先生があなたに伝えたいこと / 【佐々木 拓郎】人工股関節は、いまや30年以上の耐久性を期待されるほど進歩しています。

先生があなたに伝えたいこと

【佐々木 拓郎】人工股関節は、いまや30年以上の耐久性を期待されるほど進歩しています。

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院 佐々木 拓郎 先生

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院
ささき   たくろう
佐々木 拓郎 先生
専門:股関節

佐々木先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 最近、生体内の摩擦に関するバイオトライボロジーという分野の研究に関する本を読みました。この本を読んで、摺動面にますます興味を覚えています。

2.休日には何をして過ごしますか?
 午前中に用事を済ましてしまって、あとはゆっくりお酒を楽しんでいます。明るいうちから映画鑑賞しながら飲むのが良いですね(笑)。

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先生からのメッセージ

人工股関節は、いまや30年以上の耐久性を期待されるほど進歩しています。

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院 佐々木 拓郎 先生Q. 今回のテーマである変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)とは、どのような疾患なのでしょうか?

A. 関節内にある軟骨がすり減ることで骨と骨が直接接触するようになり、炎症や痛み、変形が生じる疾患です。特に原因がなく老化によって起こるものを一次性といい、はっきりした原因のある場合を二次性と呼びますが、日本では二次性、なかでも臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)に起因することが多いです。ほかにも関節リウマチ大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)などから続発することもあります。

変形性股関節症

Q. 臼蓋形成不全とは?

A. 大腿骨頭を覆う臼蓋が十分に成長しない疾患のことで、日本人に多い傾向があります。臼蓋が浅いので被覆性が低く、骨頭は臼蓋から外へはみ出して、接触面が小さい状態になります。このため狭い面積で体重を支えなくてはならず、軟骨が傷んでしまうのです。さらに関節唇(かんせつしん)が傷つきやすくなります。関節唇は陰圧効果で吸盤のように骨頭を安定させる役割がありますので、傷めると骨頭は不安定性が増し、変形性股関節症へ至るリスクが高まります。

正常 臼蓋形成不全

関節唇

Q. 変形性股関節症の治療としては人工股関節手術しかないのでしょうか?

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院 佐々木 拓郎 先生A. いいえ。変形性股関節症は前期・初期・進行期・末期に分けられ、目安としては末期、軟骨が消失し骨と骨が直接こすれ合って骨硬化(こつこうか)が生じているような場合に人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ)の適応となります。もちろん患者さんの症状と照らし合わせて総合的に判断するわけですが、そこまで至っていない場合には、まずは薬によって疼痛(とうつう)をコントロールし、運動療法などの保存的治療を行います。あるいは、臼蓋の被りを良くする寛骨臼回転骨切り術(かんこつきゅうかいてんこつきりじゅつ)も選択肢になります。

Q. 治療にも段階があるのですね。人工股関節にした場合、耐用年数が気になります。

A. 20年前に入れた人工股関節が、今も高い確率で問題なく使えていることがわかっています。現在の人工関節なら、20年以上は大丈夫でしょう。もしかしたら30年以上の耐久性も期待できるほど、現在の人工股関節は進歩しています。

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院 佐々木 拓郎 先生Q. 人工股関節は具体的にどこが進歩したのですか?

A. いちばん顕著な進歩は、人工股関節の摺動面(しゅうどうめん)です。人工股関節のタイプはいくつかありますが、代表的なものは金属のステム、セラミックなどでできたボール、臼蓋にはめ込むソケットおよびソケットに入れるポリエチレンライナーの4つの部品に分かれています。このうち摺動面とは、軟骨の役割をするポリエチレンライナーボールと骨頭ボールを指します。ポリエチレンライナーの摩耗によってできる摩耗粉(まもうふん)がマクロファージに取り込まれると、骨を溶かす化学物質が発生します。その結果、人工股関節と骨がゆるんでしまいます。それが近年では、クロスリンクポリエチレンという特殊な耐摩耗加工を施したものや、摺動面に人工的に水の膜のようなものを作るアクアラ(Aquala)という技術などが登場し、摺動面の摩耗が大幅に低減しました。

人工股関節

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院 佐々木 拓郎 先生Q. 手術手技の進歩についてはいかがでしょうか?

A. 私が医者になった頃は後方からアプローチ(侵入法)が主流でしたが、今はALSと呼ばれる仰臥位前側方(ぎょうがいぜんそくほう)アプローチを採用しています。後方アプローチは、股関節の後ろにある短外旋筋群(たんがいせんきんぐん)を温存できないのでALSに変えました。短外旋筋群は小さい筋肉ですがとても大切です。下肢を外旋するための筋肉であると同時に内旋も制御する筋肉で、人工股関節に多い後方への脱臼を防いでくれるのです。脱臼のメカニズムを少しお話ししましょう。屈曲し内旋すると骨同士やインプラント同士、骨とインプラントが当たり、さらに内旋すると、そこがテコとなってボールがはずれてしまいます。短外旋筋群があれば、その内旋を制動することができます。ALSでは、短外旋筋群をほぼ温存できるので脱臼のリスクが大幅に低減するのです。

短外旋筋群

筋肉を分けて侵入する仰臥位前側方アプローチ(ALS)

Q. ALSは患者さんにとってメリットが大きいのですね。

A. 実際、短外旋筋群をすべて温存できた方には術後の生活制限をほぼ行っていません。以前なら自転車に乗ってはいけないとか、お風呂はこうまたいで入るようにとか、靴はこう履きなさいとかいろいろ指導していたのですが、いまではほぼありません。筋肉を切らないので術後の回復も早く、階段昇降が安定すれば、1週間から2週間程度で退院することも可能です。
但し、術前の変形があまりに強いとか、骨頭が高位脱臼(こういだっきゅう)してしまっているなどの場合、また股関節が硬縮(こうしゅく)してしまってガチガチな場合は、短外旋筋群の一部を切離したり、後方アプローチで対処したりすることになります。

人工股関節の手術Q. よくわかりました。手術といえば合併症も心配です。

A. リスクとしてあげておくべきものは一番には感染でしょう。人工股関節の手術は、専用の宇宙服のような手術服にヘルメットを着用して、手術に臨んでいます。感染率は手術時間にも依存しますので、ていねいに、かつ、できるだけ短時間で手術を終えるようにすることも大切です。また、股関節の手術では出血が避けられませんが、事前に患者さん自身の血液を通常800cc貯血して手術に臨んでいます。

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院 佐々木 拓郎 先生Q. ありがとうございました。最後に先生が整形外科医を選ばれた理由を教えてください。

A. 若いころから整形外科が身近だったんです。スノーボードや自転車などアウトドア派だったので、肋骨を折ったりしてよくお世話になりました。それに治療を通して患者さんが元気になって帰って行かれるのを見て、この道に進みました。患者さんの生活の質を上げるお手伝いができればうれしく思います。

※Aquala(アクアラ)は京セラ株式会社の登録商標です。

取材日:2017.4.28

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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