先生があなたに伝えたいこと / 【廣瀬 士朗】チーム医療は術後の安心とより良い生活を実現するために大きな力を発揮します。

先生があなたに伝えたいこと

【廣瀬 士朗】チーム医療は術後の安心とより良い生活を実現するために大きな力を発揮します。

愛知医科大学病院 廣瀬 士朗 先生

愛知医科大学病院
ひろせ  しろう
廣瀬 士朗 先生
専門:股関節

廣瀬先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 イスラム国に代表されるような国際的テロです。またそれに対応するために、ヨーロッパを中心に極端な保守化が台頭してきていることも非常に危惧しています。個人的なことでいえば頸椎症で今、首が痛いこと(笑)。

2.休日には何をして過ごしますか?
 数年前までは名古屋シティマラソンのハーフマラソンに出たり、自転車のロングライドに挑戦したりしていましたが、少し体調を悪くしてやらなくなりました。それで、ほかに趣味を作らなければと思い、突然、絵を始めたんです。今は水彩画を描くのが楽しみです。

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先生からのメッセージ

チーム医療は術後の安心とより良い生活を実現するために大きな力を発揮します。

水中歩行 イメージQ. 人工股関節の手術において、先生はチーム医療を重要視されていますが、どうしてなのでしょうか?

A. 手術前後の安全管理、術後の疼痛(とうつう)管理、リハビリテーション合併症への対応など、各分野の専門医が総合的に治療にあたることは、手術後の患者さんの満足度を上げるためにとても大切なことと考えています。それには情報共有が大事ですので、定期的にリハビリテーション科、感染症科との検討会も行っています。

Q. チーム医療の具体例を教えていただけますか?

愛知医科大学病院 廣瀬 士朗 先生A. たとえば、手術当日はGICU(術後の集中治療室)で、麻酔科による全身管理を行っています。基本的には翌日にGICUを出て、理学療法士及び作業療法士による本格的なリハビリテーションがスタートし、退院後も併設の運動療育センターで水中運動や水中歩行を中心とした運動療法の継続が可能です。また合併症のひとつである術後感染が発症してしまった場合、感染症科と連携して速やかで適切な抗菌薬治療を行うことができます。

Q. 例をあげていただくだけでもチーム医療の重要性がわかりますね。では股関節の手術についてお伺いします。まず、人工股関節手術が必要になる疾患と、患者さんの割合を教えてください。

A. 疾患としては変形性股関節症大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)関節リウマチなどがあり、手術が必要になるのは、ほとんどがかなり進行した状態の変形性股関節症です。年齢では55歳以上がおおよその適応と考えており、当院では現在、年間100人前後に人工股関節手術を行っています。若年で変形がさほど進行していない場合には、関節を温存する各種の骨切り術を考慮しますが、人工股関節に比べると、現在では適応となる患者さんの割合はかなり少ないです。当院の特徴をあげるとすれば、寛骨臼棚形成術(かんこつきゅうたなけいせいじゅつ:臼蓋形成術ともいう)でしょうか。

Q. 寛骨臼棚形成術とはどのような手術なのですか?

A. 先天的に臼蓋(寛骨臼)の形成が不十分な方は、骨頭が体重を支える面積が小さくなり、その分、面積あたりにかかる負荷が大きくなります。それである程度の年齢になると、痛みや変形が出てきます。寛骨臼棚形成術は、このような寛骨臼形成不全(臼蓋形成不全ともいう)の患者さんに対して、骨盤の骨を必要最小限の骨切りを行い、その骨片を臼蓋部に埋め込んで、体重を支える棚を作る手術です。手術による負担が少なく、人工股関節になるまでの時間をかなり稼げる有効な手術です。

股関節の構造(正面図)

寛骨臼棚形成術

Q. 人工股関節手術や骨切り術の適切なタイミングというのはあるのですか?

愛知医科大学病院 廣瀬 士朗 先生A. 患者さんそれぞれで異なりますし、経過観察を続けている方も多くいらっしゃいます。レントゲンなど、画像上で変形が進んでいるからということだけで手術を選択するのではなく、「これだけの生活がしたい、ということを妨げるような痛み」が出てきたら手術の適応でしょう。

Q. よくわかりました。それでは、先生が目指されている人工股関節手術とは?

A. 長期耐用、具体的な数字でいえば30年以上、長もちする人工股関節手術を目指しています。当院では1974年から人工股関節を行っており、より良い長期成績を目指して手術方法の改良を重ねてきています。私自身はここ10年間、寛骨臼側はセメントを使用しないで人工関節を固定し、大腿骨側はセメントで固定するハイブリッドという方法を用いています。

Q. ハイブリッドを採用されているのはなぜなのですか?

A. 人工股関節はソケット(臼蓋側)とボール(骨頭)で構成されていて、骨になじむ金属のソケットを固定して、そのなかに軟骨の代わりになるポリエチレンが装着されています。それらは取り外し可能です。すなわち、もし人工股関節に不具合が生じたときに、ボールやポリエチレンを入れ換えれば問題解決することがあります。また大腿骨側も骨とセメントはがっちり固定されていますが、中に挿入するステムは抜き差し可能で、同じ形のものを差し入れることもできます。入れ換え手術(再置換術:さいちかんじゅつ)に柔軟に対応することができ、やりやすいのが利点だと思っています。

人工股関節置換術

Q. 手術といえば合併症が心配です。人工股関節手術にはどのような合併症があり、どのような対応策をとっておられるのでしょうか?

愛知医科大学病院 廣瀬 士朗 先生A. 主な合併症は脱臼、静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)、感染です。脱臼については、危険な肢位(しい:姿勢)をとらないように、術後にリハビリテーション科で丁寧に指導してもらっています。静脈血栓塞栓症と感染については日本整形外科学会のガイドラインを参考に、でき得る限りの予防対策をとっています。万一、合併症が起こった場合の対策として、静脈血栓塞栓症に関しては術後1週目で超音波エコーを行い、下肢静脈血栓を検索し、発見されれば血管外科へ依頼します。ここ10年は経験していませんが肺血栓塞栓症(はいけっせんそくせんしょう)が疑われたれた場合には、直ちに循環器内科へ依頼して円滑に対応できる体制を整えています。感染については先ほどお話したように感染症科と連携して治療にあたります。

Q. 標準的なリハビリのスケジュールを教えてください。

A. 手術翌日から車いす、1週間以内に歩行器、2週間前後で杖歩行、3週間で退院が当院の標準のスケジュールです。順調に進む場合は2週間で退院を許可しており、将来的には2週間を標準スケジュールにしたいと考えています。

Q. リハビリ期間が長引くということもあるわけですか?

愛知医科大学病院 廣瀬 士朗 先生A. 寛骨臼形成不全や再置換などで骨欠損(こつけっそん)が大きいときは、当院では細片化骨(さいへんかこつ)を圧迫充填して再建する手術を併行しますが、この場合には3週間で部分荷重開始、6週間で歩行器、杖歩行という慎重なスケジュールになります。細片化骨は患者さんご自身の骨を使いますが、使用できる骨がない状態の方には、同種骨といって、ボーンバンクで管理されている他の患者さんの骨を使うこともあります。今年(2015年)の夏から、当院でも院内バンクで管理できるようになりました。

Q. 手術を受けられた患者さんが退院後に気をつけられたほうがいいことはありますか?

定期検診 イメージA. 手術後の合併症や人工関節の不具合を早期発見するためにも、定期検診を必ず受けていただたくことです。退院後に静脈血栓塞栓症を発症することはほとんどありませんが、脱臼や感染は起こることがあります。退院後も脱臼肢位に注意が必要です。また人工関節周囲の痛み、特に安静時の痛み、それに発熱があれば感染が疑われますので、早期に受診していただきたいと思います。耐性菌になってしまいますと薬が効かなくて、せっかく入れた人工股関節を抜かなくてはいけないことも考えられますから。

Q. 感染の原因は何なのでしょうか?

愛知医科大学病院 廣瀬 士朗 先生A. 原因はいくつかあります。当院ではクリーンルームで手術を行いますが、100%無菌なわけではありませんので、目に見えない落下細菌が付着してしまうことが、残念ながら0%にはなりません。遅発性感染としては、手術のときに菌を持ちこんでいたのが数ヵ月経ってから活動を始めたり、虫歯や肺炎など他の部位からの血行感染が原因になったりすることもあります。

Q. 最後に、再置換術の恐れが出てきた場合は、どこの病院でも対応していただけるのでしょうか?

A. 再置換を行える施設は多いとはいえませんので、ご心配されている方もいらっしゃるかもしれませんね。当院では、人工股関節再置換術の多くは他院からの紹介です。紹介元で診療情報提供書の作成、受診予約をとってもらえば対応しています。

Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

廣瀬 士朗 先生からのメッセージ

※ムービーの上にマウスを持っていくと再生ボタンが表示されます。

取材日:2015.12.18

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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