先生があなたに伝えたいこと / 【加藤 雅敬】大切なのは、「その人にとって最適な治療」を行うことです。患者さんの生活環境や生活背景まで考えながら治療にあたり、少しでも地域貢献ができたらうれしいと思っています。

先生があなたに伝えたいこと

【加藤 雅敬】大切なのは、「その人にとって最適な治療」を行うことです。患者さんの生活環境や生活背景まで考えながら治療にあたり、少しでも地域貢献ができたらうれしいと思っています。

国立病院機構 東京医療センター 加藤 雅敬 先生

国立病院機構 東京医療センター
かとう まさのり
加藤 雅敬 先生
専門:脊椎脊髄外科

加藤先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 日本の医療は今後どうなるのかと、真剣に考えています。高齢化、増え続ける医療費、それをまかなう財源の不足など、問題は山積みです。まだ答えはありませんが、制度改革も含めて誰もが考える時期がきていると思っています。

2.休日には何をして過ごしますか?
  休日はもっぱら家族サービスです。子どもと遊んだり、たまには遊園地に連れて行ったりしています。遊園地では大喜びの子どもですが、ふだんの姿は反抗期そのもの。毎回知っている限りの罵詈雑言を並べて立ち向かってくる彼と、楽しく? やり合っています(笑)。

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先生からのメッセージ

大切なのは、「その人にとって最適な治療」を行うことです。患者さんの生活環境や生活背景まで考えながら治療にあたり、少しでも地域貢献ができたらうれしいと思っています。

Q. 先生のもとへ受診される方々には、どのような患者さんが多いのでしょうか?

A. 来られる方の年齢層は50〜80代と比較的高齢の方が多く、主な症状としては腰の痛み、脚のしびれ、脚の痛みなどが多数です。腕や首の痛み、肩こりなどの訴えもみられます。
最も多い疾患は、加齢などによる骨の変形や、厚くなった靭帯の影響によって脊柱管(背骨の中の管)が狭められる脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)です。次いで、骨の変形や靭帯の肥厚が首で起こり、神経を圧迫することで起こる頸椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう)、3番目に多いのが、同様の原因で首の脊髄が圧迫される頸椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)です。
当院での治療は手術が中心ですが、患者さんの負担を可能なかぎり少なくした「低侵襲手術(ていしんしゅうしゅじゅつ)」に積極的に取り組んでいます。

正常な頚椎の断面図 脊柱管狭窄症の断面図

Q. 低侵襲手術とはどのようなものでしょうか?

国立病院機構 東京医療センター 加藤 雅敬 先生A. 手術の工夫によって、従来の手術方法より傷口を小さくしたり、筋肉を極力切らないようにしたりすることにより、患者さんに与えるダメージをできるだけ少なくした手術のことです。脊柱管狭窄症で実施する「経皮的椎弓根(けいひてきついきゅうこん)スクリューを用いた固定術」(MIS-TLIF)はそのひとつです。
この術式では、傷口は2ヶ所できるものの、一つひとつの切開幅は2cm程度と非常に小さいため、痛みや出血、筋肉へのダメージを最小限に抑えることができます。

Q. MIS-TLIFの術式を具体的に教えてください。

A. 背中側を小さく切開し、圧迫の原因となっている部分を切除して整形します。その後、椎骨の中に金属製のスクリューを数本刺し入れ、スクリューに空いている穴に金属(ロッド)を通して連結させることにより、椎骨を固定します。

従来の腰椎固定術 低侵襲の腰椎固定術 MIS-TLIF

Q. 頸椎症性脊髄症に関しても、「選択的椎弓切除術」(skip laminectomy)という低侵襲の術式があるとお聞きしています。どのような術式なのでしょうか?

A. 頸椎症性脊髄症の手術には、椎弓を切り離して骨を開くことによって脊柱管の圧迫を取り除く「椎弓切除術」という術式があります。この切り離しの際、従来法のように椎弓をまとめて切り離すのではなく、顕微鏡で確認しながら、一つひとつ場所を選んで切り離すのが選択的椎弓形成術です。切り離す部分が少ないため、後ろ側の骨の支持が残り、筋肉を傷つける度合いも最小となります。

選択的椎弓切除術

選択的椎弓切除術

Q. 低侵襲手術と従来の手術では、術後の状態にどのような違いがありますか。

A. 低侵襲手術の場合、その回復の早さは以前に比べてかなり早くなりました。私が医師になったばかりの頃、つまり従来法しかなかった頃は、首や腰の手術をされた患者さんは、3〜4週間は入院されるのが当たり前でした。それがいま、低侵襲の術式で手術を受けられた方は、術後3日目にはシャワーを浴びることができ、一週間程度で退院となります。
従来法で手術する際は、首や腰の奥の筋肉をぐっと広げた状態が続くため、押された筋肉が変成してしまうのですが、低侵襲手術の場合は傷口が小さいのはもちろん、そのような筋肉へのダメージも極力避けられます。手術中の出血量も少なく、術後、痛みが軽くなるまでのスピードも速い傾向にあります。

Q. それだけのメリットがあれば、どの患者さんもできるだけ低侵襲の手術を希望されるかと思いますが、従来の手術法も継続されているのはなぜでしょうか?

国立病院機構 東京医療センター 加藤 雅敬 先生A. 低侵襲手術は、背骨の変形が比較的軽度な方に向いている手術方法です。大きな変形や骨のズレへの対処には限界があります。そうした場合は低侵襲であることよりも、しっかりと治すことが優先なので、従来法で手術したほうが良いと考えています。
とはいえ、近年の実績では、低侵襲手術と従来法の手術件数の比率は7:3程度となっています。従来法で手術しなければならないケースは、本当に少なくなりました。

Q. 低侵襲手術が増えることによって、より多くの患者さんが短期の入院ですんでいるということですが、退院後の生活やリハビリなどについては、どのようなフォローをされていますか?

A. 筋肉のトレーニングやエクササイズの方法、日常生活上の注意点などについて、患者さんご本人にお話しするとともに、退院後の診療を引き継いでいただくクリニックの先生に連絡しています。腰の手術なら、腰の筋肉をいつどんなタイミングでトレーニングしたら良いのか、どういったトレーニングなら良いのか、細かな指導をさせていただいています。
なお、首の場合では、前かがみで肩が前に入り込むような姿勢はなるべく避けていただきたいのですが、最近はスマホをのぞき込む動作など、良くない姿勢がとられる頻度が高くなっています。姿勢はとても大事なので、「手でひじをつかんで後ろに持っていき、肩甲骨をぐっと寄せるような姿勢を意識してください」というように、具体的な指導をしています。

国立病院機構 東京医療センター 加藤 雅敬 先生Q. 手術を受けられた患者さんに、その他のアドバイスはありますか?

A. 無理をしないようにしてほしいと思っています。手術は病気を治すためのものですが、終わったら完治、というものではないからです。
多くの患者さんは、「いつも腰が痛い」とか「なんとなく手がおかしい」といった状態で何年か生活し、それが悪化して「もう限界」という時点で、初めて手術に踏み切ります。つまり、本来の健康な状態が100%だとすれば、不調を抱えて生活している何年かの健康度は50%くらい、術前はそれよりさらに低い状態だったということです。そこから100%の状態に戻るには、長い時間がかかって当たり前ですから、長期的な展望を持ってゆっくり体調を戻すことを心がけ、何かあったらどんなことでも気軽に相談してほしいと思います。

国立病院機構 東京医療センター 加藤 雅敬 先生Q. 先生は「地域密着の医療」であることに特に注力されていると伺っています。なぜ、そのような方針を取られるようになったのでしょうか?

A. 自分が生まれ育ったこの地域に貢献したいという思いがあったからです。私の実家は東京医療センターに程近いところにある整形外科クリニックで、クリニックを受診される患者さんは同級生のご両親や祖父、祖母といったなじみのある方々がほとんどでした。私が思う地域密着の医療が、こうした地域の皆様のお役に立つことができているなら、うれしいですね。

Q. 具体的には、どのような取り組みで地域と関わられているのですか?

A. ひとりの患者さんの発症から治療、回復、その後の生活まで、すべてを継続してフォローしていけるよう、地域のクリニックと連絡を取り合っています。
東京医療センターは、専門的で高度な医療を提供することを使命とした「三次救急医療機関」です。ですから、患者さんの生活環境や家族構成、お気持ちまでふまえた医療ができるかというと、どうしても限界があります。一方、地域のクリニックはその逆で、高度な手術などには対応できない半面、患者さんとじっくりお話をするなどして背景をとらえた診療を行うことができます。地域のクリニックと当院がつながり、お互いのできない部分を役割分担することで、患者さんの生活環境、生活背景を把握して治療することができるようになっています。
今はまだ、その取り組みが仕組みとして確立しているわけではありません。今後は「地域連携クリニカルパス(※)」など、複数の医療機関と診療計画を共有する枠組みを整備していきたいと思っています。

※地域連携クリニカルパス:治療手順や入院スケジュールを図示した計画書。

Q. 先生が日々の診療を行っていくうえで、心がけていらっしゃるのはどんなことでしょうか?

国立病院機構 東京医療センター 加藤 雅敬 先生A. 患者さんとお話をするときは、なるべく難しい言葉を使わないで説明するようにしています。自分の病気を理解してもらうことが大前提だからです。おかげさまで「わかりやすかった」とよくいっていただきますが、それがくせになって、医師同士で話すときまで専門用語を使わず話してしまうことがあるので困っています(笑)。
もうひとつ心がけているのは、患者さん一人ひとりが持つ背景や、生活上どれくらい回復する必要性があるのかを見極めて治療することです。背骨が曲がっているからといって、必ずしもまっすぐに治さなければならないのではありません。大切なのは、その人が困っている症状を取り除き、少しでも楽にしてあげるということなので、手術のダメージから回復できる力がある方かどうか、その人にとってベストな治療とは何かを常に考えるようにしています。

Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

加藤 雅敬 先生からのメッセージ

※ムービーの上にマウスを持っていくと再生ボタンが表示されます。

取材日:2017.5.19

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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