先生があなたに伝えたいこと / 【内田 理】人工股関節手術後も多くの方が、軽い運動や好きなスポーツを楽しまれています。

先生があなたに伝えたいこと

【内田 理】人工股関節手術後も多くの方が、軽い運動や好きなスポーツを楽しまれています。

高知赤十字病院 内田 理 先生

高知赤十字病院
うちだ ただし
内田 理 先生
専門:人工股関節人工膝関節

内田先生の一面

1.休日には何をして過ごしますか?
 実は最近、ジムに通い始めました。スポーツに関する調査をするにあたって、自分もやはり運動しないと、と思い立ちまして(笑)。午前中はジムで体力作りをして、午後から週に1日は読書をしたり家でゆっくり過ごす、というのが最近のパターンです。

2.最近気になることは何ですか?
 医療を取り巻く環境ですね。特に高齢者に対して厳しい現実もありますし、今後のことが気になります。

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先生からのメッセージ

人工股関節手術後も多くの方が、軽い運動や好きなスポーツを楽しまれています。

Q. 先生は、人工股関節手術をされた患者さんのスポーツ活動について研究されておられますね。

A. はい。数年にわたって、人工股関節手術をされた患者さんの術前のスポーツ経験、術前と術後とのスポーツ活動の比較、および、術後にスポーツをしている方の割合や種目満足度などを調査しています。

Q. ということは、手術後にスポーツをしても大丈夫なのでしょうか?

高知赤十字病院 内田 理 先生A. これまでに発表された文献や数々の調査では、人工股関節置換術を受けられた方も、一般的にはスポーツ活動をしてもよいとされています。ただし、みなさんそれぞれの体質や環境など、同じ条件ではないので注意が必要です。たとえば、内科的な疾患をお持ちで心肺機能の悪い方などは、主治医とよく相談していただければと思います。

Q. 調査の結果は、具体的にはどのようなものだったのでしょうか?

高知赤十字病院 内田 理 先生A. 手術されるのは60代以降の方が多いのですが、その5割から6割の方が術後に何らかのスポーツをされていたことがわかりました。また、それまでスポーツの経験がなかった方も、術後にリハビリの一環としてスポーツを始められることが多く、その両方を合わせて、術後のスポーツに対する満足度の高さは8割にのぼります。これらの比率は男女とも同じくらいですね。また、70歳を越えても軽い運動を含めてスポーツをされている方の割合も高いですね。こういった調査の結果から、私は、その方がお元気ならば術後のスポーツに年齢制限はないと考えています。
ただし、術前に本格的なスポーツの経験がありながら、股関節の痛みのために中断し、手術後にスポーツを再開された方は、やはりこれまでの思い入れもありますし、一定の高いレベルに達していたということもあり、満足度は6割程度に下がりますね。

Q. なるほど。このような差はあるにしても、全体としての満足度はとても高いですし、スポーツは無理どころか、できる範囲で楽しんでよいのですね。

A. そうなんですよ。もしスポーツをしないとしても、リハビリも兼ねて、軽い運動でも体を動かしていただいたほうがよいと思います。

Q. なぜ軽い運動でもしたほうがよいのでしょうか?

高知赤十字病院 内田 理 先生A. 骨が刺激されることで人工関節を支える骨の質の向上につながり、骨をつなぐ筋力の強化にもなりますので、人工関節がゆるむリスクが低減されます。そして何より、運動をすることでバランス感覚が養われ、特に高齢者の場合は転倒の予防になることが運動を推奨する理由です。つまり、ほどよい運動や軽いスポーツは、人工股関節を長持ちさせることにつながるわけです。

Q. スポーツをすることで人工股関節が壊れるということはないのでしょうか?

A. 私の経験では、スポーツをしたから人工股関節が壊れたり周囲に骨折が起こったり、脱臼したというケースはありませんね。

Q. なるほど。それではおすすめのスポーツや、逆に避けたほうがよいスポーツはありますか?

高知赤十字病院 内田 理 先生A. 海外でも推奨されていて私も同じ考えなのですが、多くの方が年齢に関係なく始められるスポーツとしては、リハビリにも適しているウォーキングや水中歩行、スイミングなどです。術前に経験されていたスポーツについては、その方の知識と経験を生かして、体と相談しながら無理なくということなら、続けていただいてもよいのではないかと思います。バレーボールやバスケットボールは、ジャンプを繰り返したりハードな練習をしたりすることを避け、疲れたらすぐに休みをとるなど工夫すれば構いません。レクリエーション程度なら、どんなスポーツでも問題ないと思います。
しかしながら、相手と強く接触するコンタクトスポーツ、たとえばラグビーや柔道などは避けたほうがよいですね。また、繰り返し強い外力のかかるジョギングやマラソンなども避けたほうがよいでしょう。

高知赤十字病院 内田 理 先生Q. スポーツの制限は意外に少ないものなのですね。

A. ええ。以前は人工関節の耐久性の問題や治療側の姿勢もあって、なるべく人工関節に負担をかけず長く保たせるようにしましょう、ということだったのですが、現在は人工関節そのものの改良ですとか手術手技の向上で、人工関節の寿命が確実に延びてきています。これらの進歩でスポーツが推奨されるようになり、多くのスポーツが許容されるようになったということだと思います。

Q. 具体的にはどのような進歩があげられるのでしょうか?

A. 手術手技におきましては、なるべく皮膚の切開を小さくする侵襲(しんしゅう:体を傷つけること)の少ない手術(MIS)ですね。それと人工関節を入れる際に筋肉を傷めない手技が考案されて、普及しはじめています。人工股関節自体もポリエチレン部分の技術の進歩で、以前に比べて骨頭径の大きな人工股関節が使えるようになりました。スポーツをするためにはある程度の可動域(かどういき:人工関節が脱臼を起こさずに動くことができる範囲)が必要で、そのために大きな骨頭を採用するのが有効なんです(下図参照)。

骨頭ボールの大きさの違いによる可動域の差

骨頭が小さい場合骨頭が大きい場合

かつては、骨頭が大きくなると摺動面(しゅうどうめん:骨頭ボールと臼蓋ソケットのこすれあう面)により大きな負荷がかかってポリエチレンが摩耗し、その摩耗粉が人工関節と骨の間に入ることで人工関節のゆるみの原因になるという心配がありました。しかし最近では、摺動面の摩耗を低減させるAquala(アクアラ)という新しい技術の特殊な処理を施した人工股関節が登場していますので、ゆるみのリスクが低減できるのではないかと思っています。「人工関節の進歩で摩耗のリスクが低減して、大きな骨頭が使えて可動域が広がり、かつ、手術手技の進歩で筋肉へのダメージも少なくなって、スポーツの制限が少なくなった。」といえるでしょう。

Q. よくわかりました。好きなスポーツを楽しんだり体を動かしたりするのに大きな制限がないというのは、患者さんにとって明るい情報ですね。最後に、スポーツとの関連で先生の記憶に残っている患者さんのエピソードをお聞かせください。

高知赤十字病院 内田 理 先生A. 私が調査研究をするきっかけとなった、人工股関節手術をした女性の患者さんですが、検診に来られたときに、なんとエアロビクスや簡単なヨガもしていると聞いて、さすがに驚きました。もちろん、この方は特別な例ですが、そんなことまでできるんだと、一度きちんと調べてみようと思ったんですね。ほかに特に印象に残っているのは、男性で剣道をされている患者さんがいらして、「自分が剣道をするのは無理でも、子ども達の指導だけは続けたい。そのためにも痛みを取りたい。」とおっしゃって手術に臨まれました。今は、ご自身も昔ほどはできなくても剣道を続けることができていますし、「自分に対しての満足度は6 割だけど、子ども達への指導の面では100%の満足に近い」とおっしゃっています。患者さんそれぞれのやり方や立場でスポーツを楽しんでおられ、明るい気持ちを取り戻されていることは、人工関節に携わる整形外科医として大変うれしいことです。

Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

内田 理 先生からのメッセージ

※ムービーの上にマウスを持っていくと再生ボタンが表示されます。

取材日:2013.6.17

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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