先生があなたに伝えたいこと / 【島岡 康則】少しでも早く痛みをなくして、痛みを我慢する数年・数十年を歩ける数年・数十年に変えましょう。現在の人工股関節手術なら十分に可能です。

先生があなたに伝えたいこと

【島岡 康則】少しでも早く痛みをなくして、痛みを我慢する数年・数十年を歩ける数年・数十年に変えましょう。現在の人工股関節手術なら十分に可能です。

医療法人社団おると会 浜脇整形外科病院 島岡 康則 先生

医療法人社団おると会 浜脇整形外科病院
しまおか やすのり
島岡 康則 先生
専門:股関節

島岡先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 広島カープの順位を... 最近だけではなく、ずっと昔から気にしています(笑)。

2.休日には何をして過ごしますか?
 家族でアウトドアスポーツを楽しんでいます。夏ならマリンジェットで無人島巡りやシュノーケル、秋は松茸狩り、冬はスキーに出かけることが多いですね。

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先生からのメッセージ

少しでも早く痛みをなくして、痛みを我慢する数年・数十年を歩ける数年・数十年に変えましょう。現在の人工股関節手術なら十分に可能です。

股関節の構造(正面図)Q. 今回は「股関節、どうして痛む? どうすれば治る? 最新の医療現場から」をテーマに、股関節の疾患と治療法について教えていただきたいのですが、まずは股関節の構造について説明していただけますか?

A. 股関節は、大腿骨の先端にあるボールの形の大腿骨頭と、骨頭を骨盤側で受ける深いお椀の形をした寛骨臼(かんこつきゅう)との組み合わせでできている、いわゆる球(きゅう)関節です。正常な股関節では寛骨臼が骨頭の約8割を包み込むことで関節を安定させています。また股関節には普通に歩くだけで体重の3~4倍の力がかかりますが、この力を支えられるよう筋肉や腱で覆われており、安全性を保ったままいろいろな方向に動かすことができます。

Q. それでは股関節の代表的な疾患を教えてください。

医療法人社団おると会 浜脇整形外科病院 島岡 康則 先生A. 成人の股関節の3大疾患は、①変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)、②特発性大腿骨頭壊死症(とくはつせいだいたいこっとうえししょう)、③リウマチ性股関節症です。これ以外に、主に60歳以上の人が転倒することによって受傷する、大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)があります。そのほかにも、スポーツにおいて発生しやすい股関節の障害に、股関節唇損傷(こかんせつしんそんしょう)、股関節滑膜炎(こかんせつかつまくえん)、恥骨結合炎症・疲労骨折、内転筋や腸腰筋の炎症などがあります。

変形性股関節症

Q. 3大疾患の原因は何ですか? やはり、年をとるとなりやすくなるのでしょうか?

A. ①変形性股関節症の主な原因は、日本では発育性股関節形成不全の後遺症で全体の80%を占めます。寛骨臼が十分に発育せず、大腿骨頭を包み込む面積が小さいため股関節に負担がかかり、軟骨がすり減って痛みや変形の原因となるのです。しかし形成不全があっても、10代、20代では自覚症状がないまま過ごし、30代、40代になってから変形性股関節症を発症することが多いようです。

正常 発育性股関節形成不全

②特発性大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭の血流が途絶えることで骨が壊死し、股関節の機能が失われる難治性疾患です。このうち股関節脱臼や骨折など原因が明らかな場合を除いたものを特発性といいますが、過剰なアルコールの摂取やステロイド投与が関係するといわれています。
③リウマチ性股関節症は、リウマチによる滑膜の炎症で軟骨や骨がもろくなり、そこに体重がかかることで関節が破壊されます。参考までに、日本におけるリウマチ患者数は70万人〜80万人といわれ、発症年齢で多いのは30代から50代です。
これらはいずれも進行すると、人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ)の適応となる疾患です。

人工股関節置換術の例

人工股関節置換術の例

Q. それら3代疾患を予防する方法、あるいは進行を遅らせる方法はありますか?

A. 発症しないための予防というのはなかなか難しいですが、進行させない、悪くならないように生活を工夫することはできます。それは「無理しないこと」と「筋力を保つこと」です。つまり、痛みのない範囲でなるべく身体を動かすようにすることです。これは手術後にも効果があり、早い回復と社会復帰につながります。

トイレ イラストQ. 進行を抑えるため、実際、患者さんにはどのような生活指導をされるのですか?

A. まず和式から洋式への生活形態の変更、すなわちベッドや洋式トイレにすることです。合わせて浴室やトイレに手摺りを設置するなど、股関節の負担を減らす工夫があげられます。もちろん、階段昇降や重量物の運搬はできるだけ控えるように指導します。また、長距離の歩行では筋肉に疲労が出てしまうので、できるだけ休憩を取りながら歩いていただきます。適切な体重を保つことも重要です。体重コントロールができて筋力が保てている患者さんは、股関節障害の進行が遅く疼痛(とうつう)も少ないと思います。歩くことが苦痛になる前に専門医の診察を受け、適切な指導を受けることが重要です。

Q. 治療について教えてください。すぐに手術が必要ですか?

医療法人社団おると会 浜脇整形外科病院 島岡 康則 先生A. 歩行が困難で生活に大きな支障がある場合は、早急な手術が必要なこともありますが、まずは保存療法を行います。生活指導に加え、ストレッチと筋力トレーニング中心の運動療法も有効です。ストレッチで股関節周囲の筋肉をリラックスさせてから、筋力トレーニングを行います。ちょっと頑張って歩いて筋肉が痛くなってしまったときには、ぬるま湯にゆっくりと浸かって筋肉の疲れや痛みを取り、そのあとに運動療法を行いましょう。痛みが強い場合は消炎鎮痛剤の薬物療法を併行します。それでも進行してしまって、痛みが改善しなければ手術療法となります。手術には人工股関節置換術のほかに関節温存手術もあります。

Q. 関節温存手術とはどのようなものですか?

A. 寛骨臼や大腿骨頭を人工物に置き換えずに、骨を切って位置や向きを補正することにより股関節の機能を矯正する手術です。寛骨臼を回転させて骨頭を覆うようにする、寛骨臼回転骨切り術(かんこつきゅうかいてんこつきりじゅつ)、骨盤を横に切ってずらして骨頭を覆うようにするキアリ骨盤骨切り術、大腿骨頭の下の部分を切除し内側や外側に傾け、荷重を軟骨の傷んでいないほうに分散させる大腿骨内反骨切り術(だいたいこつないはんこつきりじゅつ)外反骨切り術(がいはんこつきりじゅつ)などがあります。比較的若年者の患者さん向けとなります。

寛骨臼回転骨切り術

Q. 人工股関節置換術は比較的高齢の方に行われるということですか?

A. 昔は人工股関節の寿命の問題があり、60歳を超えるまでは人工股関節手術をしないように保存療法で時間稼ぎをしていました。しかし現在では耐用年数が大幅に延びたことで、より若い年齢での人工股関節手術も十分に可能になっています。これは50歳より若い患者さんが痛みに耐えてこの先10年、20年を過ごすよりも、人工股関節で痛みをとることで、やりたいことのできる10年、20年を選ぶことができるということです。

医療法人社団おると会 浜脇整形外科病院 島岡 康則 先生Q. 今では幅広い年齢層に手術ができるのですね。

A. 例えば、20歳半ばの関節リウマチの患者さんに手術をしたこともあります。その患者さんはもう50歳を超えておられますが特に問題はありません。昔のように耐用年数が10年、15年という時代ではなくなっているのです。また、高齢の患者さんの場合は、股関節だけでなく肩や膝なども悪い方が多くおられます。それなのに「人工股関節が脱臼するリスクがあるので物を拾うときは何かをつかんで」とか、「膝を内側に深く曲げないで」といっても、それをカバーできる手立てがありません。そこで我々にできることは、可動域(かどういき:人工関節を動かすことができる角度)制限がほとんどない手術です。そのために、術後に脱臼しにくい手術法や人工股関節の正確な設置ができるCTナビゲーションシステムを採用しています。

Q. 人工股関節は以前と比べて進歩しているのでしょうか?

A. 人工股関節は、特に強度や耐久性が大きく進歩したといわれています。耐久性については、摺動面(しゅうどうめん:人工関節のパーツ同士がこすれ合う面)の素材、すなわちポリエチレンが超高分子量ポリエチレンに改良されて摩耗しにくくなりました。骨頭ボールも金属製に比べて摩擦係数が小さいセラミックス製のボールが用いられ、さらに摩耗のリスクは低減しています。こういった新しい技術を搭載した人工股関節を使い、正確に手術ができれば40年、50年は大丈夫ではないかと思います。耐久性が延びれば、若いうちに手術を選択し、その後の長い人生を痛みなく明るく楽しむこともできます。さらに日本人の体型に合わせた形状やサイズが選べるようになったことと、手術中に微妙な角度を調整できるシステムなども開発されたことで、かなりそれぞれの患者さんに合わせられるようになりました。また、初期の人工股関節は骨と人工股関節をセメントで接着するセメント固定が主流でしたが、今ではセメントを使わないセメントレス固定が主流となっています。

セメント固定人工股関節の例

セメント固定人工股関節の例

セメントレス固定人工股関節の例

セメントレス固定人工股関節の例

Q. セメントレス固定にはセメント固定にはないメリットがあるということですか?

A. まずは、使い分けることが重要です。セメントレス固定では人工股関節に骨が徐々にくっついていくことで固定の強度が高まります。もし、再置換(さいちかん:人工関節を入れ換えること)となったとき、セメント固定ではセメントを砕く作業が必要になるので、セメントレス固定のほうが対応しやすいのが利点です。もちろん骨の強度が低い高齢の患者さんには、最初からセメントでしっかりと固定するほうが良いと思います。さらに、セメント固定はどのような形の骨にも適応できるという利点もあります。そのため、高齢者では臼蓋(きゅうがい)側のカップをセメントレス固定にし、大腿骨側のステムはセメント固定するハイブリッド手術を選択することが多いです。これは両方のメリットを活かした方法で、手術成績は非常に良好です。

医療法人社団おると会 浜脇整形外科病院 島岡 康則 先生Q. 先生は最新機器も駆使して手術をされているそうですね。

A. まず、人工股関節を正確な位置に設置するための必要条件として、手術前の計画が8割を占めると思っています。そこで取り組んでいるのが、患者さんの骨盤の腸骨(ちょうこつ)から膝までCTを撮り、そのCTデータを解析しながら手術の計画をする3次元術前計画です。従来はトレーシングペーパーに平面的に作図をするのが一般的でした。しかし患者さんごとに骨盤の傾斜角度や入るカップの大きさも異なります。それらを1mm単位でほぼ誤差なく計算できるのは3次元だからこその精度です。これにより患者さんの骨の形状に最適な人工股関節をマッチすることが可能で、それがより良い手術の大事な一歩だと考えています。

Q. 1mm単位で計測して人工股関節を選択できるのですね。3次元術前計画は手術の現場ではどのように活かされるのですか?

A. 当院ではCTナビゲーションシステム(以下CTナビ)を導入しています。手術中、患者さんのCT画像上に器具や人工股関節をプロットすることにより、3次元的に骨を切る角度や大きさ、人工股関節を設置する位置や角度を確認しながら、事前に設定した術前計画通りに手術ができるのです。参考までに、正確な設置角度とは人それぞれの骨盤の傾斜や形状を計測して補正した上で、最も脱臼を起こしにくい角度のことです。これまでの研究や論文で安全で適切とされる角度を計算し、設置位置を確認できるのが3次元術前計画の大きな特長です。術前計画には慣れてくると1時間ぐらいですが、難治症例には、数日を要することもあります。患者さんにとって人工関節は一生涯付き合っていくものなので、それだけの時間をかけて当然だと考えています。
私はこのCTナビと前側方(ぜんそくほう)アプローチを組み合わせて手術を行い、早期回復を目指しています。

ナビゲーションシステムを用いた人工股関節手術

ナビゲーションシステムを用いた人工股関節手術

Q. 前側方アプローチについても少し教えていただけますか?

A. 8~10cmの小さな皮膚切開で、最小限の筋肉切開により前側方から股関節に進入します。筋肉の付着部は切離せずに分け入りながら股関節に到達しますので、筋肉のダメージは少なくて済みます。但し、一部の症例では後方アプローチで手術しています。やはり傷は小さく8~10cmですが、後方にある筋肉の束を切離して股関節に到達します。たとえば変形性股関節症が進行すると、軟骨が摩耗して股関節裂隙(れつげき:すき間)が狭小化するなどいろいろな理由で下肢の脚長が短くなり、左右の脚長差(きゃくちょうさ)が出たりします。こうした高度な変形には後方アプローチが適しています。

アプローチ法 拡大図

アプローチ法

Q. CTナビは正確な手術にとても有効なのですね。

A. 人工股関節のカップの設置角度については、目標位置の±10度以内をセーフティーゾーン(誤差許容範囲)と呼んでいますが、人の手ではどうしても10度ぐらいの角度の誤差が生じるのでセーフティーゾーンを逸脱する可能性があります。大阪大学の股関節グループとの研究で約400例のデータを検討しておりますが、セーフティーゾーンを十分に満たす誤差±5度の枠内に95%以上の実績でした。これは驚異的な数字だと思います。

Q. CTナビを使用している施設は多いのでしょうか?

A. 残念ながらまだまだ少ないのが現状です。理由は機器が高額で、3次元の術前計画や手術中の操作に技術と経験を必要とするからです。正確にインプラントを設置できるツールとわかっていても、使いこなす技術の習得が容易ではありません。そのため、どうしても限られた施設になってしまうのです。しかし私はCTナビに出合い、もし自分が手術を受けるならゴッドハンドと呼ばれるドクターよりもCTナビで手術をしてほしいと素直に思い、導入を決断いたしました。

医療法人社団おると会 浜脇整形外科病院 島岡 康則 先生Q. よくわかりました。それでは術後にはどのような指導をされていますか?

A. CTナビ導入前は、術後に脱臼危険肢位(しい:姿勢のこと)の指導やいくつもの動作制限を患者さんに強いてきました。また後方アプローチでしたので早期のリハビリは慎重を期し、退院レベルまで4週間から6週間かかっていました。今はCTナビと前方アプローチによる筋温存(きんおんぞん:筋肉を温存する)型の低侵襲手術を組み合わせることでリハビリが積極的に行えるようになり、2週間から3週間での退院と動作制限のない術後生活が可能です。限度はありますが、しゃがみ込み、和式の生活、仕事、スポーツもほぼ問題なくできるでしょう。
私は「人工股関節を入れた以上はしっかり使ってください」といっています。体重をかけると骨は丈夫になり筋肉も育ちます。骨や筋肉が強くなれば、人工股関節も安定します。だからしっかり動いて、行きたかった旅行や趣味のスポーツなどをどんどん楽しんでください。

Q. 最後に、先生の治療に対するモットーをお聞かせください。

A. 「手術したことを忘れるような手術」の実現を常に目指しています。

Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

島岡 康則 先生からのメッセージ

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取材日:2017.9.4

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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