。検診で、虫歯部分を染め出す虫歯検知薬を使っているかどうかをひとつの目安としてください。
Q. 先生が治療で心がけていることは何ですか?
A. 患者さんを自分の家族と思って、誠心誠意、常に全力で治療にあたることです。
インプラントは角度と深さとその設置位置が肝心ですから、事前のシミュレーションは徹底的に行います。
Q. 歯の健康を保つためのアドバイスをお願いします。
A. 歯科医院は歯が痛いときに漫然と行くところではありません。歯の健康を保つには、歯科医院に3~4ヵ月に一度くらい定期的に通い、歯科衛生士のブラッシング指導を受け、自分では磨ききれない部分の歯石を取ってもらうなど、予防的措置を行うことが大切です。予防さえしっかりしていれば生涯自分の歯で噛むことができますよ。
Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。
取材日:2018.7.11
*本文、および動画で述べられている内容は医師個人の見解であり、特定の製品等の推奨、効能効果や安全性等の保証をするものではありません。また、内容が必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。
先生からのメッセージ
いくつになっても自分の歯で噛めるように、インプラント治療や最先端の治療法も視野に入れて全力でサポートいたします。