手術支援ロボット
はじめに
最近、受付や配送などさまざまな場面でロボットを見かけるようになりました。実は医療の現場でも、ロボット技術が活躍しています。人工関節置換術では、医師の手術をサポートする「手術支援ロボット」が登場し、より精度の高い手術が可能になると期待されています。
「ロボットは何をするの?」「患者さんにはどんなメリットがあるの?」
そんな疑問や不安を持つ方に向けて、手術支援ロボットをわかりやすく解説します。
手術支援ロボットとは?
手術支援ロボットは、手術をより正確かつ安全に実施できるように医師をサポートするためのロボットです。関節の形や動きは一人ひとり異なるため、骨をどこまで削るのか、人工関節をどのように設置するのかについて、一人ひとりに合わせた手術をすることが望ましいです。
これまで、骨を削ったり、人工関節を設置したりするときの細かい調整を、医師の経験や技術に頼っていました。手術支援ロボットによって、骨を削る位置や人工関節を設置する角度などを1mm・1度単位で高精度にガイドできるようになります。手術支援ロボットを使用しない場合よりも使用した場合のほうが、人工関節を正確に設置できるという報告もあります1)。
さらに、ロボットの中には0.5mm・0.5度の細かさで微調整ができるものや、手ブレなどの計画外の動きを制御するもの、計画に沿って骨の切除を自動で行う機能を備えたものもあります。
※機種によって機能は異なります。
日本では2024年末時点で300台以上の手術支援ロボットが導入されています2)。手術支援ロボットを使用した手術件数は2023年度には約15,000件となっており、年々増加傾向にあります3)。

手術支援ロボットのいいところって何?どんなメリットがあるの?
・一人ひとりに合わせた手術をサポートできる
関節の形や動きに合わせた個別の手術計画が可能です。
・精度の高い手術が期待できる
骨を削る位置や角度、人工関節を設置する位置や角度をミリ単位でガイドできます。人工関節が適切に設置されると、関節のバランスが整いやすくなり、自然な動きに近づけられます。人の手のようなブレが少ないのも特徴です。
手術の流れ
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1. 診察、検査(X線、CTなど)関節の痛みや変形の程度を確認します。画像検査(X線やCT、MRIなど)を通じて、手術が適応となるかどうかを医師が判断します。手術を受けるかどうかは、最終的には患者さん自身に決めてもらいます。
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2. 術前計画CTなどの検査で得られた骨や関節の形のデータをもとに、コンピューター上でシミュレーションを行い、骨を削る位置や人工関節を設置する角度やサイズなどを事前に決定します。
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3. 入院
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4. 手術
医師がロボットを操作しながら行います。ロボットは、計画通りに手術を進めるためのサポート役です。手術中の動きはすべて記録され、術後の確認にも活用されます。
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5. リハビリ手術による合併症を予防し、さらに術後の関節機能を回復させるため、術後早期からリハビリが始まります。医師や理学療法士の指導のもとでリハビリを行います。
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6. 退院
退院後も定期的な診察を受け、経過を確認していきます。
※手術の流れは一例です。症例によって異なる場合があります。
よくある質問
Q. ロボットが勝手に手術するのですか?
A. いいえ。ロボットは医師が操作します。術前計画や手術は医師が行い、ロボットは主にその精度を高めるために使われます。
Q. すべての病院で受けられるのですか?
A. いいえ。手術支援ロボットは日本で導入が進みつつありますが、まだ限られた病院での対応となっています。受診予定の病院に確認することをおすすめします。
Q. 手術支援ロボットを使用するデメリットは無いのですか?
A. ロボットに骨の位置を読み込ませたり、数値を入力したりする操作に時間がかかるため、熟練した医師が行う手術よりも手術時間が長くなる場合があります。
Q. ロボット手術には保険が適用されますか?
A. 2025年現在、日本で手術支援ロボットが使用されている以下の3つの手術すべてで保険が適用されます。詳しくは医療機関にご相談ください。
・人工股関節全置換術
・全人工膝関節置換術
・単顆人工膝関節置換術
※2025年10月現在の情報です。最新情報は医療機関に確認してください。
- 参考
- 1)日本整形外科学会・日本股関節学会 変形性股関節症診療ガイドライン2024
- 2)桑沢 綾乃. "本邦における人工関節手術支援ロボット比較". 臨床整形外科. 2025 vol60(3). p229-239.
- 3)公益社団法人 日本整形外科学会 年次報告書(2020年度~2023年度) をもとに「関節が痛いドットコム」が算出・作成
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