先生があなたに伝えたいこと / 【多田 昌弘】足は健康維持の源です。変形性足関節症や外反母趾予防のためにも筋力をつけ、気になるときはぜひ早めの受診を。

先生があなたに伝えたいこと

【多田 昌弘】足は健康維持の源です。変形性足関節症や外反母趾予防のためにも筋力をつけ、気になるときはぜひ早めの受診を。

大阪市立総合医療センター 多田 昌弘 先生

大阪市立総合医療センター
ただ まさひろ
多田 昌弘 先生
専門:人工足関節・外反母趾

多田先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 ウエストが年々大きくなっていることです。定期的に運動しなければいけないのですが、忙しいからと言い訳をしているツケが回ってきました。これでは患者さんに運動してくださいとはいえませんね(笑)。

2.休日には何をして過ごしますか?
 家族みんなで日帰り温泉へ行くのが楽しみです。時間があれば遠出して田舎のほうの空いている温泉へ行くこともあります。子どもに背中を流してもらうと普段の疲れも一気に流れていきます。

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先生からのメッセージ

足は健康維持の源です。変形性足関節症や外反母趾予防のためにも筋力をつけ、気になるときはぜひ早めの受診を。

足関節の名称Q. 足関節(そくかんせつ)とはどの部分を指すのですか?

A. 足は足関節と足部(そくぶ)に分けられます。足関節はいわゆる足首の部分です。脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)の間の距腿関節(きょたいかんせつ)と、距骨(きょこつ)と踵骨(しょうこつ)の間の距骨下関節(きょこつかかんせつ)の2階建て構造になっています。この2つの関節を合わせて足関節といいますが、狭義では距腿関節の部分だけを足関節と呼ぶことがあります。

Q. 足(足部)の構造についても教えてください。

A. 足部はリスフラン関節より前の「前足部」、ショパール関節とリスフラン関節の間の「中足部」、ショパール関節から後ろの「後足部」に分けられます。距骨よりもつま先側に26個もの骨があります。脛骨と腓骨および距骨が、ほぞとほぞ穴のように安定性を保っていて、たくさんの骨がそれぞれ靭帯や関節包(かんせつほう)でしっかりと連結されています。さらに、足は縦アーチと横アーチ構造で荷重をバランスよく分散させています。

足部と足関節

足部と足関節

横アーチ 縦アーチ

Q. 足関節手術に至る疾患にはどのようなものがあるのですか?

足関節手術A. 多いのは変形性足関節症と関節リウマチです。変形性足関節症の原因は、脛骨、腓骨、距骨の骨折や、何度も捻挫するなどで引き起こされる二次性と呼ばれるものがほとんどです。したがっておおまかには障害といえます。足関節の軟骨がすり減って関節の隙間が狭くなり、軟骨を支える軟骨下骨(なんこつかこつ)が硬化して、骨同士がゴリゴリこすれることで骨棘(こつきょく)というものが出てきて、疼痛(とうつう)や腫れ、可動域(かどういき:関節を動かすことができる角度)の制限が生じます。一方、関節リウマチは病気です。滑膜炎により破骨細胞(はこつさいぼう)の異常な増殖が起こり、関節が腫れて疼痛が生じます。悪化すると足関節に骨破壊が生じてしまいます。
ほかに距骨壊死症(きょこつえししょう)も手術の対象になります。距骨壊死の原因として、外傷や頻回のステロイド関節内注射などがありますが、ほとんどの場合は原因不明で特発性(とくはつせい)とよばれています。

Q. 関節リウマチは薬が良くなって、手術症例は減っているそうですね。

大阪市立総合医療センター 多田 昌弘 先生A. 確かに、関節リウマチに対する手術は、内科的治療の進歩によって全体的には大幅に減少しています。でも、実は足の指や足関節の手術はかえって増加しているんです。これは、良い薬ができて日常生活の質が向上し、外出する機会が多くなるのが原因と考えられます。また、関節リウマチの患者さんは、もともと骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を併発している頻度も高く、関節はもろくなっているために足関節に支障をきたしてしまいます。

Q. 足に限っては手術症例が増えているとは意外でした。

A. そうかもしれませんね。しかしながら外科的治療も進歩しています。たとえば関節リウマチに多い扁平三角状変形(へんぺいさんかくじょうへんけい)には、これまでは切除関節形成術(せつじょかんせつけいせいじゅつ)がスタンダードでしたが、関節温存の観点から、最近では中足骨短縮骨切り術が行われるようになりました。また、外反母趾に対しても、中足骨で角度を矯正し、プレートやスクリューで固定します。

切除関節形成術

中足骨短縮骨切り術

Q. では、変形性足関節症における手術とは、イコール人工足関節手術なのですか?

A. 軟骨がある程度残っている場合には、脛骨を切って角度を変えることで痛みを取る下位脛骨骨切り術がありますが、軟骨のなくなっている状態なら人工足関節手術の適応となります。かつては足関節固定術が中心でしたが、しゃがみ込むのが困難だったり坂道や階段での不自由がありました。それが人工足関節では可動域を保つことが可能となり、日常生活動作の制限も大きく改善されています。

Q. 人工足関節には種類があるのでしょうか?

A. 日本では2種類の人工関節が使用可能です。ひとつはセラミック製で2つの部品(脛骨コンポーネント、距骨コンポーネント)、もうひとつは金属製で3つの部品(脛骨コンポーネント、距骨コンポーネント、ポリエチレンインサート)から成り立っています。どちらの人工足関節を使用するかは手術をする医師によります。臨床成績に大きな違いはありません。人工足関節手術は除痛や機能回復の面で大変優れた手術ですが、膝や股関節の人工関節に比べて長期成績が短いといわれていますので、その改善が今後の課題であり、期待されるところです。

人工足関節置換術

Q. 人工足関節の耐用年数は具体的にはどれくらいなのですか?

大阪市立総合医療センター 多田 昌弘 先生A. 報告によって差がありますが、8年から9年で再置換や固定術が必要な割合が6割から9割といわれています。足関節は小さな関節で体重を支えないといけませんので、どうしても負荷が大きくなってしまうのが理由です。

セラミックでできた人工距骨Q. 距骨壊死症の手術でも人工関節が使われるのですか?

A. これもかつては固定術が主流でしたが、今は距骨全体をセラミック製の人工物に置換する人工距骨挿入術を行うことが増えてきました。人工距骨の特徴は、患者さんの正常なほうの距骨をCTで撮影し、一人一人の形に合わせてオーダーメイドで作成することです。距骨を除去してできた空間にぴたっと挿入できます。この手術の利点としては除痛効果と固定術に比べて可動域が維持されることです。また、距骨壊死に加えて脛骨が傷んでいる場合には、人工距骨を挿入し脛骨を人工関節に置換するという組み合わせが可能です。

大阪市立総合医療センター 多田 昌弘 先生Q. ところで、エコーでの診断(超音波画像診断)というものもあるそうですね。

A. はい。たとえば捻挫などにおいて、靭帯が損傷しているかどうかをその場でリアルタイムに見ることができます。靭帯が損傷していて関節がゆるんでいたら、ギプス固定をします。また関節リウマチにおいても、炎症や腫れの状態を静止画に加え、動画でより鮮明に確認することができます。

Q. わかりました。ではこのテーマの最後にお聞きします。変形性足関節症を予防することは可能ですか?

A. 予防につながるということでは、足首が不安定にならないよう筋力をつけておくことが大切です。タオルを敷いて、それを足の指でぐっと丸めるようなタオルギャザーという運動や、かかと上げ、ゴムチューブを使ったりする運動やビー玉を足の指でつかんだりすることなどを取り入れるのも良いでしょう。変形が軽度なら保存療法が有効になります。早めの受診をぜひ心がけていただきたいと思います。

Q. 女性には気になる外反母趾(がいはんぼし)ですが、これはどのような状態のことをいうのですか?

大阪市立総合医療センター 多田 昌弘 先生A. 先ほどご説明した通り、足にはアーチがあります。このアーチが崩れることで扁平足(へんぺいそく:土踏まずがなくなること)や開張足(かいちょうそく:幅広の足になること)になり、靭帯のバランスが変化して、母趾(足の親指)が内側に引っ張られ、外に向けて出っ張りが生じます。いわゆる母趾が「く」の字になる、それが外反母趾です。出っ張ったところがひどく痛かったり、母趾が他の指と重なって潰瘍ができたりすると手術の対象になります。圧倒的に女性が多く、男性1に対して女性10という割合です。

Q. 圧倒的に女性に多いということを含めて、原因として考えられるのは?

A. 原因としては外因性と内因性があります。外因性で一番多いのは自分の足の幅に合っていない靴や、ハイヒールのようなかかとの高い靴を履き続けることです。内因性としては先天性のものや、肥満、膝や腰の痛み、筋力の低下などがあげられます。関節リウマチなどの病気でも外反母趾になることがあります。女性は男性に比べて筋力が弱いことも、外反母趾が多くなる要因です。

Q. 外反母趾は先天性や病気が原因の場合を除けば予防法もありそうですね。

A. はい。自分の足の"幅"に合う靴、"幅"を調整できる靴を選んでいただくことです。そして筋力が落ちないようにすることが重要で、タオルギャザー運動などが有効です。お風呂上りの関節が柔らかいときにそうしたケアを日課にされるのはとても良いと思います。こうした運動療法は保存的治療としても取り入れられています。

Q. 保存的治療でも効果がないと手術になるのでしょうか?

A. そうです。正しい靴選びや運動療法、また母趾の曲がりを矯正する装具療法などを行っても外反母趾がさらに進行して、痛みが改善しなければ手術療法を行います。なかには、赤く出っ張っているという見た目など、審美的な観点から手術を希望される方もいらっしゃいます。

Q. その手術方法が外反母趾矯正骨切り術なのですね。

A. はい。甲の骨を切って角度を変えて固定し、母趾に付着している靭帯や関節包を縫い合わせて、外反母趾を矯正します。正常な方は母趾の角度が15度~20度程度。外反母趾は30度までを軽度、40度までを中程度、それ以上を高度と分類します。高度になると大きく角度を変えないといけませんので、根元に近いところで手術するなど術式や固定材料が変わることがあります。

Q. 手術時間はどれくらいですか? 手術後、入院は必要ですか?

大阪市立総合医療センター 多田 昌弘 先生A. 手術時間は2時間程度。日帰り手術でされている施設もありますが、当院では抜糸まで2週間ほど入院していただきます。足は床に直接着く部位ですから感染症のリスクがあり、腫れることもありますのでゆっくり様子を見ています。早期の退院を希望されてそれが可能な場合は、1週間程度で退院していただいて、あとは外来で処置ということになります。

Q. やはり予防と早めの対処が大事ですね。

A. 外反母趾は徐々に進行していきます。こまめに自分の目や手でチェックとケアをして、気になるところがあれば、早めの受診をおすすめしたいと思います。

Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

多田 昌弘 先生からのメッセージ

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取材日:2016.7.21

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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