人工股関節置換術 体験インタビュー
4.人工関節について
ものを拾う
人工関節のことなんですけれども。今の生活では人工関節が入っていることを意識されることはないんですか?何か注意したりとか、14年経って、今でもここだけはちょっと気をつけてるかなぁっていうことはありますか?
そんなないです...ほんとにないわ...
ないですか?
ただ、やっぱり不自由はあるんですよ。角度が悪かったり、(腰を下ろすポーズをとって)屈み方ができなかったりとか。なーんにもない!ていうことはないです。物拾う時でも膝曲げて取ることはできない。
膝を伸ばしたまま...手を着くみたいにしないと取れない。膝を曲げたらだめよっていう取り方。
足を後ろに引いてとるんですか?
引いて取るとか...それはあんまりしないですけどね。
どういう風なんでしょうか?
しましょうか?
お願いします
物が落ちたら私はここ(膝)も曲げずに拾うんです。普通の人はこう膝を曲げてしゃがむでしょ?
はい。
でも少し離れていたら遠くて、ほら届かないでしょ。ね?角度が悪いから。だからこうして近くに寄って取るの。
そうですね。
だからちょっと辛いとこがある。最初は届かなかったんです。でも今はこれくらいまで手が着くようになってきたから何とか拾えます。でも物が落ちたら腹が立ちます。もう取りにくいから!だからゴミ拾おうって思うけど気がついても無視したいなぁっていう気が、ものすごくあるんです。嫌なんですねやっぱり角度が悪いから、こんな風にして取らないといけないから。ちょっと大変っていうのがある。
やっぱりあるんですね。
で、友達なんかはそれで夫婦喧嘩するそうなんです。落ちてるものを拾えといわれたらやっぱり腹が立つって。やっぱり同じやなって思うんです。
やっぱりちょっと何かこう...
拾えないことはないんですけど...何となく大変なんです。
邪魔くさいっていうのとは違うし...
いや邪魔くさい。他にも、こういう(両膝を前に着くような)座り方をしたとするでしょ?
立つ時大変なんです。どっか持つところがなかったら絶対立てないから、ヤンキー座りとか、ああいうのは絶対出来ない。それとお風呂の時、足先が洗えない。外側を曲げて洗うと足の裏も洗えるけど。だから足がちゃんと洗えるように台を置いています。
くつ下をはく
やっぱりそういうところは、ずっと気をつけてるところなんですね。
気をつけなくても勝手にしてしまう。もうできないから。
そうですね。でも手術されて1年2年とかはどうでしたか?
物をはさむやつを使ってみたりとか、靴下履く、ソックス何とか(ソックスエイド)いうやつを作ってみたりとか工夫してきたんですけど、段々(体が)柔らかくなってきて、それがいらなくなってきたり。
で、今はもうだいぶ体が覚えてるんですね。
うん。勝手に覚えてしまっているからそんなに不自由はない。で、痛みがないから。ちょっとの不自由くらいは...痛みのないのがいい!
そうですよね。体が動きを覚え始めたのはやっぱり3年とか5年くらい経ってからですか?
うーん。
それとも10年くらい?
いや。いつ頃から何も考えないようになったんでしょう。最短コースを考えて歩くっていうのも、もう勝手にしてしまってることですね。うん。
人工関節のプロみたいな感じですよね。
そうそう!プロ。どう行くと近くて、歩く距離が少なく...
できるかっていう。
うん。勝手に頭が、動くようになってる。道を先に探してるみたいなところがある。
(笑)でもプロになった今でも、物を取るとか足の裏を洗うとか、そういうできないことはあるんですね?
うん。
磨耗についての不安と手術のタイミング
病院の検診の頻度は、今はどれくらいですか?
年2回。6月と12月。
決まってるんですね。それは手術後ずっと?
ううん。最初は1ヵ月に1回ぐらい行ってて、3ヵ月になって、半年になって。
で、年2回になって。
なるほど。全然磨り減ってないんですか?
先生は『減ってない』って。
やっぱりそういうことに対して不安はありますか?
今は私はない。それでも先生たちは、あんまり歩かないで、そして悪い姿勢しないで、重たいもの持たないでっていいますよ。そういいますけどね。 私が最初病院行った頃は、人工関節は10年に1回は換えないといけないから、西田さんだったら3回か4回は入れ換えないといけないといわれました。若い時からですから。だからまぁ、1番初めに見てくれた先生は、『すぐしますか?』っていわれたんですけど『えぇ!3回も4回もしないといけないんだったら...』って辛抱してたわけ。『10何年か経って痛くなったら行ったらいい』『寝たきりになったら行ったらいい』と思って、辛抱したんですよ。その間、新聞にセラミックと人工関節の記事が載ってたりしてたのも見てました*。私にしたら耐久性が20年ぐらいやと思ってるでしょ?だから使用期間過ぎてる人がどれだけいて、再入れ換えした人はいるかなぁ?とか思ってました。でも私はあの手術してから1回も入れ換えしないで済むよって思ってる。
じゃあ入れ換えなければいけないかもしれない不安っていうのはない?
全然ない。減らないだろうなぁって思ってる。
それはどうしてなんですか?
今まで減ってるような感じがしないし、先生も『いっこも減ってないねぇ』っていうし。だから、セラミックってのもあるけど。何にもあなたの会社にヨイショしてる訳ではないよ。
(笑)はい。
私はそう思っていますから。私1回もそんな、入れ換えが必要だなんて...
心配はしてない?
うん。ただ、こけない様にするってこととか、こけてここ(腰の辺りを指差して)を当てたりしないようにとか、そういう不安はあるけど、歩くだけでは減らないと思ってる。すごい自信やね(笑)。
(笑)そこを心配されている患者さんもおられると思うんです。
多いね。してる人の方が。第一、手術するのが怖いって。痛いだろうしって。でも、したらいいのに!って。入れ歯もするし、この頃は腎臓の入れ換えもしますからね。骨くらい。そりゃセメントでアレルギーおこす人がいるかもわからないし**、色々あるかもわからないけどね。でも、してみたらいいのに!って思ってる。私は何も(不安が)なさすぎて申し訳ないくらい。反対側の足もちょっと悪いけど、先生は使える(手術は不要)っていってくれてます。大丈夫ですって。
*セラミックを用いない人工関節もあります。
**セメントを用いない人工関節もあります。
※対談の内容はあくまで体験者の感想です。症状や結果には個人差があるため、詳しくは専門医にご相談ください。