先生があなたに伝えたいこと / 【梅山 剛成】 人工関節置換術について、現実的な、事実に即したイメージをもっていただきたいですね

先生があなたに伝えたいこと

【梅山 剛成】 人工関節置換術について、現実的な、事実に即したイメージをもっていただきたいですね

NTT東日本 関東病院 梅山 剛成 先生

NTT東日本 関東病院
うめやま たかしげ
梅山 剛成 先生
専門:人工股関節

梅山先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 クラシックコンサートを聴きにいくのですが、先日、観客があまりにも咳をするので、ピアニストが集中できなくなったようで演奏を中断してしまったということがありました。ピアニストの方にはとても申し訳なく思いました。
そして昔はこんなことはなかったように思います。何かが昔とは変わってしまったような気がして...
最近そんなことが気になります。

2.休日には何をして過ごしますか?
 散歩です。家の近くにもいい公園があって、そこを散歩します。

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先生からのメッセージ

人工関節置換術について、現実的な、事実に即したイメージをもっていただきたいですね。

今回は、「人工股関節手術を考えておられる方からの質問」として様々な観点からお話を伺いたいと思います。

Q.人工股関節を見るとやはり「怖い」「重い」などの感想を持たれる方の声を聞くことがあります。実際、骨の中に人工関節を入れることによる痛みを感じることはないのでしょうか?また手術後に脚を重く感じたりすることはないのでしょうか?

NTT東日本 関東病院 梅山 剛成 先生A.人工関節は、骨と一体になるように作られています。手術の後、人工関節がご自分の骨になじむまでの数ヵ月くらいは軽い痛みが残ることがありますが、最終的には骨としっかり固定されるため、痛みを感じることはほとんどありません。ただ、骨の中に"人工物"が入っているため太ももに痛みを感じることのある方が数パーセントおられるともいわれています。
また、重さについてですが、人工関節は、脚の重さに比べるとずっと軽いものです。ですから、人工関節自体の重さを感じることはないと思います。「体の中にあんなものをいれたら重いだろうな...」という感覚の問題かもしれませんね。
もし人工関節の重さを感じることがあったとしたら、手術後のリハビリがまだ進んでいなくて、筋肉の回復が十分でないためかもしれません。しかしあまりそのようなお話は聞いたことがありませんね。

Q.拒絶反応のようなものがおきる可能性はありませんか?

A.人工関節は、生体適合性(せいたいてきごうせい:体内の組織や細胞に対して拒絶反応を起さない性質)のある金属やセラミックで作られていますから、いわゆる拒絶反応がおきるということはまずありません。ただ、金属アレルギーがある方は、手術を受けられる前に、医師に申し出てください。パッチテストなどの検査をして事前にアレルギーのある素材を調べておくと、その方に適した人工関節の素材を選ぶこともできます。ですので、実際には拒絶反応のようなものを心配する必要はほとんどないと思います。

Q.手術後の痛みはどのようなものですか?それはどれくらい続くのでしょうか?

NTT東日本 関東病院 梅山 剛成 先生A.手術後に強い痛みがあるのは2、3日くらいだと思います。2、3日すると、動いた時に少し痛い、という程度になり、我慢できないような痛みはなくなってきます。しかし手術後の数日間は、痛みを和らげる治療を十分することは大事です。痛みがその後のリハビリの進み具合に影響することもあります。私たちも「患者さんが痛い思いをしないですむように...」と気を配っています。
 痛みの治療方法はいくつかありますが、ここで主に行っているのはPCA(patient controlled analgesia:自己疼痛管理法)というものです。患者さんが痛いと感じた時、自分でボタンを押すと、痛み止めの薬が入ってくるのです。これは患者さん自身がすぐに痛み止めをいれることができるため、精神的にも安心感があってよいと思います。
PCA:PCAポンプを用いて、静脈や硬膜外に痛み止めの薬剤を投与します。この機器を使うと通常の持続投与に加え、患者さん自身がボタンを押すことにより、設定された量の薬剤を追加投与することができます。

Q.手術後に嘔吐がおこることがある、と聞きました。これはなぜなのでしょう。

A.様々な原因があると思います。全身麻酔ですと、麻酔の管を気管に入れますのでその管の刺激によるもの、あるいは麻酔薬の刺激によるもの、他には血圧が下がることによるもの、痛み止めで使っている薬の副作用によるもの、など様々です。これらの原因が重なっていることもあると思います。

Q.手術を受ける前に、家でどのような準備をしておくとよいでしょうか?逆にやめておいた方がよいことはありますか?

NTT東日本 関東病院 梅山 剛成 先生A.あまり特別なものはありませんね。健康に気をつけて、体力をつけるようにしておく...そのくらいだと思います。「体重を減らしたほうがいい」といっても、1、2ヵ月でなんとかなるものではありませんから、普通の生活をしていたほうがいいのではないでしょうか。
ですが、退院されてから転ばないように、すべりやすい敷物がないか、大きな段差がないかなどに注意して、家の中を整理しておかれるといいですね。

Q.病院や個人の症状によって異なると思いますが、だいたい入院期間の目安はどのくらいですか?

A.ここでは2週間くらいです。手術をうける前日に入院していただきます。ほとんどの方は、2週間くらいすると、スタスタとまではいかなくても、杖をついてかなり歩けるようになり、ご自分の身の回りのことができるレベルになります。ですので、これくらいが適当な入院期間ではないかと思います。トイレに行ったり、食事をしたり、家のまわりをちょっと歩いたり、そのくらいのことはできますね。まだ多少面倒をみてもらう、という感じはあるかもしれませんが...。アメリカのように"数日だけ入院する"こともできますが、そうすると家に帰ってから、まだしばらく不自由な思いをするのではないかと思いますね。

Q. 手術後、制限されることはありますか?

A.それもあまりありません。手術をした日は安静にしていただきますが、翌日からは痛みがおさまっていれば、車イスで動けるようになります。食事も普通にとっていただくことができます。
  手術した部分は金属製のホッチキスのようなものでとめていることが多いのですが、それがとれるのが10日くらいです。この間、シャワーはできないかというと、テープをはって浴びることもできます。特に女性の方は、髪を洗いたい、ということもあると思いますが、これも問題ありません。
  "制限される"というよりは、逆に動いていただいたほうがいいです。一般的な"手術"とは少し違うのかもしれません。それよりも入院期間のほとんどはリハビリになりますので、そこをがんばっていただく、といった感じととらえていただきたいですね。

Q.リハビリについて教えてください。

A.足を動かす、平行棒に立つ・歩く、歩行器で歩く、杖で歩く、と順にやっていきます。

リハビリの順序(足を動かす、平行棒に立つ・歩く、歩行器で歩く、杖で歩く)

平行棒イラストリハビリの際に痛みがあるかどうか、というとどうでしょうか...結局は、無理のない範囲でするのがリハビリです。"痛みを我慢してつらい思いをのりこえないとよくなれない"というニュアンスではないと思います。痛みと相談しながらですので安心してくださって大丈夫です。
  ここですと、2階に屋上庭園があるのですが、そこで歩けるようになれば、だいたい大丈夫!という感じです。他にも、病院の中のコンビニなどにも皆さん行っておられます。
  リハビリは、スポーツを覚えるのと同じようなところがあって、個人差がどうしてもあります。また、年齢や反対の脚の具合も関係します。ご高齢の方は、運動能力がやはり低下していますし、反対側の脚が悪く、あまり歩けなくなっていた場合は、リハビリにも少し時間がかかるでしょう。

Q.手術後、できないことがあると聞きます。なぜできないことがあるのでしょうか?また具体的に何をしてはいけないのでしょうか。

NTT東日本 関東病院 梅山 剛成 先生A.一番よくいわれるのが、ひざを抱えて内側にひねるような動き(*1)、ですね。人工股関節はボールとソケット(*2)で動いているため、そこが外れて脱臼してしまうというトラブルがおこることがあります。ですから和式トイレなどのしゃがむ姿勢はしないほうがいいです。脱臼は、よほどのことがないとおこりません。しかし脱臼して関節がはずれるともちろんすごく痛いですし、すごく痛いと頭に恐怖心が残ってしまいます。そのうえ、一度はずれるとクセになることもあります。ですので、あたりまえのようですが、脱臼はしてほしくありません。
  あと、例えば"ジャンプ""走る"というような人工関節に衝撃のかかる運動はやめておいたほうが無難です。一回したからどうかなる、というわけではないですが、結局長持ちしなくなってしまうんですね。
(*1)膝を抱えて内側にひねる動きの例 (*2)ボールとソケット

Q. 人工関節には寿命がどうしてもありますが、それをできるだけ長くのばすために、自分でできることはありますか?

A.日常の生活で歩いたりすることは、そのために手術をうけられたわけですから、もちろん問題ありません。ただ、肥満にはならないようにしたほうがいいですね。さきほど申しあげましたが、人工関節に衝撃のかかる運動については、"やってはいけない"というよりは、長持ちさせるためには"やらないほうがいい"ということです。手術後に「テニスができました」とか「ジョギングができました」と、そういうお話がいろんなところにでています。やはり、いいことはとりあげられやすいですね。しかし人工関節は、大事にすれば長持ちするし、酷使すると破損したり、関節の部分がすり減ってしまって、寿命は短くなるかもしれない、ということをわかっていただくのも大切だと思います。

Q.患者さんから質問される内容でこの他に多いものがあれば教えていただけますか?

NTT東日本 関東病院 梅山 剛成 先生A.一時期ほどではありませんが、MIS(エムアイエス:最小侵襲手術)についてですね。「そちらの病院ではMISをやっていますか」という電話が、事務にかかってきたりすることもあります。確かに人工関節そのもの、そして手術の方法も進歩して、以前に比べると、随分楽に手術をうけられるようになってきたことは確かです。ただ、MISが、今までに行われてきた手術とまったく違う手術かというと、そういうわけではないですよね。ですから、我々医師も治療全体の中でバランスのとれた説明をすることが大切だと思います。

Q.人工関節置換術について、より深く伝えたいポイントはどこでしょうか。なぜそのポイントが大事だとお考えなのでしょうか。

A.確かに人工関節置換術は、痛みがよくとれますね。できないこともできるようになりますし、本当に優れた、よい手術だと思います。それでも、やはり小さな手術ではありません。合併症がおきる危険性もありますし、良くなった後でも"こういったことはやらないほうがいい"ということもあるわけです。ですので、現実的な、事実に即したイメージをもっていただきたいですね。それは、患者さんが手術をうけてよかったと思われ、人工関節を長く大事に使っていただくのに大切だからです。また、患者さんが考えておられることと、我々医師が考えていることがずれていることがありますので、わかりやすくご説明するように心がけたいですね。

Q.最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

梅山 剛成 先生からのメッセージ

※ムービーの上にマウスを持っていくと再生ボタンが表示されます。

取材日:2009.11.13

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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