先生があなたに伝えたいこと / 【朱 寧進】膝の痛みには、関節外の痛みと関節内の痛みがあります。痛みの原因を見極めてこそ、治療がうまくいくといえるでしょう。

先生があなたに伝えたいこと

【朱 寧進】膝の痛みには、関節外の痛みと関節内の痛みがあります。痛みの原因を見極めてこそ、治療がうまくいくといえるでしょう。

多摩北部医療センター 朱 寧進 先生

多摩北部医療センター
しゅ ねいしん
朱 寧進 先生
専門:膝関節

朱先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 少子高齢化が進む日本の行く末でしょうか。

2.休日には何をして過ごしますか?
 子どもと遊んだり、学生の時から続けているバレーボールで汗を流したりしています。

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先生からのメッセージ

膝の痛みには、関節外の痛みと関節内の痛みがあります。
痛みの原因を見極めてこそ、治療がうまくいくといえるでしょう。

Q. 膝関節の痛みの原因にはどのようなものがあるのですか?

A. 関節の外側に起因する痛みと関節の内側に起因する痛みに分けられます。外側というのは、簡単にいうと筋肉系統の痛みです。活動や負荷が自分の筋力を上回った場合に起こると考えられています。内側は軟骨、半月板、靭帯などが原因で生じる痛みです。

右膝の膝関節を正面から見た図

Q. では、関節の外側に起因する痛みには、どんな治療法があるのでしょうか?

A. 関節の外側、すなわち筋肉系統の痛みは、ご自分の努力で解決が可能です。それには3ヵ条があって、まずは『大腿四頭筋(だいたいしとうきん:太ももの前側の筋肉)を鍛える』こと、次に『膝蓋骨(しつがいこつ:お皿)をよく動かす』ことです。

大腿四頭筋

大腿四頭筋を鍛える方法の例

膝蓋骨マッサージ、ストレッチ方法の例大腿四頭筋は膝関節を伸ばす筋肉です。膝蓋骨は大腿四頭筋の働きを助けるのに、大切な役割を果たします。膝蓋骨の周囲は特に負担がかかりやすく、痛みが出ることが多いのです。その痛みのためにさらに筋力が低下する悪循環を引き起こしますし、膝蓋骨が固くなると膝の動きがスムーズにいかなくなくなりますから、よくマッサージ、ストレッチすることが大切です。最後に『なるべく歩かない』こと。これを患者さんにいうと、「そのまま歩けなくなってしまうんじゃないか」と心配されますが、筋肉を鍛える訓練をしていればそのようなことは起こりません。

多摩北部医療センター 朱 寧進 先生Q. なぜ歩かないほうが良いのですか?

A. 歩くことは膝の屈伸の繰り返しなので、筋肉系統、つまり関節の外側への負荷が増し痛みを悪化させてしまうんです。とはいえ、みなさん生活がありますし、お仕事をしている方もいらっしゃいます。そこまでやめるというのではなくて、痛い間は歩くのは必要最低限にしましょうということです。強調したいのは、治そう、良くしようと思ってご自身の判断でウォーキングをしたり、いつもより頑張って歩いたりというようなことはやめてほしいということです。

Q. 膝が痛いイコール膝関節の内側が原因というイメージでしたが、必ずしもそうではないんですね。

A. 外来で膝の痛みでいらっしゃる8割ほどは関節の外側、つまり筋肉系統の痛みなんですよ。加齢で半月板が傷んだり、軟骨がすり減るなど、関節の内側が痛みの原因であると一般的にいわれているので、みなさんそう思い込んでしまうことがあるのかもしれませんね。私自身は関節の内側の問題を抱えている方の大部分は関節の外側の問題も抱えていると考えています。

Q. なるほど。関節の外側だけに問題がある場合に、先の3ヵ条の実行が重要になるわけですね。痛みがなくなっても継続したほうが良いのですか?

多摩北部医療センター 朱 寧進 先生A. 継続していただくのが一番良いのですが、せめて、ちょっと膝の調子が悪いなというとき、痛みが軽いうちに再開していただくと病院に来なくても治ると思います。思い出したらやっていただくということをぜひお願いしたいです。

Q. それでは、関節内の主な疾患にはどのようなものがあるのですか? その治療法についても教えてください。

A. 変形性膝関節症が代表的な疾患で、ほかに大腿骨内顆骨壊死(だいたいこつないかこつえし)、関節リウマチなどがあります。いずれも膝関節の軟骨がすり減る疾患です。治療法としては、まずは手術以外の方法を最大限尽くします。筋力のトレーニングをしていただきながら、場合によって痛み止めの服用、ヒアルロン酸の関節内注射などを行って様子をみます。それで痛みが楽になったり、ご本人が生活に困らなくなれば、手術をしないで経過観察します。しかし、こういった保存療法で改善がみられないときは、やはり手術に頼らざるを得ません。すり減った軟骨や傷んだ半月板は血行が乏しいため再生能力が極めて弱く、現代の医学では元に戻すことは困難だからです。ただし手術に向けては関節の外側の痛みを改善していることが大前提となります。

変形性膝関節症

Q. 手術に際して、それほどに関節の外側の状態の良し悪しは重要なのですか?

多摩北部医療センター 朱 寧進 先生A. 筋力がしっかりしていること、お皿の周りの筋肉の痛みが取れていることが大事です。これが良好でないと、手術をしても思うような効果が出なかったり、手術後に筋肉のこわばりが出たりするなど、膝の状態が悪化してしまうことも考えられます。さらに、リハビリもスムーズに進まず、その後の歩行に影響が出ることもあります。ですから医師としては、まずは関節の外側の状態を見極めることが大切です。

Q. 膝の外側の問題が解決したのち、手術に最適の時期というのはあるのでしょうか?

A. 膝の痛みは生死に関係しませんので、よほど構造が破綻しているというようなことがなければ、手術の時期は基本的には患者さんに選んでいただいています。アドバイスとしては、もっと歩きたい、旅行に行きたいけど行けないなど、「自分の希望する歩行ができなくなったとき手術を決断しては」と、お話ししています。あと、きっと誰もが、「手術は怖い」「でも膝の痛みで歩けなくなるのは不安」という想いをお持ちになると思いますので、「手術への期待が不安を上回ったときに決断すれば良いのでは」とお伝えしています。

Q. 素朴な質問ですが、手術をすれば必ず良くなりますか?

多摩北部医療センター 朱 寧進 先生A. そうですね、関節の外側の筋肉の状態がよければ、あるいは良くなるように準備をしていれば、ほとんどの場合、自ずと手術はうまくいきます。しかし、レントゲンの所見で軟骨がすり減り変形している場合で、そのとき関節の外側の痛みを理解せずに関節の内側だけ治しても痛みが改善しないこともあるんです。主原因がどちらか、やはり見極めが必要なんですね。当院に相談に来られて、手術しても痛みが改善しないと患者さんがおっしゃられる場合は、関節の外側に問題が残ったままで手術してしまったことに原因があると私は推察します。

Q. 具体的にどのような手術法があるのでしょうか?

A. 大きくは人工膝関節全置換術(じんこうひざかんせつぜんちかんじゅつ)人工膝関節単顆置換術(じんこうひざかんせつたんかちかんじゅつ)高位脛骨骨切り術(こういけいこつこつきりじゅつ)に分けられます。

人工膝関節全置換術

人工膝関節全置換術

人工膝関節単顆置換術

人工膝関節単顆置換術

高位脛骨骨切り術

高位脛骨骨切り術

このうち骨切り術は膝関節の内側だけが悪い場合に、骨を切ってO脚をX脚に矯正して痛みを取る手術です、適応の条件として、骨がある程度しっかりしていることが必要ですので、おおむね70歳以下で活動性の高い方が対象となります。ご自分の関節が残りますからスポーツなども可能ですし、手術後に万一悪化したとしても、人工膝関節全置換術に移行できるのもメリットです。
人工膝関節単顆置換術も膝関節の片側だけが悪い場合に行われます。ただし耐用年数が全置換術よりも若干落ちますので、目安としては70歳以上の方が適応となります。痛みを取る確実性は全置換術のほうが高いと思いますが、手術前の膝の曲がる角度を確保することができるので、正座ができていた方ならそのまま正座も可能です。前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)、後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)を切らずに残しますから、自分の脚に近い感覚も残すことができます。ただし変形が強ければ全置換術の適応となるでしょう。
全置換術は膝関節の全部を人工的な置換物にしますから、高度に破壊された膝の機能を再獲得するのには最も信頼性の高い手術といえます。痛みを取ることにおいても、耐用年数が15年から20年以上ということを考えても、長期成績が安定し適応の幅も広い優れた手術だといえます。

Q. 人工膝関節全置換術にも種類があるのですか?

A. 後十字靭帯を温存するタイプと切除するタイプがあります。後十字靭帯を温存するタイプのほうが骨を切る量が少なくて済みますし、膝の生理的な動きを確保することができます。しかし、すでに靭帯が切れている場合や、傷みがきつくて変形も顕著なときは、後十字靭帯を切除する人工膝関節を使うほうが安定し、変形自体も矯正しやすいのです。このように、人工膝関節については単顆置換術も含めて段階に応じて選んでいくということになります。

人工膝関節全置換術の種類

Q. よくわかりました。ところで術後の痛みを心配されている方も多いのではないでしょうか?

A. 痛みに関してもいろいろと考えています。手術中の麻酔は当然として硬膜外麻酔(こうまくがいますい)、神経ブロック、局所麻酔薬や消炎鎮痛剤など薬剤を各種配合した関節内カクテル注射などがあり、それらを使い分けたり併用したりすることで、いまではずいぶん痛みがコントロールできるようになりました。昔に比べて格段に術後の痛みは楽だと思います。また、術後の痛みはやがては消える一時的なものであるということを忘れないでいただきたいですね。

Q. 次に人工膝関節手術のリハビリと入院期間について教えてください。

A. 血栓予防のためにも早期の離床は必要ですから、翌日には車いすに乗っていただきリハビリをスタートします。入院期間は全置換術なら平均3週間、短い方で2週間、ゆっくりで4週間です。単顆置換術ならもう少し短くなるでしょうか。その方の手術前の可動域(かどういき:関節を動かすことができる角度)や筋力の強さ、年齢、一人住まいかどうかなど、その方の環境や状態に合わせてリハビリのペース、期間は変わります。そういえばこの間手術をした方は全置換で2週間の入院だったのですが、お住まいがエレベーターのないアパートの5階でした。それでもきちんとリハビリをしたので、不安なく帰られましたよ。

Q. すごいですね。それも個人差なんでしょうね。

多摩北部医療センター 朱 寧進 先生A. そうですね。一般的には杖をついて問題なく歩けるようになって退院ということですが、必要に応じて階段昇降や身の周りのことが自分でできるような練習をしていただくなど、本当にケースバイケースです。実は杖なしで歩ける方も多いのですが、やはり術後6ヵ月頃までは杖をついて歩いていただいています。最初からどんどん歩くというよりは、手術した足を守りながら歩くほうが良いということです。

Q. 退院後の生活についてアドバイスをお願いします。

A. 筋肉が回復して転ぶリスクも低減したら、積極的に歩いていただいて大丈夫です。細かな注意点はそれぞれに違いますので、一人一人が医師や理学療法士のアドバイスを守っていただければ、よほど野蛮なことや衝撃の強いことでない限り、何でもどんどんやって良いと思います。痛みを取り、自分でやりたいことができる、そのための手術ですから。

Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

朱 寧進 先生からのメッセージ

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取材日:2015.9.10

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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