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人工股関節とともに、今、そしてこれからをイキイキと

2.人と比べず昨日の自分と比べて。術後のリハビリは、体だけでなく心も回復が必要に。

Q. 「術後のリハビリについて」もご質問が多いそうですね。

廣田奈穂美さん 写真A. 「リハビリって辛いんじゃないか」と心配されている方が多いようです。結論からいいますと、大変でした。でも楽しかったです。一日一日できることが増えるのですから。必ず一日一日良くなりますから、心配されなくて大丈夫ですよ。

Q. リハビリも怖くない、と(笑)。本格的なリハビリは手術翌日から?

A. 通常はそうですが、私は38度以上の熱が5日間続いて、手術後6日目からのリハビリでした。若いと体の中に異物が入ったことに抵抗して反応を起こすそうなんです。
リハビリを始めて2日目からは車椅子でトイレに行ったり歩行器で歩いたりできましたが、それでも最初は何かにつかまってお尻を上げたりするのが思うようにいかず、ちょっと辛かったですね。

Q. 手術後の痛みについてはどうでしたか?

A. 何でもそうですが、個人差がありますよね。私の場合は、何かどことなく痛みがあるような気がして眠れなくて、睡眠薬を処方してもらったこともありました。本当に痛いのか、今まで痛かったことの記憶なのか、それさえもわからなかったのですけど。でも、まさに日にち薬で、一日一日痛みがなくなっていくのが実感できるのがうれしかったです。

Q. なるほど、やはり体験談は大変参考になります。では退院後ですが、しばらくは「脚の違和感」が少しあるとも聞いているのですけれど、廣田さんの場合はどうでしたか?

廣田奈穂美さん 写真A. 今はまったく違和感はありませんが、半年くらいは、おそらく関節周囲の筋肉なんでしょうね、こわばる感じがありました。それと、筋肉を切除したところが修復されるまでは少し時間がかかるらしくて、突っ張った感じもありました。
でも徐々にそれもなくなりますし、仕事が滞るような違和感ではなかったです。普通のお仕事なら難なくこなせると思いますよ。
一番気になったのは、椅子に座って立ち上がるときに脚が固まるというか、すぐに真っ直ぐに立てないことでしたが、それもいつの間にか解消されていました。

Q. 今はほぼ問題なく?

A. はい、おかげさまで。ただ右足の外反母趾の治療をしています。手術との因果関係はわかりませんが、ハイヒールが支障なくはけるようになって、利き足に負担がかかっているのかもしれないなと思います。

Q. 「退院から職場復帰まで」にはどれくらいかかったのですか?

廣田奈穂美さん 写真A. 退院は手術から3週間後でした。私の手術法では4週間程度といわれていましたから、少し早かったです。それが8月末で、職場復帰は、専門学校の後期授業が始まる10月。その頃には杖も必要なくなっていました。だけど実は、それまでは引きこもっていたといってもいいくらい、気力がなえてしまっていたんです。

Q. 気力がなえた原因は何だったのでしょう?

A. 何といえば良いんでしょう...。焦りもあったかもしれません。
イメージとしては退院すればすぐ復帰できるだろうくらいに思っていたのに、そんなにスムーズにはいかないし、「新学期までに間に合うだろうか」という焦り。不思議なんですよね、病院では元気だったのに、家に戻ると外に出るのに躊躇するんです。
ひとつには杖をついているし、人目が気になったこともありますけど。歩く練習は暗くなってからやりましたし、お買い物も知っている人の極力いないところで。でも何を買えば良いかわからないんですよ。ぼーっとしている感じ。そういうことの積み重ねで精神的にちょっと参っていたのかもしれません。

Q. その状況をどうやって乗り越えられたのでしょうか?

A. 何か特別なことをしたというよりは、徐々に徐々に。少しずつ家事から始めて。意外に難しかったのはお掃除ですけど、それも少しずつ上手になって、「今日はこれだけできた」という発見が気持ちを前へ進めてくれました。
あと女性の方は、外に出るときはできるだけおしゃれをしてほしいなと思います。私自身は意識的に、ネイルをしてお化粧もきれいにして教壇に立ちました。そしたらそれだけで、外側から元気がもらえる気がしたんです。

Q. 女性にはきっと有効ですね。ところで「脱臼」についてはどうでしょう? やはり気を使われていますか?

廣田奈穂美さん 写真A. 先生からもさんざん言われますから、最初はかなり気にしました。2ヵ月くらいは枕を挟んで寝ていましたし。でも転んじゃったこともあるんですけど、そのときは頑丈だな、という感覚でしたので、人それぞれの可動域の範囲で動いて、「こういう姿勢はだめですよ」といわれている姿勢をとらないようにすれば良いのではないかなと思います。
それにダメな姿勢って自分でわかりますから、無理なく自然に任せるのが良いのではないでしょうか。
私が具体的にしたことは、なるべく椅子の生活にして、お風呂にも大きくて高めの介護用の椅子を用意しました。浴槽に出たり入ったりも脱臼の危険のある姿勢ですし、身体を洗うときは、その椅子を上手に活用しました。危険動作に関しては、退院時にリハビリの先生から、丁寧に指導を受けました。

Q. 股関節に嘘をつかないというのか、無理のない生活をしていただくということですね。

A. それが本当に大事ですよね。何となく普通に動けるのがうれしいのであって、「今日はお台所に1時間立てたな」とか、「昨日は1/3しかできなかったけど今日は2/3できた」とか、そういうことを指針にすれば生活も楽しくなるし、やる気も出ます。
家で出来る筋力トレーニングも病院から教えていただけますが、そんな毎日毎日はできないです(笑)。
でもそれをプレッシャーに感じるよりも、日々の暮らしのなかで家事をしたりお買い物のために歩いたり、「普通に動くことがリハビリになるくらいの気持ちで良いのかな」と感じています。
「人と比べるのではなく昨日の自分と比べればいい」んですよね。

次ページは「手術をして今思う確かなこと」のお話です。

インタビュー目次

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  • 人工股関節置換術インタビュー2ページ目
  • 人工股関節置換術インタビュー3ページ目

※対談の内容はあくまで体験者の感想です。症状や結果には個人差があるため、詳しくは専門医にご相談ください。

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