先生があなたに伝えたいこと / 【佐藤 智太郎】 地域連携クリティカルパスは、治療の効率化と患者さんの安心を確保するための有効な手段です。

先生があなたに伝えたいこと

【佐藤 智太郎】 地域連携クリティカルパスは、治療の効率化と患者さんの安心を確保するための有効な手段です。

名古屋医療センター 佐藤 智太郎 先生

名古屋医療センター
さとう ともたろう
佐藤 智太郎 先生
専門:人工股関節人工膝関節

佐藤先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 日本人の自信が、今ちょっとなくなっていることですよね。中国に抜かされるとか、アメリカのご機嫌を取らなきゃいけないとかって。でも日本は非常にいい国だし、日本人も素晴らしいし。もっと自信を持ってやればいいと思います。ほかの国がどうとか、日本は落ち込む一方だとか思わずに!おいしいものもいっぱいありますし、自分の国を楽しんでほしいと思いますね。

2.休日には何をして過ごしますか?
 春から秋は山登り。北海道から鹿児島まで行きました。百名山を含めて230ぐらいの山に登っているでしょうか。冬はスキーですね。最近は子連れですから白馬あたりに。

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先生からのメッセージ

地域連携クリティカルパスは、治療の効率化と患者さんの安心を確保するための有効な手段です。

Q.クリティカルパスとはどういうものであり、作成目的は何であるかを教えてください。

名古屋医療センター 佐藤 智太郎 先生A.クリティカルパスというのは、もともとプロジェクトなどを計画し達成するまでの最短経路のことをいいます。たとえばビルを建てるとき、土台から造って最後に備品を入れてという一連の流れの中で、最も時間がかかる作業や重要な工程というのがありますよね。それらを把握して、ビルができていないのにパソコンが届いてしまったというような無駄が出ないよう効率化を図り、業務全体の時間短縮を目指すものです。病院の場合、入院期間の短縮が大きな目的のひとつになります。
 病院だと、たとえば手術を行う時に、ベッドの確保から始まりいろいろな手順がありますが、そういった本質的な流れを標準化したものがクリティカルパスです。本来は病院の数だけクリティカルパスがあるわけです。日本では90年代の終わり頃から導入され、私は前にいた病院で、大腿骨頸部骨折人工関節が必要となる患者さんに向けて院内クリティカルパス(以下院内パス)に取り組んでいましたが、2006年5月、当院でも院内パスを作成。6月には地域連携クリティカルパス(以下地域連携パス)を作成しました。
 ちなみに多くの病院では人工関節手術の場合、20年程前までは平均8週間の入院だったのが、院内パス導入後は2~3週間になりました。当院では現在、術後17日で退院が標準ですが、もっと早く退院できる方も増えています。

Q.すごい効果ですね。では、地域連携パスとはどういうものなのでしょうか。院内パスとはどのように違うのですか?

名古屋医療センター 佐藤 智太郎 先生A.院内で機能しているのが院内パスで、地域の医療機関の間で協力関係を作り、機能させるのが地域連携パスです。
 なぜ地域連携パスが必要になったかというと、介護保険が導入されたことにより、病院の機能分化が進んだことによります。大きな病院は救急車を受け入れる"急性期病院"としての役割が主になりました。リハビリテーションの必要な患者さんを受け入れる"リハビリ病院"や、在宅でのリハビリテーションを支援するための医療施設と、"急性期病院"の連携が必要になり、切れ目のない治療体制を組むために地域連携パスが作られました。
 地域連携パスの作成は、2006年に第五次医療法改正が成立したことがひとつのきっかけになりました。2007年4月施行の第五次医療法改正の中に、各都道府県は疾病別・事業別の9分野において医療連携体制を実施することが決められましたが、大腿骨頸部骨折は先行した事例があったため、特に大腿骨頸部骨折の地域連携パスが広まることになります。
 地域連携パスでは、「いつ頃、どの病院に転院して、いつぐらいに退院か」ということを文書で明確にして、患者さんに渡すことになっています。

Q.実際にはどのように運用されているのですか。

名古屋医療センター 佐藤 智太郎 先生A.当院では、大腿骨頸部骨折の場合1週間~2週間で患者さんが退院または転院できるように院内パスを作って、手術の翌日から歩いていただきます。ちゃんと歩けるようになり、順調に退院基準を満たせば、リハビリ病院へ転院していただくという風にしました。このようなことは、入院されたその日にお話するようにしています。
 急性期病院から回復期病院へ移っていただくわけですが、その患者さんが通いやすいリハビリ病院を3つから4つ紹介し、各病院へ紹介状を送っています。すべての病院が受け入れ可能というわけではありませんから。退院まではトータルで10週間が目安ですね。最初の2週間を当院が担当し、8週間はリハビリ病院。さらに、もともと膝が悪いなど、更なるリハビリが必要な方は維持期といって、在宅でリハビリに通われたり、老人保健施設などに入られます。

Q.他の急性期病院とも協調されているそうですね。

A.ええ。地域連携パスは他の急性期病院でも行われているのですが、以前は病院ごとに院内パスが違っていて、受け入れる側が困っておられました。そこで当院の近くの急性期病院同士で話し合い、2009年4月にパスを共通化しました。今ではベッド数700床以上の6つの病院で共通パスを使用しています。リハビリ病院へ送るときには連絡帳を作成し、患者さんの状態を医師と看護師、セラピスト、薬剤師、ソーシャルワーカーが書き込み、患者さんが転院先へ持って行きます。このような連携の形を"第2世代連携パス"といい、全国でも実施されているのは半分程度でしょうか。

Q.関節リウマチにつきましても、いち早く地域連携クリティカルパスを作成されたとお聞きしています。

名古屋医療センター 佐藤 智太郎 先生A.糖尿病、心筋梗塞など、継続的なケアが必要な患者さんに対して行われるのが"循環型連携パス"です。整形外科で、その必要があるのが関節リウマチということで、2007年から「らくらくパス」の名称で発行を開始しました。
  実は、関節リウマチという診断がなかなかつかないことがあります。痛みがあって、かかりつけのお医者さんへ行っても「痛み止めを出しましょう」「マッサージをしましょう」ということで終わってしまい、やがて手や足が腫れてきてしまってから気づく。その時点では既に、手首など大事な関節の骨が破壊されてしまっている...という事態が起こることがあるのです。
また、関節リウマチは、場合によっては"生物学的製剤"という強力な薬を使うことがあります。体の中の悪い反応をかなり抑えてくれるのですが、副作用の出る恐れもあり、一般の開業医では必ずしも積極的に導入されていません。ですので、最初はこちらで生物学的製剤を開始し、3ヵ月間様子をみて、問題がなければ開業医の先生のところへ帰っていただき、引続き治療をうけていただくことにしました。
  このように「らくらくパス」には"こういう患者さんが来られたら、すぐに当院へ送ってください""紹介してもらった患者さんの情報は、お返ししますので、継続的な治療をお願いします"というようなことを書いていますし、また経過をみる上でのチェック項目を明記したりもしています。また、半年に1回は当院で、精密検査をする、ということで、患者さんや開業医の先生の安心も確保しています。逆に、当院で関節リウマチの診断をされた方についても、同じ流れで、まず当院で様子をみて、あとは通院しやすい開業医へ紹介することにしています。

Q.わかりました。ところで、新しい試みとしてカルテの電子化を促進されていらっしゃるともうかがいました。

A.これも地域連携パスの一環ですね。基本、電子カルテは院内でしか見られませんが、連携先の医療機関でも見てもらえるようにしました。データを共有することで医師同士がやりとりをし、治療を進めていくわけです。今はうちから回復期病院へデータを送る一方通行の形ですが、今、お互いが検査・画像情報を送受信できるよう準備をしています。

Q.このような地域連携パスは、患者さんにとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

名古屋医療センター 佐藤 智太郎 先生A.なによりのメリットは、自分がどんな治療を受けるのかガラス張りでわかることです。「手術して1週間後にはどうしているのか。2週間後にはどの病院へ行くのか。退院はいつか...」など自分のスケジュールが把握できますし、「次、どこの病院へ行くんだろう」というような先の心配がなく、安心して治療に専念できます。患者さんはもちろん、ご家族の方も安心しておられるというのを実感しますね。やはり、医師も含めて患者さんに関わるすべての人が、次にやるべきことをわかっているというのは気持ちの上でずいぶん楽になるのではないかと思います。それに、急性期病院でもリハビリ病院でも、どの先生にかかったとしても同じ方針で治療を受けられますから、先生により言うことが違うという不安感からも解消されます。また何か問題が起こったときには、どの時点でなぜ問題が起きたのかを患者さん自身が調べることも可能になります。

Q.医療スタッフへのメリットについてはいかがでしょうか。

A.看護師についていえば、今までだと、点滴をいつ入れていつ抜くのかということさえ医師の指示を受けていましたが、マニュアルに沿って動けるようになり、看護師の気苦労も少なくなりますし、事故を防ぐという利点もあります。事故の発生しやすいところについてのきちんとチェックができますね。クリティカルパスは医療の標準化ですから、医師にとっても看護師にとっても、いろいろな意味で負担の軽減につながります。

Q.地域連携パスは、実際にはどれくらの期間をかけて作成されたのですか?難しく思われたこともありましたか?

A.2006年の地域連携パスは4ヵ月間で作成しました。地域連携診療計画書を作成し、アンケートを実施、当院で説明会を開いたり、リハビリテーション科と共に説明に出向いたりもしました。"第2世代連携パス"についていうと、急性期病院にはそれぞれの自負、やり方がありますから、その辺を調整するのが難しかったといえるでしょう。一度は頓挫しましたから。

Q.最後に、地域連携パス運用の中心におられる先生の今後の目標は何ですか?

名古屋医療センター 佐藤 智太郎 先生A.医療機関同士の"顔の見える連携"を通して、より効率的で質の高い、安全な体制を構築していきたいと思います。電子カルテについても、最終的には患者さんが自分のデータを見られるような連携ができればいいなと思っています。

Q.最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

佐藤 智太郎 先生からのメッセージ

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取材日:2010.2.17

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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