先生があなたに伝えたいこと / 【廣岡 孝彦】 肩の痛みや不自由を解消し、よりよい生活へとつなげていきましょう。

先生があなたに伝えたいこと

【廣岡 孝彦】 肩の痛みや不自由を解消し、よりよい生活へとつなげていきましょう。

尾道市立市民病院 廣岡 孝彦 先生

尾道市立市民病院
ひろおか たかひこ
廣岡 孝彦 先生
専門:人工肩関節

廣岡先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 現在、地域医療の崩壊が新聞やニュースでも取沙汰されております。最近の新聞で山陰のある病院からの整形外科医師4名が報じられていました。
ここ、尾道地区も例外ではありません。私が尾道市立市民病院に赴任しました7年前には、近隣の総合病院に常勤整形外科医が複数常勤しておりましたが、ここ数年で2ヵ所の総合病院から整形外科医が撤退しており、患者さんが十分な治療が受けられていないのが現状です。救急患者さんの受け入れも大変ですが、脊椎や関節疾患などの慢性疾患の患者さんも、比較的進行してから私たちの病院を受診されることが多いように思います。地域の患者さんたちが安心して、最寄の医療機関で整形外科の診察治療をうけることができる日が早く来ることを望んでいます。

2.休日には何をして過ごしますか?
 普段の平日は、診療や手術で夜遅く帰宅しますので、休日にはできる限り家族とのコミュニケーションをとるようにしています。でも、翌週の仕事の準備に追われて十分な時間が取れないことも多々あります。そのような時には、夜だけでも一緒に外食するようにしています。

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先生からのメッセージ

肩の痛みや不自由を解消し、よりよい生活へとつなげていきましょう。

Q.本日は、肩の疾患と人工関節についてお伺いしたいと思います。まず、肩に痛みがあると、日常生活においてどのような支障が出てくるのでしょうか。

尾道市立市民病院 廣岡 孝彦 先生A.やはり一番困ることは、腕を上げることができないということですね。60度も上げることができないとか、自分の思うように上げることができない。そのために、洗髪ができないとか、頭上のものをとることができないなど、日常の生活でかなり不便を強いられます。もうひとつは、肩の痛み。腕を上げるときに痛いのはもちろんのことですが、夜間に痛くて眠れないという方もおられます。横になると痛いので、座った状態でうとうとする。もちろん十分な睡眠はとれません。座ることで、腕の重みにより関節が開いて痛みが和らぐのかなと思いますね。

Q.それは大変なストレスになりますね。そこで有効な治療のひとつが、人工肩関節の手術ということになると思うのですが、一般には、まだ、あまり馴染みがないようにも思います。ぜひ、人工肩関節の仕組みや材質について教えて下さい。

A.肩関節は、肩甲骨のくぼみ部分(関節窩/かんせつか・グレノイド)に上腕骨の骨頭がはまっている構造になっています。その両方が壊れてしまった場合に、きれいな形に作り変えましょうというのが人工肩関節手術です。

全人工肩関節置換術

 一般的には、上腕骨は壊れた骨頭を切除して上腕骨コンポーネント、すなわちステムと骨頭の形をしたヘッドを挿入します。ステムは、セメントで固定する方法と、セメントを使わずにしっかりと合うサイズのものを入れて固定する方法があります。多くは上腕骨コンポーネントのみの人工骨頭で対応できますが、関節窩が壊れてしまって、スムーズな肩の動きができない場合には、関節窩にグレノイドコンポーネントを挿入します。グレノイドコンポーネントはプラスチックですから、メタル(もしくはセラミック)のヘッドとプラスチックの融合ということになりますね。

Q.では、人工肩関節手術が必要な疾患には、どのようなものがあるのでしょうか。

A.肩の付け根で起こる上腕骨近位端骨折です。大きな外力による場合や粗鬆骨では、骨頭が数個の骨片に粉砕することがあります。特に骨頭が3つの骨片に割れてしまう4パート骨折では、強固な固定ができなくなる場合があります。ロッキングプレートや髄内釘を用いて骨折部を固定することもありますが、中には骨癒合が得られない場合や上腕骨頭が壊死する場合もあります。患者さんがご高齢の場合には再手術も大変ですので、患者さんに十分な説明をして、最初から人工骨頭を選択する場合もあります。

人工骨頭置換術

 次は変形性肩関節症ですね。原因がわからない、あるいは加齢による一次性と、原因となる基礎疾患がある二次性があります。日本では一次性は少ないですね。肩は非加重関節ですので、あまりストレスがかかりません。また、しっかりした筋肉で覆われていますので、関節自体が比較的安定しているためと思います。二次性は、上腕骨近位端骨折が変形して治癒した場合や骨折、脱臼、ステロイド服用やアルコール多飲での血行障害による骨頭壊死などがあります。
 最後に関節リウマチ。最近は生物学的製剤などを用いて早い段階から治療を行うことで、関節の破壊も抑えることが可能といわれていますが、私どもの病院には、関節破壊が進行した状態で来院される方も結構おられます。

Q.いろいろな疾患があるのですね。

尾道市立市民病院 廣岡 孝彦 先生A.はい。もうひとつ重要な疾患に腱板断裂があります。通常は、断裂した腱板を鏡視下に修復するだけでよいのですが、腱板が広範囲に断裂してしまうと、肩関節が非常に不安定になり、その結果関節が破壊されるカフアルスロパチーという病態があります。人工骨頭や人工関節の適応ですが、断裂した腱板の修復や再建が不十分で、腱板機能が獲得されない場合には、上腕骨頭が上方に移動してしまいますので、手術は慎重を要します。大腿筋膜の移植や広背筋移行で腱板を完全に再建しないと、ヘッドとグレノイドコンポーネントとのアンバランスが生じます。そのあたりが、結構難しいです。

Q.それらの疾患の割合、男女比率はどのようになっていますか?

尾道市立市民病院 廣岡 孝彦 先生A.骨折に関しましては、比較的女性に多いです。これは閉経後の骨粗鬆症が大きく関与していると思います。骨頭壊死の場合には、アルコール摂取量の関係から男性の割合が高いと思います。関節リウマチは女性が多いです。

Q.骨折しないためには、まず転倒を防ぐことだと思いますが、そのために、日常生活で注意すべきことはありますか?

A.一番大事なことは、日々の暮らしの中で足腰を鍛えておくこと。骨密度を測定して、骨粗鬆症と診断されれば、ビスフォスフォネート製剤やラロキシフェンなどの骨を丈夫にするお薬を服用することも重要です。

Q.実際に人工肩関節の手術となれば、やはり非常に不安だと思います。患者さんからの悩みや質問で、特に多い内容とはどのようなものでしょうか。

尾道市立市民病院 廣岡 孝彦 先生A.自力で腕を上げることができないとか、肩の痛みが強い方が多いですので、「手術を受ければ、どの程度腕を上げることができますか?」、「肩の痛みがどの程度取れますか?」「人工関節はどの程度持ちますか?」と質問されることが多いです。完全に挙上できる場合もありますが、カフアルスロパチーでも、洗髪ができるとか髪を後ろに束ねる程度の挙上は可能になります。疼痛は比較的取れることが多いです。肩の違和感が残る場合もありますが、術前の痛みはかなり改善します。関節内に関節液や血液が溜まって関節周囲が腫れる関節水腫、関節血腫という状態も、手術をうけることで改善されます。

Q.人工肩関節の寿命についてはいかがでしょう。

A.人工肩関節は、人工股関節や人工膝関節と比べて全国の手術症例数も少ないので、正確なデータは出ていないと思いますが、「一般的には10年は大丈夫と思います。」とお話しています。まれに、術後早期からコンポーネントの緩みの報告もありますので、術後1~2年は2~3ヵ月に1回、その後は1年に1回は外来受診して頂き、レントゲンを撮影しております。

Q.術後のリハビリは、どういうことをするのですか?

尾道市立市民病院 廣岡 孝彦 先生A.手術後の2~3週間は三角巾を使用し、肩周辺の筋力訓練を行います。歯磨きなどは、術後早期から可能です。その後は、肩を外に回す外旋訓練や、自分で腕を上げる自動挙上訓練を行います。退院は1ヵ月程度で可能ですので、その後は週に1~2回の外来通院でのリハビリ訓練で十分です。

Q.骨折やリウマチなど疾患により、リハビリの内容は違ってくるのでしょうか。

A.特に変えていません。ただ、カフアルスロパチーの場合には、腱板の再建も追加しておりますので、肩の自動挙上訓練は術後6~8週以降に行っております。再建した腱板の再断裂をできる限り避けないといけません。

Q.術後にスポーツをするのは難しいのでしょうか。

A.特に制限はしていません。重いものを持ち上げたり、ぶら下がったりすることはよくありませんが、人工肩関節を受けられる患者さんは、ご高齢の方が多いですので、過激なスポーツはされないですね。ゲートボール、グランドゴルフ、普通のゴルフもレクリエーション程度で軽くされるのなら問題ないと思います。

Q.最後に、手術を受けられた患者さんからの言葉で、特に印象に残っているものはありますか?

尾道市立市民病院 イラストA.「こんなに腕が上がるなんて思わなかった。」「痛みが楽になりました。」といわれ、定期の外来診察でスーと腕を上げてくれる患者さんが多いです。近くの内科医院で、ある医師から腕がよく上がるようになったのを、「廣岡先生に見せてあげなさいよ」と言われ、わざわざ外来診察にこられた方もおられました。そういう患者さんの声を聞き、姿を見て、本当にうれしく思っています。

Q.最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

廣岡 孝彦 先生からのメッセージ

※ムービーの上にマウスを持っていくと再生ボタンが表示されます。

取材日:2010.2.1

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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