先生があなたに伝えたいこと / 【衣笠 清人】イバラの道であった人生がばら色の人生に変わるように...。人工関節手術はそのためにあるのだと思っています。

先生があなたに伝えたいこと

【衣笠 清人】イバラの道であった人生がばら色の人生に変わるように...。人工関節手術はそのためにあるのだと思っています。

社会医療法人 近森会 近森病院 衣笠 清人 先生

社会医療法人 近森会 近森病院
きぬがさ きよと
衣笠 清人 先生
専門:股関節膝関節の再建・外傷全般

衣笠先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 自分自身の健康状態です。医者の不養生で過去に何度も怪我をしていますので、年をとるにつれ、ますます気を付けないといけないと思っています。

2.休日には何をして過ごしますか?
 釣りバカです(笑)。今は船のルアー釣りが中心ですが、これまで渓流釣りや磯釣りなどほとんどすべての釣りをしてきました。

携帯・スマートフォンサイトもチェック!

携帯電話・スマートフォン

バーコードリーダーで読み取ってください。携帯電話・スマートフォンからもご覧いただけます。
http://kansetsu-itai.com/m/interview/dr174.php

*携帯電話・スマートフォンからアクセスしていただく場合、パケット通信料は、お客様のご負担となりますので予めご了承ください。

QRコード

先生からのメッセージ

イバラの道であった人生がばら色の人生に変わるように...。人工関節手術はそのためにあるのだと思っています。

Q. お年寄りが転倒し、骨折して寝たきりになってしまうことが問題になっています。主にどの部分が骨折するのでしょうか? また寝たきりになるリスクが高い骨折は何ですか?

A. 一番多いのは脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)です。次に多いのが大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)大腿骨転子部骨折(だいたいこつてんしぶこっせつ)と、橈骨遠位端(手首)の骨折です。そのなかで寝たきりになるリスクがあるのは大腿骨頸部骨折と転子部骨折です。

脊椎圧迫骨折

大腿骨頸部骨折

転倒 イラストQ. 骨折の理由としてはやはり転倒が多いのでしょうか?

A. ほぼそうなります。年をとることで運動能力が落ちて転倒するということはもちろん、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)によって歩行が不安定になって転倒、あるいは軽微な衝撃で骨折するというパターンもかなり多いです。

社会医療法人 近森会 近森病院 衣笠 清人 先生Q. 骨折してしまってから変形性膝関節症、変形性股関節症であることがわかるケースもあるということですか?

A. はい、転倒して救急搬送されて変形性関節症が見つかるということもあります。高知県は関節に違和感や痛みがあっても、ギリギリまで我慢される方が多いように思います。山間部で一人暮らしをされて気軽に病院へ行けないという方も多いからかもしれません。潜在的な変形性関節症の方はかなりいらっしゃると思います。骨折の治療をして、変形性関節症の治療をして、そうこうしている間に実は脊椎が悪い、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)がもとにあって歩行障害が出ていたんだとわかってくるというケースもあります。そのようになると治療が大変になりますので、違和感があればまずはかかりつけ医に早急に診てもらっていただきたいです。

Q. わかりました。では寝たきりになるリスクが高いという大腿骨頸部骨折と転子部骨折ですが、なぜその部分が骨折しやすいのでしょうか? 骨折の治療は手術しかないのでしょうか?

A. 大腿骨は骨盤に近いところでくねっと曲がっていますね。この角度を頸体角といい、おおむね120度から130度です。脛体角が小さければ内反股(ないはんこ)といってO脚になりやすく、大きければ外反股(がいはんこ)といってX脚になりやすくなります。そこへ歩くときには上から垂直に荷重がかかるので、年をとると些細なことで折れやすくなります。また、大転子は転倒した際に外力がかかりやすいので骨折しやすい部分です。

正常 内反股 外反股

Q. 手術にはどのような方法が用いられるのですか? まずは大腿骨頸部骨折から教えてください。

A. 骨接合術(こつせつごうじゅつ)といってCCHSというスクリューを3本くらい入れる方法、またはCHSというサイドプレートの付いたネジで留める方法があります。

CCHSを用いた手術

CCHSを用いた手術

CHSを用いた手術

CHSを用いた手術

大腿骨の骨頭部はもともと血の巡りが悪く、頸部を骨折することでさらに悪くなり、上記のような骨接合をしても1年後、2年後に骨頭壊死を起こしてしまうリスクがあります。したがって、大腿骨頸部骨折で骨が大きくずれるなどして将来的に大腿骨頭壊死症を起こすことが予測される場合は、骨接合ではなく人工骨頭置換術(じんこうこっとうちかんじゅつ)を選択します。人工骨頭なら早期に体重をかけて歩けるようになります。それでは全て人工骨頭置換術でやれば良いじゃないかといえばそうではありません。人工骨頭置換術は侵襲(しんしゅう:体を傷つけること)が大きくなり、その分合併症のリスクも高まることと、硬い金属が弱くなっている骨に入っているので、転倒などで骨折するリスクもあります。私は安定型の骨折には骨接合術を、骨が大きくずれていたり骨折が複雑な不安定型の骨折には人工骨頭置換術を選択しています。

人工骨頭置換術

人工骨頭置換術

Q. 大腿骨転子部骨折の手術法は?

A. 大腿骨転子部骨折では髄内固定の手術が現在の主流となっています。髄腔に長いロッド(髄内釘:ずいないてい)を入れて固定します。この方法は骨の外側からでなく、髄腔内で支えるので固定力が大きいと考えられています。当院では安定型骨折ではCHSでのプレート固定、不安定型骨折には髄内固定を採用しています。

髄内釘を用いた手術

髄内釘を用いた手術

Q. 骨接合手術は昔に比べて進歩しているのでしょうか?

社会医療法人 近森会 近森病院 衣笠 清人 先生A. まず固定する材料が進歩しました。髄内固定のロッドやCHSのスクリューの形状を中空にすることができるようになりました。中空になると、そこに位置決めのワイヤーを通すことが可能になり、正確な位置に手術することができるようになりました。昔は中空ではなかったので、ドリルで穴をあけてそこへネジを打ってという、術者の経験と勘に左右される難しい手術でした。それとレントゲンですね、術中透視装置が格段に進歩しました。以前は被爆線量が多いわりにはよく見えず、太っていればほとんど役に立たなかったのですが、今は被爆線量が少ない上によく見えます。当院では二方向透視を導入していますので、入れたものがすぐにしっかりと確認でき、患者さんごとに最適な位置に設置する正確性がさらに増しています。昔はそうではなかったので、大きく切開して直視で確認していましたが、今は4cm程度の切開で手術ができるようになりました。

社会医療法人 近森会 近森病院 衣笠 清人 先生Q. 大腿骨頸部骨折で不安定型の場合、人工骨頭置換術を選択することもあるとおっしゃいましたが、ほかにも手術の選択肢がありますか?

A. 骨盤の受け皿側(臼蓋:きゅうがい)も人工物に置き換える、人工股関節全置換術(じんこうこかんせつぜんちかんじゅつ)という方法もあります。実は、大腿骨頸部骨折で不安定型の場合では、どちらの置換術でも良いケースが多いです。どちらでも良いなら、侵襲が小さく手術時間も短くて済む人工骨頭置換術のほうが良いだろうということです。しかし、変形性股関節症をすでに発症している場合など臼蓋側の骨が弱くなってしまっている場合は、人工骨頭置換術では臼蓋側の骨が術後変形していく場合もありますので、人工股関節全置換術を行うということもあります。

全人工股関節置換術

全人工股関節置換術

Q. 人工股関節は耐用年数が気になります。

A. 今では正確な設置ができれば、私は50年ぐらいは大丈夫ではないかと思っています。ただ、生体の中でどんな変化を起こすのか、50年後のことは想像するしかないですね。しかし、すでに30年という成績は出ていて、たとえばアメリカでは90%台後半の割合で大丈夫と報告されています。かつては、人工股関節手術は60歳を過ぎてからにしましょうということで、保存療法や生活指導で痛みを緩和しながら時間を稼いでいました。現在では40代後半ですでに変形が進行していれば、お勧めします。そのほうが有効に患者さんの生活の質(QOL)を上げられますから。

社会医療法人 近森会 近森病院 衣笠 清人 先生Q. 耐用年数が延びているのは、人工股関節自体や人工股関節置換術が大きく進歩したということなのでしょうか?

A. そうです。たとえば私が医者になりたての頃の人工股関節は、セメントタイプが主流でした。セメントを使うということは、寿命が有限で必ず再置換(さいちかん:何らかの理由で人工関節を入れ換えること)になることを前提にしています。5年、10年でダメになるということもありましたし、術後は杖を使ってもらうのが常識でした。現在、当院ではセメントを使わず骨と人工股関節が直接くっつくセメントレスタイプを使っています。術後の杖は必ずしも使わなくてよいですし、以前と比べて動作制限の度合いは小さくなりました。また、人工股関節の骨頭やポリエチレン部分の性能も高くなり、再置換の原因の一つである摺動面(しゅうどうめん:骨頭とポリエチレンがこすれあう面)の摩耗がかなり低減しました。さらにポリエチレン表面に水の膜のようなものを作ってなめらかにする、Aquala(アクアラ)という技術も日本で開発されています。

社会医療法人 近森会 近森病院 衣笠 清人 先生Q. ありがとうございました。最後に、先生が治療をされる上で大切にされていることを教えてください。

A. 私は手術治療を極めることをずっと医者人生の目標にしてきました。骨折然り、変形性股関節症、変形性膝関節症然りです。変形性関節症の患者さんは長年痛みに耐えてこられています。患者さんがまっすぐな脚できれいに歩けるというところまで、期待されている以上の結果を手術で叶える、「茨(イバラ)の道の人生をバラ色の人生にしてあげたい」ということを常に念頭に置いて治療に当たっています。

※Aquala(アクアラ)は京セラ株式会社の登録商標です。

Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

衣笠 清人 先生からのメッセージ

※ムービーの上にマウスを持っていくと再生ボタンが表示されます。

取材日:2016.8.29

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

先生の一覧へ戻る

病院検索をする

ページトップへ戻る

先生があなたに伝えたいこと

股関節股関節

膝関節膝関節

肩関節肩関節

肘関節肘関節

足関節足関節

手の外科手の外科

脊椎脊椎

病院検索 あなたの街の病院を検索!

先生があなたに伝えたいこと 動画によるメッセージも配信中!