先生があなたに伝えたいこと / 【島本 則道】変形性膝関節症は運動器の国民病といえると思います。これに対処すべく、治療法や手術法は目覚ましく進歩しています。

先生があなたに伝えたいこと

【島本 則道】変形性膝関節症は運動器の国民病といえると思います。これに対処すべく、治療法や手術法は目覚ましく進歩しています。

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院 島本 則道 先生

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院
しまもと のりみち
島本 則道 先生
専門:膝関節

島本先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 骨休みするのに最適な、どこか良い温泉がないかなぁと。あれば教えてください(笑)。

2.休日には何をして過ごしますか?
 スポーツドクターとして現場に行っていることが多いのですが、家にいるときは娘と遊ぶのが楽しみです。

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先生からのメッセージ

変形性膝関節症は運動器の国民病といえると思います。これに対処すべく、治療法や手術法は目覚ましく進歩しています。

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院 島本 則道 先生Q. 今回は、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)をテーマにお話を伺います。まず、変形性膝関節症とはどういう疾患なのでしょうか?

A. 膝関節は大腿骨と脛骨、お皿の部分の膝蓋骨(しつがいこつ)から成っていて、大きな骨の大腿骨と脛骨の間でクッションの役割をする軟骨と半月板が内側と外側にあります。そのクッションの役割をする部分がすり減って、膝関節が徐々に変形してしまう疾患です。骨と骨が直接こすれ合ってしまうことで痛みや炎症が出たり、骨棘(こつきょく)という突起物ができたりして、膝の動きが悪くなり歩行時に痛みが出るのが特徴です。進行すると軟骨が完全になくなることで症状が重症化し、日常生活に支障をきたしてしまいます。参考までに2005年に行われた調査によると、有病率は2,530万人と類推されていますから、"運動器の国民病"といえると思います。症状の出る方はこのうち1/3といわれ、約800万人が苦しまれています。高齢化が進むに伴い、その数はますます多くなっていくでしょう。

膝の靭帯の名称

骨棘

Q. まさに国民病ですね。その原因は何なのでしょうか?

A. 一次性と二次性に大別されます。一次性は大きな原因がなく加齢、肥満、運動不足などで引き起こされるもので、遺伝的な背景も示唆されています。女性であることもリスクのひとつといえますね。二次性としては、若い頃に靭帯や半月板損傷、関節内骨折などの既往や、関節リウマチによって引き起こされます。患者数は圧倒的に一次性のほうが多いです。

肥満 イラストQ. ということは、誰でもなりうる疾患なのですね。

A. はい。みなさん、若い頃はたくさん食事をしても、代謝が良いし運動することでカロリーが消費され、膝周辺の筋肉もしっかりしていたと思います。しかし年齢を重ねると、意識しなければ運動する機会も減り、膝周辺の筋肉量は落ちる一方です。代謝が悪くなって体脂肪や体重も増えてしまいます。私も人のことはいえませんが(笑)。ここで視点を膝関節の軟骨に置き換えてみましょう。支えてくれるはずの味方の筋肉は減ってしまうのに、上に乗ってくる体重は増えていく。これでは軟骨が悲鳴を上げるのも当然ではないでしょうか。

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院 島本 則道 先生Q. なるほど。軟骨の側に立てば、体重を増やさないでおこう、運動して筋力を保ってあげようと思えそうです。では、変形性膝関節症の診断はどのようにされていますか?

A. まずは現れている症状の確認です。どういうときに痛いのか。たとえば初期に特徴的な症状として、階段の昇り降りのときに痛むことがあげられます。ほかにも膝の裏が痛いという方も多いです。そしてレントゲン検査を行います。レントゲンには軟骨は写りませんので、関節の隙間で判断します。隙間が狭くなってきているということは軟骨が減ってきているということなのです。

Q. 治療法について教えてください。

A. 保存治療と手術治療がありますが、まずは外科的手術を行わない保存治療を行います。保存治療は痛みをコントロールして低減させる方法です。そもそも治療の目的とは、「膝の痛みによる悪循環を断ち切ること」です。悪循環というのは、膝の痛みのために歩くのが困難になり、安静にすることが多くなって運動習慣が減り、膝周辺の筋肉が落ちることです。それでさらに軟骨の負担が増えて、膝の痛みが増していきます。これを良い循環に戻すには、何はともあれ膝の痛みを軽減することが必要なのです。私の2015年度の診療実績から統計をとりますと、約9割が手術をしない保存治療で、初診時の疼痛が半分以下にまで下がっています。

Q. 多くのケースで保存治療が有効なのですね。保存治療についてもう少し詳しく教えてください。

足底板A. 痛み止めの投薬、ヒアルロン酸の関節内注射、一番大事なのはリハビリテーションです。状態によっては足底板(そくていばん)を用いた装具治療も併行します。日本人はO脚の方が多く、そういう方は膝の内側に負担がかかって軟骨を痛めてしまうのです。足底板を利用して膝の角度を調節することで、負荷を分散し軽減することができます。保存治療で改善せず、変形が進行して日常生活に支障がでる場合に、手術治療が選択肢になります。

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院 島本 則道 先生Q. 手術治療にも種類があるのでしょうか?

A. 変形性膝関節症の病態や重症度によって内容が変わり、関節鏡手術(かんせつきょうしゅじゅつ)、骨切り手術(こつきりしゅじゅつ)人工膝関節置換術(じんこうひざかんせつちかんじゅつ)から選択することになります。重症度が高いと軟骨がほとんど消失しているので、人工膝関節置換術の適応となります。人工膝関節の手術はどれほど変形が高度でも行うことができ、膝の痛みを確実に減らすことができるとても良い手術です。

Q. 関節鏡手術と骨切り手術はどういうときに行われるのですか?

A. 関節鏡の手術は変形性膝関節症が軽度で、膝の痛みの原因が半月板損傷にあるときに行います。半月板は軟骨同様にクッションの役割をしますが、血行が全体の10%しかありませんので、自然治癒は困難です。ですから損傷すると保存治療では軽快しないことも珍しくなく、損傷した部分を切除してきれいに掃除をしたり縫い合わせたりします。
骨切り術は、主にO脚の方に行われ、骨の向きを外側に変えてX脚にすることで痛みを取り除きます(高位脛骨骨切り術:こういけいこつこつきりじゅつ)。膝関節を温存できて運動も問題なくできるのがメリットですが、外側の軟骨が残っていることが条件になります。人工的に骨折させて金属で固定するので、比較的若い方など、いくつかの条件があります。人工膝関節にするまでの時間を稼ぐという意味で行われることが多い手術です。

O脚の図 荷重線は膝の内側にかかり、足底では外側にかかる。 膝の内側の軟骨がすり減って狭くなる(内反変形)。

高位脛骨骨切り術

Q. わかりました。それでは人工膝関節置換術についてですが、やはり種類があるのでしょうか。

A. 人工膝関節単顆置換術(UKA)人工膝関節全置換術(TKA)に分かれます。
UKAは減少した軟骨の部位が内側または外側のみで、靭帯が温存されている場合が適応となります。TKAと比べると侵襲が少なく、回復も早いので運動することが多い患者さんにも向いています。患者さんの年齢によりますが、私は骨切り手術よりもUKAを選択することが多いです。力仕事をしている男性で、内側だけにすごく体重がかかっていて、でも骨切り手術では入院日数が長くなるというのでUKAを選択したこともあります。TKAは軟骨の大部分がすり減って靭帯も消失している場合に適応となります。高度な関節変形、著しいO脚も矯正できます。

人工膝関節単顆置換術(UKA)

人工膝関節単顆置換術(UKA)

人工膝関節全置換術(TKA)

人工膝関節全置換術(TKA)

Q. 人工膝関節は進歩しているのでしょうか? たとえば現在の耐用年数はどれくらいですか?

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院 島本 則道 先生A. 人工膝関節置換術の歴史は50年以上ですが、特に今世紀に入ってからの進歩は目覚ましいものがあります。たとえば20年前に入れた人工膝関節の生存率は92%から93%もあります。今後はさらに延びることが期待されます。

Q. 具体的にどういうところが進歩したのですか?

A. 人工膝関節そのものについては、正座など深い屈曲ができる日本人の生活に合ったデザイン、サイズが選択できるようになりました。また、今までのTKAでは靭帯を切除するのが一般的でしたが、近年、靭帯温存をコンセプトに持つものも開発されています。前述しましたが、機械の素材やデザインの進歩に伴い耐用年数は著しく延びています。ほかにも、金属アレルギーの方にはセラミック製の人工膝関節を選ぶこともできます。
手術手技については、曲げ伸ばしをしたときの靭帯バランスを取りやすい方法が開発されています。その方に合う人工膝関節を選び、靭帯バランスを整え、骨棘をきれいに取り除くなど、常に丁寧な手術を行うことで、人工膝関節はストレスなく使え、耐用年数もさらに伸ばすことができると考えています。

Q. 大変よくわかりました。ところで手術といえば術後の痛みも心配です。

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院 島本 則道 先生A. 私が研修医の頃は、手術したら痛いのが当たり前だよ、という考え方でしたが、実は当たり前ではなかったんですよね。疼痛(とうつう)管理も重要なのです。現在では麻酔科の先生と連携して、大腿神経ブロック、関節周囲カクテル注射などを効果的に使い、手術後の痛みをなくすことを目指しています。ゼロにするのはなかなか難しいのですが、できる限り取ってあげることが大切だと思っています。

Q. 痛みが軽いとリハビリもスムーズに進みますね。入院期間はどれくらいですか?

A. 1週間程度という施設もありますが、当院では2週間から3週間いていただきます。1週間で退院できないこともないのですが、退院してから大変です。しっかりリハビリをして、自信を持って安心して退院していただきたいと思っています。

Q. 人工膝関節手術を受けた患者さんが、退院後に気をつけることはありますか?

A. 体重の管理ですね。中にはびっくりするほど太られる方もいて、顔もつやつやして、元気で良いんですけどね(笑)。ぜひ体重はコントロールしていただきたいと思います。外に出て、ウォーキングなど運動習慣もつけていただきたいです。

特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新東病院 島本 則道 先生Q. ありがとうございました。話は変わりますが先生は日本体育協会公認スポーツドクターの資格をお持ちとお聞きしています。

A. アイスホッケーの男子日本代表のチームドクターをしています。また最近、ラグビーの国際大会で負傷者を診る国際資格(マッチドクター)の資格を取りました。2019年に日本でラグビーのワールドカップが開かれます。地元、札幌で開催されますので、ラグビーをしている長男と今からとても楽しみにしています。

Q. ますますご活躍ですね。最後に先生が整形外科医になられて良かったと思うのはどういうときですか?

A. やはり、患者さんが治療の"質"に満足してくれるときです。整形外科医は命を預かるというよりも患者さんの"生活の質"を預かるのです。自分ではうまくいったと思っても患者さんが満足してくれないと意味がありません。そのギャップを埋めることが使命です。そしてメリット、デメリットをきちんとお伝えして、それを踏まえた上で「手術をして良かった」、「もっと早く手術すれば良かった」といってもらえると、本当にうれしい気持ちになります。

Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

島本 則道 先生からのメッセージ

※ムービーの上にマウスを持っていくと再生ボタンが表示されます。

取材日:2017.4.27

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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