先生があなたに伝えたいこと / 【中山 威知郎】大腿骨骨折の治療方針は、患者さんの手術後の人生を考え、もっともメリットのある選択をしていきたいと考えています。

先生があなたに伝えたいこと

【中山 威知郎】大腿骨骨折の治療方針は、患者さんの手術後の人生を考え、もっともメリットのある選択をしていきたいと考えています。

島田市民病院 中山 威知郎 先生

島田市民病院
なかやま いちろう
中山 威知郎 先生
専門:股関節

中山先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 ロードバイク系の自転車で通勤しています。最近、その自転車のシフトを、ボタン一つでチェンジできる電動タイプに変えたんです。使うのが楽しみなので、毎日、天候が気になっています。

2.休日には何をして過ごしますか?
 長年、モトクロスというオートバイ競技をたしなんでいます。一応、チームに所属している現役ライダーなんですよ。同世代のライダーには負けないぞと闘志を燃やしています。職業柄、チームドクターも兼任しているのですが、僕自身が実際に競技しているので、仲間がケガをしたときも話を聞いただけで状況が手に取るようにわかる。だから重宝されています(笑)。

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先生からのメッセージ

大腿骨骨折の治療方針は、患者さんの手術後の人生を考え、もっともメリットのある選択をしていきたいと考えています。

Q. 最近、高齢の方が転倒して骨折し、寝たきりになることが問題になっています。主にどの部分を、どのように骨折するのでしょうか?

島田市民病院 中山 威知郎 先生A. 高齢の方に多いのは大腿骨の骨折です。大腿骨の骨折は大別すると2つに分けられます。大腿骨の先端にある骨頭(こっとう)の下で折れる大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)と、それよりもさらに下の転子部(てんしぶ)という部分が折れる、大腿骨転子部骨折(だいたいこつてんしぶこっせつ)です。
大腿骨の近位は骨が"くの字"型に曲がっているのが特徴で、この突出した大転子に大きな力が加わると、くの字を広げようとする力が働き、骨折に至るのです。

大腿骨の骨折

大腿骨の骨折

Q. 高齢の方が骨折しやすい原因は何なのでしょうか?

島田市民病院 中山 威知郎 先生A. 女性に多いのは骨粗鬆症(こつそしょうしょう)ですね。出産で大量のカルシウムを奪われたり、閉経により女性ホルモンの分泌量が低下したりして、骨密度が下がりやすくなります。骨密度の低い骨は大変もろいので、少しの衝撃でも骨が折れやすくなるのです。
一方、男性の場合は、加齢とともに骨が硬くなっていく傾向があります。骨密度は高いのですが、硬いまま骨の質が低下するので、ポキンと折れやすい骨になっていくのです。

Q. 骨の折れ方によって、痛みに違いがあるのでしょうか?

A. 折れた骨がどれくらいズレているかで痛み方が違います。ズレが大きい場合は、歩けないほどの痛みを感じられると思いますが、ズレが少ない場合は、痛いけど歩けることがよくあります。ただし、「歩けるから大丈夫だろう」といって安心はできません。少しでも痛みがあると歩く機会が減り、筋力や骨の強度低下を招きます。骨折されてから24時間以内に治療を始めれば治るのも早くなる、といった研究論文もあります。
何より、痛みはストレスであるということを忘れてはいけません。痛みがなかなか引かない場合は、早めに専門科を受診することをおすすめします。

Q. 骨折したら、どんな治療がなされるのでしょうか? やはり手術が必要なのでしょうか?

島田市民病院 中山 威知郎 先生A. 股関節は、手首などと違ってギプスで固定するのが難しい部位です。そのため、基本的に手術が必要です。大腿骨頸部骨折で骨のズレが少ない場合は、プレートやネジを使って骨同士を接合する骨接合術(こつせつごうじゅつ)、ズレが大きい場合は、人工骨頭置換術(じんこうこっとうちかんじゅつ)という人工股関節を使った手術が一般的です。
骨接合術では、骨頭をスクリューとプレート(トロカンテリックプレート)で固定するCCHSという方法を採用するケースが多くあります。ズレが少ない場合は、95%の確率で骨が融合するという臨床成績が出ています。最近はズレが大きな時も、緊急手術で固定することもあります。転子部の骨折の場合は、ほとんどの場合で骨接合術を行います。ただし、ズレが大きな場合は、骨接合術では骨が融合しにくいので、骨のないところへ人工骨を補てんして骨接合術(こつせつごうじゅつ)を行います。

CCHS+トロカンテリックプレート 大腿骨頸部骨折(骨接合術)

CCHS+トロカンテリックプレート 大腿骨頸部骨折(骨接合術)

人工骨頭置換術

人工骨頭置換術

Q. 次に人工股関節手術についてお伺いします。この手術はどういったものでしょうか?

A. 折れたり、変形してしまった骨や軟骨を取り除き、金属やポリエチレンなどの人工物に置き換える手術です。骨に対する固定法が2種類あり、それぞれ、セメント固定(※1)、ノンセメント固定(※2)と呼ばれます。
セメント固定とは、歯科材料でも使われる骨セメントを使い、骨と人工関節の隙間を埋めて固定する方法です。入り組んだ形のところでもしっかりと固定できるのが特長です。ノンセメント固定は、骨にかみ込むような特殊な表面形状の人工股関節を使って、骨に直接固定する方法です。
セメント固定は、骨の弱い方にも使えて長期成績も良好ですが、セメント特有のテクニックが必要なことと、セメントが固まるまでの血圧低下が問題です。一方のノンセメント固定は、セメント使用時の問題はありませんが、人工股関節が骨に沈みやすくなるので、骨の弱い方には適さないこともあります。折れた場所や折れ方、患者さんの体の状態に合わせて、適切な方法を選んでいます。

CHS

CHS

(※1)セメント固定タイプ (※2)ノンセメント固定タイプ

(※1)セメント固定タイプ (※2)ノンセメント固定タイプ

Q. 手術法にも種類があるのですね。ほかにも、新しい技術が生まれているのでしょうか?

島田市民病院 中山 威知郎 先生A. 手術法では、コンピュータを用いたナビゲーションシステムなどが登場しています。人工股関節自体では、軟骨の役割をするポリエチレンを入れるのですが、その摩耗を抑制するために、人の細胞膜と類似の分子構造を持つMPCポリマーを表面加工するAquala(アクアラ)という新しい技術が登場しています。
このように、新しい技術はどんどん生まれてきていますが、私は、人工股関節手術も術中イメージインテンシファイア(Image Intensifier : I.I.)という、レントゲン透視映像を画面で確認しながら手術を行っています。リーミング(骨を削ること)の深さや方向、人工股関節の打ち込みの状態を確認しながら行っています。人工股関節の選択や手術方法は、患者さんの体に使うものなので、臨床成績を重視して慎重に選んでいます。

Q. 手術後、どれくらいで退院できるのか気になります。ところで、骨は何日くらいで固定されるのでしょうか?

A. 骨接合術の場合は、1ヵ月ほどで退院できます。骨癒着には半年ぐらいかかります。その間は痛みがありますが、リハビリを行っていただきます。人工股関節の場合も、1ヵ月程度の入院リハビリで杖歩行で帰っていただいています。

水中歩行 イメージQ. それにしても、骨折しないに越したことはありませんよね。骨折を防ぐためには、どういったことを心がけると良いのでしょうか?

A. やはり運動ですね。骨密度は、骨を動かすことで上がります。関節を動かすことは骨を動かすことになりますから、運動はとても大切です。高齢の方でも、毎日30分歩いている人は、運動をしていない人に比べて股関節周辺の骨密度が高いんです。無理のない程度に、スポーツジムやプールなどで運動するのも良い予防法だと思います。骨密度を上げる薬ももちろん効果が期待できますが、飲めば良いという考えではなく、あくまで運動にプラスする予防法だと思っていただきたいですね。

Q. 股関節疾患の患者さんを治療される際に、先生がもっとも大切にしていることは何でしょうか?

島田市民病院 中山 威知郎 先生A. まずは骨折している部位をすぐ手術して、痛みをとる必要があります。骨折は、手術を後にすれば後にするほど状態が悪くなります。また、整形外科だからといって、整形のことばかりではいけません。合併症を多く持つ患者さんが多いため、全身管理の勉強も必要だと思っています。人工股関節手術は本当によい手術だと考えています。昔に比べて、長期的にもよくなり、合併症も少ないので若い人にも適応があると思います。

※Aquala(アクアラ)は京セラ株式会社の登録商標です。

Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

中山 威知郎 先生からのメッセージ

※ムービーの上にマウスを持っていくと再生ボタンが表示されます。

取材日:2015.10.16

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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