先生があなたに伝えたいこと / 【難波 良文】あらゆる技術を駆使してきちっと正確に、患者さんへの負担が少ない手術を行うこと。そうすれば術後の成績もおのずからついてくるものだと思います。

先生があなたに伝えたいこと

【難波 良文】あらゆる技術を駆使してきちっと正確に、患者さんへの負担が少ない手術を行うこと。そうすれば術後の成績もおのずからついてくるものだと思います。

川崎医科大学附属病院 難波 良文 先生

川崎医科大学附属病院
なんば  よしふみ
難波 良文 先生
専門:膝関節股関節

難波先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 仕事で海外へ行くことが多く、英語を勉強しないといけないなぁとつくづく思っています。

2.休日には何をして過ごしますか?
 ゆっくり昼寝をして、妻の手伝いで家庭菜園などしています。

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先生からのメッセージ

あらゆる技術を駆使してきちっと正確に、患者さんへの負担が少ない手術を行うこと。
そうすれば術後の成績もおのずからついてくるものだと思います。

Q. 先生には人工膝関節手術について、いろいろ教えていただきたいと思います。人工膝関節に至る疾患にはどのようなものがあるのでしょうか?

A. 圧倒的に多いのは変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)です。あとは、良いお薬ができて手術の症例は少なくなりましたが、関節リウマチや、珍しい疾患ですが、骨壊死(こつえし)も、進行すれば人工膝関節手術が必要になる病気です。

変形性膝関節症

正常な関節 関節リウマチ

Q. 骨壊死とはどういう病気ですか?

A. 70代以上の女性に多いのですが、ほとんどの場合は大腿骨の内側の軟骨が特異的に傷みます。病名としては壊死ですが、病態としては死んでいるわけでも腐っているわけでもありません。変形性膝関節症のように徐々にではなく、急に血流が悪くなって症状も突然現れるのが特徴です。それほど多くの方が罹患する疾患ではなく、当院では年間200例ほど人工膝関節手術を行っていますが、割合としてはそのうち4、5名といったところでしょうか。

Q. では、最も多いという変形性膝関節症はどのような病気で、その原因は何なのでしょうか?

川崎医科大学附属病院 難波 良文 先生A. 膝関節の軟骨がすり減ることで痛みや変形が生じる疾患で、主に加齢が原因です。長年に亘って膝関節を使い過ぎたこと、あるいは肥満などで膝関節に余分な負担がかかることで発症します。職業別では、しゃがんだり立ったりすることが多い農業や、バランスの悪いところで踏ん張らなければならない漁業に従事する方に多く見られます。このように変形性膝関節症は日々の積み重ね、年齢を重ねる中で起こりますので、手術を受けられる年齢も70代、80代が中心です。対して股関節の場合は、先天性の疾患から発症することが多いために、50代、60代で手術をされる方が少なくありません。

Q. 変形性膝関節症や骨壊死では、手術以外の治療の選択肢もあるのでしょうか?

A. 骨壊死に関しては自然治癒がなかなか難しくて、ほぼすべて外科的治療が必要になると思います。一方、変形性膝関節症では手術をしないケースも多いですよ。保存療法で進行を止めることができる場合や、生活に特に支障がなければ手術をせずに経過観察を続けることもあります。

Q. その保存療法について少し教えていただけますか?

膝を伸ばす運動の例A. 中心になるのは「膝の運動療法」です。痛みの改善や、進行を遅らせるのにはとても有効だと思います。膝が悪くなると、膝を伸ばしたり曲げたりするのが痛いから動かない、動かないから膝が伸びにくくなります。そういう状態で、脚を曲げたまま歩くと余計に膝に負担がかかるし、腰などの別の部位も悪くなることがあります。この悪循環を断ち切るのにも効果がありますし、もう一度伸びるようになるとずいぶん楽になります。ですから膝を伸ばす練習が基本となります。それでも伸びなくなってしまったら、手術を考えることになるでしょう。それに並行して「投薬治療」を行います。以前は痛み止めをよく使っていましたが、長期間服用すると腎障害や胃腸障害などの合併症を起こすこともありますので、今ではある程度のところで見切りをつけています。
ヒアルロン酸の関節内注射も5回くらいやって結果を精査し、改善がみられれば続けますが、ただ漫然と続けるのは意味がないと思います。

Q. なるほど。進行して、痛みの改善がみられないときは手術が必要というわけですね。

A. そうですね。日本人は我慢強くてなかなか手術に踏み切れない方も多いのですが、「夜、うずいて眠れない」、「痛くて買い物に行くのも辛い」、そういうことになれば手術を決断する目安でしょうね。手術前の状態は術後の成績に影響しますので、いたずらに先延ばしするのは良くないと思います。

Q. 手術イコール人工膝関節手術なのですか?

A. 当院では人工膝関節手術がメインです。内側だけが悪い場合、高位脛骨骨切り術(こういけいこつこつきりじゅつ)という方法もありますが、痛みは人工関節のほうが取れることが多いですし、骨切り術をやった後、もし何年かあとに人工膝関節手術が必要になったとき、膝の形が変わっていますから非常にやりにくいんです。また入院期間も長くなります。特に高齢者の場合は、骨自体が弱いなどさまざまな理由から、当院ではほぼ人工膝関節手術を採用しています。

高位脛骨骨切り術

Q. 先生は人工膝関節手術の際、傷口をなるべく小さくして、患者さんの負担が少ない手術をされていますね。

A. MIS(エムアイエス:最小侵襲術)は、「できるだけその方のストレスや切開創を小さくしましょう」という手術方法です。人工膝関節手術に関しては全部を人工物に取り換える人工膝関節全置換術(じんこうひざかんせつちかんじゅつ:TKA)が主流ですが、O脚によって内側だけが傷んでいるケースが多くを占めますので、私の考えとしては、その内側だけを換える人工膝関節単顆置換術(じんこうひざかんせつたんかちかんじゅつ:UKA)が本当のMISだと思って手術を行っています。

人工膝関節全置換術(TKA)

人工膝関節全置換術(TKA)

人工膝関節単顆置換術(UKA)

人工膝関節単顆置換術(UKA)

Q. 内側だけが悪い場合、すべてUKAができるのですか?

A. あまりに変形が進んでいるなど例外的な場合を除いて、8割以上、UKAで対応できています。先ほど日本人は我慢強いと言いましたが、それでも最近は少しずつ意識が変わってきて、前よりはちょっと早く手術を決断されるようになり、UKAの症例が増えています。

Q. UKAで行われるMISのメリットとは何でしょうか?

川崎医科大学附属病院 難波 良文 先生A. 患者さんにとっては、傷が小さく筋肉も切開せずに手術ができますので回復が早いこと。TKAの場合は、膝関節の中にある前十字靭帯と、インプラント(人工関節)によっては後十字靭帯を切らないと手術ができません。本来あるべきものを取るのですから、どんなに頑張ったところで元のような動きは再現できないんです。UKAですと靭帯を温存しますから生理的な動きを残すことができ、さらに除痛効果も優れていると思います。

Q. UKAのほうが除痛効果が高いのはどうしてですか?

A. TKAは侵襲が大きいですし、神経組織がいっぱいある骨膜をはがしたりして手術をしますので、神経痛や傷口のしびれなどの痛みが残ることがあります。やはり傷は小さいほうが良いということです。

Q. UKAとTKAの耐用年数については?

川崎医科大学附属病院 難波 良文 先生A. 活動性の高い若い方の場合はTKAのほうが良いかなと思いますが、UKAは、70代、80代なら10年から20年は保つといわれています。優劣はないと思いますよ。

Q. これほどUKAが優れた成績を残せているということは、それだけ手術手技が進化したということでしょうか?

A. ええ、そうです。昔はUKAでも大きく展開したり、骨膜をはがしたりして手術していました。そうすると片側だけを人工物に換えるUKAでは良い成績は望めません。それで一時下火になったのですが、器械も技術も進歩して小さな切開でできるようになるようになったら、今度はMISのメリットがすごく生かされることが実証されだしたのです。また、MISのメリットの、「切開が小さいので出血が少なく」輸血の必要がない、「痛みが小さく、早く動かすことができる」ことはすなわち、血栓などの合併症予防にもなります。

Q. UKAのデメリットを強いて挙げるとすれば?

A. テクニカルエラーと術後の骨折ですね。この手術は技術的に少し難しく、内側の悪いところだけに入れるということもあって、ふとしたことでインプラントのすぐ下の部分で骨が折れてしまうことがあるんです。骨折の確率は全体の1%弱でしょうか。急に痛くなるのですが、これを放っておいたら大変なことになりますから、その時点で早く診察に来ていただくことが大事です。ヒビが入った程度で見つけることができ、それですと体重をかけずに安静にすることで骨がついてくれます。

Q. そのへんも踏まえて、UKAを考えておられる患者さんに何かアドバイスはありますか?

A. 病院を選ばれる際に手術の症例数がひとつの参考にはなると思いますね。手術の経験が多いことでテクニカルエラーの確率は低くなると思います。

Q. よくわかりました。手術後の痛みのコントロールについてはいかがでしょうか?

川崎医科大学附属病院 難波 良文 先生A. 昔は座薬だけでした。膝関節は他の人工関節に比べても術後の痛みの強い手術でしたので、大変だったと思います。今、当院で採用しているのは局所麻酔剤です。その中に消炎鎮痛剤などを効果的に混ぜて手術中に注射します。これで術後1日、2日の痛みはずいぶん楽です。そのあとには痛み止めを上手に使うことでさらに痛みを抑えています。痛みのコントロールには、ほかに硬膜外麻酔や大腿神経ブロック等もありますが、稀とはいえ血腫ができたり神経麻痺を起こしたりするケースがあり、当院では、局所麻酔が最も後遺症のリスクのない方法だろうということで採用しています。そしてできるだけUKAで済ませること。これも痛みを抑える有効な手段です。マルチモーダルマネージメントといって、麻酔剤だけに頼らず手術法や薬など「あらゆる方法を組み合わせて安全に効果的に痛みを取りましょう」という考え方が大事だと思います。

Q. UKAでは入院期間はどれくらいでしょうか?

A. 2週週間から3週間です。UKAは合併症のリスクが小さく痛みも抑えられ、歩けるまでの時間が短くて、入院期間も短縮できる可能性が高い優れた手術です。

Q. UKAが優れた手術であることがよくわかりました。よく、手術中にモニターを確認しながら行う、ナビゲーション手術のことを聞きますが、こちらでも使われているのですか?

A. TKAでは使っています。ナビゲーションを使おうと思えば皮膚の上にピンを立てるのですが、それがUKAだと皮膚の切開線を超えてしまいます。それだけ皮膚切開が小さいんです。UKA用にもう少しシステムが良くなったら、さらに精度を上げるために使うのも良いかなと思いますが。TKAは実は正確に行うのはとても難しいんですよ。人工膝関節の設置角度は誤差5度以内で収めなくてはいけません。それを実現するためにナビゲーションシステムを用いています。

川崎医科大学附属病院 難波 良文 先生Q. 最後に、改めて、先生が人工膝関節手術をされる上で大事にされていることをお聞かせください。

A. あらゆる技術を駆使してきちっと正確に、患者さんへの負担が少ない手術を行うこと。そうすれば術後の成績もおのずからついてくるものだと思います。

Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

難波 良文 先生からのメッセージ

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取材日:2015.9.15

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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