先生があなたに伝えたいこと / 【苅田 達郎】 正確な術前計画による、正確な手術が、良い治療につながります

先生があなたに伝えたいこと

【苅田 達郎】 正確な術前計画による、正確な手術が、良い治療につながります

東京都立多摩総合医療センター 苅田 達郎 先生

東京都立多摩総合医療センター
かりた たつろう
苅田 達郎 先生
専門:人工股関節

苅田先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 電子書籍、特にiPad(※)ですね。読書が好きなので。この前、ラジオで紹介されていましたが、患者様にわかりやすく説明するために、このiPadを利用されている先生がいらっしゃるそうです。 そういった利用方法にも大変興味があります。

(※)iPadはApple Inc.の商標です。

2.休日には何をして過ごしますか?
 もっぱら本を読んでいます。活字が大好きな人間なので。
DVDで映画を見ることも多いですね。

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先生からのメッセージ

正確な術前計画による、正確な手術が、良い治療につながります。

Q.東京大学時代に「3D立体骨モデル」というものを実用化されたそうですね。そのお話を聞かせてください。

東京都立多摩総合医療センター 苅田 達郎 先生A.3D立体骨モデルとは、人工関節等の術前計画(手術前のシミュレーション)に用いる石膏製の立体骨モデルです。その作製には特殊な三次元プリンタを用います。このプリンタは、携帯電話などのような工業製品の試作品を作る時にも使われています。実際には、患者さんの骨盤から膝(ひざ)までの骨の輪切りのCTデータをコンピュータ上で積み重ねて三次元立体画像を作ります。それをもとに三次元プリンタで実物大の「3D立体骨モデル」を作り、術前計画を立てるという流れになります。

CTスキャナー 三次元プリンタ

Q.「3D立体骨モデル」のメリットを教えてください。

人工股関節イラストA.第一に、より詳細な術前計画ができるということです。コンピュータ上でシミュレーションした人工関節の設置状態が、実物大で立体的に再現できます。例えばカップ(骨盤側の部品)が、この位置に、この角度で設置できるというのが実際に目で、又は手で触って確かめられます。つまり、医師が頭の中でイメージしていたものと違いがないか確認ができます。
 第二に、実際に手術を行うスタッフ(助手の医師や看護師)と手術前に、このモデルを用いてシミュレーションすることにより、手術中のコミュニケーションがすごく楽になりますね。それも大きなメリットです。

Q.医療スタッフの手術中のコミュニケーションが楽になるんですね。

東京都立多摩総合医療センター 苅田 達郎 先生A.手術は一人ではできません。全てはチーム医療です。一つの手術には執刀する医師以外にも助手を含め複数のスタッフがいます。例えば人工股関節では、骨盤のカップの設置位置が大変重要です。ここの位置に設置したいのだけれども、骨盤のこの辺でいいのかなとか、もうちょっと角度を変えたほうがいいのではとか、カップ自体の大きさはこのぐらいでいいのだろうか...と手術前にシミュレーションすることによって、そのイメージをスタッフ全員が正確に共有できるんです。特に威力を発揮するのが、形態の変形が強いタイプの骨盤や大腿骨に対してです。これにより正確な手術にもつながりますし、スタッフ全員のコミュニケーションがスムーズになることで、手術中に逡巡することが少なくなり、メスを入れてからの手術時間が短くなります。手術時間を短縮することによって、安全性が向上し、合併症も少なくなります。

Q.患者さんにとっても大きなメリットがあるんですね。

東京都立多摩総合医療センター 苅田 達郎 先生A.そうですね、患者さんは病院に来られるときには、本当に困っています。私たちは安全で正確な手術をすることはもちろんですが、手術について分かりやすく説明をし、患者さんに安心していただくことが、第一に大切だと思っています。この3D立体骨モデルを使って手術の説明をすると、患者さんが、自分の骨の状態をご自身で確認でき、医師の説明が理解しやすくなって、手術に対する不安が軽減されるのでは、と考えています。自分の骨が正常な股関節のモデルと比較して、こんなに違うのかと驚かれることもありますね。

Q.「3D立体骨モデル」はどういった患者さんを対象にされているのですか?

東京都立多摩総合医療センター 苅田 達郎 先生脚長差A.全ての患者さんに3D立体骨モデルを作るわけではありません。通常はレントゲン写真をもとに二次元で術前計画をし、手術を行っています。私たちは普段から二次元のレントゲン写真を三次元的にイメージすることを積み重ねていますので、通常はそれで十分です。
しかし非常に複雑な変形をした症例、例えば脚長差がすごくあるとか、骨頭変形が強いとか、亜脱臼が強いとか、そういった著しい変形を伴う患者さんの場合に、3D立体骨モデルを作製します。患者さんの中には、もともと骨格が普通とはちょっと違う方もいらっしゃいますし、とても体の小さい方などの場合、通常の人工関節が適合するかどうか確かめるのにも役立ちます。どうしても合わないときはカスタムメイド(特注)人工関節も検討します。
 それから再置換、即ち緩んでしまったりした人工関節を入れ替える時に、骨の欠損状況を把握できたり、骨切り術といって、骨を温存する手術を若い時に受けていて、その後に人工関節になった場合にも、骨の形が著しく変形していることが少なくないので、その変形の様子を実際のモデルで確認するのにも役立ちます。これにより、手術を始めてから、あるべきところに骨がなかったというような、予測していなかった事態に陥る恐れが低くなります。初めて手術をする場合と違って、再置換手術では、骨盤側のどこに骨移植をしないといけないとか、どの部分に骨折があるとか、考えなければならないことが多くなるので、このモデルは有効です。

症例写真

Q.術前計画は大切なのですね。

東京都立多摩総合医療センター 苅田 達郎 先生A.やはり、きちんとしないと、特に慣れた医師は手術中に思わぬ落とし穴にはまることもありますので、術前計画はそれだけ慎重にしないといけないと思います。慣れてきた頃が一番危険ですから。正確な術前計画による、正確な手術は人工股関節の寿命に大きく関わります。そして何よりも患者さんが手術後、合併症なく元気に退院し、早期に社会復帰していただくことを願っています。

Q.「3D立体骨モデル」を作ろうと思われたきっかけは?

東京都立多摩総合医療センター 苅田 達郎 先生A.大学で、三次元の実物大の造形モデル研究会というのがあったんです。最初ここでは、形成外科や口腔外科の先生が中心になり、顔面の骨の欠損を補ったり、患者さんに合った歯を作ったりされていました。そういった研究会に参加して、私たち整形外科の分野でも、人工関節等の術前計画に応用できるのではないかと思い、10年ぐらい前に始めました。その後、プリンタやコンピュータの画像技術が進歩してきましたので、実用化できました。

Q.実際に、変形が著しい大変な症例をお持ちの患者さんにメッセージをいただけますか。

東京都立多摩総合医療センター 苅田 達郎 先生A.人工関節置換術というのは、世界中で数多く行なわれている手術です。また、手法も確立されています。この「3D立体骨モデル」は、特に変形の著しい方とか、2度目3度目の手術を受ける方には非常に朗報で、安全、速やか且つ正確な手術を可能にする方法の一つだと思っています。

Q.最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

苅田 達郎 先生からのメッセージ

※ムービーの上にマウスを持っていくと再生ボタンが表示されます。

取材日:2010.7.30

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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