先生があなたに伝えたいこと / 【清水 啓】自分の力で歩けることは素晴らしいことです。人生を前向きに、夢や希望が持てるように動機づけをしてあげるのも私の仕事だと考えています。

先生があなたに伝えたいこと

【清水 啓】自分の力で歩けることは素晴らしいことです。人生を前向きに、夢や希望が持てるように動機づけをしてあげるのも私の仕事だと考えています。

公益財団法人ときわ会 常磐病院 清水 啓 先生

公益財団法人ときわ会 常磐病院
しみず けい
清水 啓 先生
専門:股関節膝関節

清水先生の一面

1.最近気になることは何ですか?
 体重の増加が気になっています。北海道は美味しいものが多いので、冬は特に気をつけています。

2.休日には何をして過ごしますか?
 北海道は自然にあふれています。週末はノルディック・ウォーキングであちこち歩き回っています。10~20kmは歩きますね。

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先生からのメッセージ

自分の力で歩けることは素晴らしいことです。人生を前向きに、夢や希望が持てるように動機づけをしてあげるのも私の仕事だと考えています。

Q. 今回は股関節、膝関節の疾患についてお伺いさせていただきます。それぞれの疾患の代表的なものとその原因について教えてください。またどうして痛くなるのでしょうか?

公益財団法人ときわ会 常磐病院 清水 啓 先生A. 変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)が代表的な疾患です。主に老化が原因で、関節軟骨や靭帯などの軟部組織がアポトーシス(apoptosis)といって、自然と機能が低下して悪くなってしまいます。その原因はまだはっきりとは解明されていません。下肢(かし)の股関節と膝関節は、体重がかかる荷重関節ですから、もともと傷みやすいところです。人生80年、90年の時代になってきました。高齢化が進むことで、どちらかというと変形性膝関節症の患者さんが増えてきました。また、股関節では臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)といって、幼児期からの股関節の形態異常が原因の変形性関節症が代表的です。ほかの股関節疾患として、脊椎の変形から骨盤の位置が変わることから引き起こされるものや、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が原因となるものも多くなってきています。いずれにしても、日本人が長生きするようになってから起こってきている股関節疾患です。リウマチによる関節症は薬物療法が進歩して減少しています。

変形性膝関節症

正常、臼蓋形成不全

Q. 治療法について教えてください。すぐに手術になるのでしょうか?

公益財団法人ときわ会 常磐病院 清水 啓 先生A. 原則的に保存療法になります。私の場合、その部位に加療歴(かりょうれき:治療した経歴)がなければ、ある期間は保存療法を行うことにしています。その期間は3ヵ月間を目安にしています。
3ヵ月間とっているのは、患者さんがその期間に病気のことをよく知って、ご自身の状況を理解していただく期間です。また、治療する側としても患者さんの状況をよく知ることができる期間なのです。それは、その患者さんの整形外科的な状況だけでなく、内科的な状況や全身的な状況を把握するために必要です。仮に手術になっても、その後のリハビリに役立つ重要な情報になります。そういう意味で、保存療法の期間はとても大事だと考えています。その期間、患者さんに万歩計を携帯していただいて、1日の歩数などをチェックします。最近の万歩計は歩数だけでなく、歩く速度、たとえば速めに歩いているかどうかなどもわかります。痛みの度合いや日常生活の制限の情報をもとに、日本整形外科学会が設定している点数をつけて評価し、患者さんに自らの障害度を知ってもらいます。医師は治療に際して、患者さんがどの程度困られているのかを把握する努力を怠ってはいけないと思います。

Q. 保存療法の具体的内容について教えてください。

A. 痛みがひどければ、荷重関節ですから杖、靴などの歩行補助具を用いて荷重制限を行います。靴については、ご本人に合っていない靴を履かれている場合もありますので、適切な指導を行います。それから疼痛(とうつう)管理として痛み止めの薬の投与を行います。あとはリハビリとしての運動ですね。

Q. どんな運動が効果的なのでしょうか?

大腿四頭筋A. 患者さんによっても症状によっても変わりますが、膝については、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の訓練が高い効果があるといえます。脚を伸展挙上(しんてんきょじょう:伸ばした状態で上にあげること)するだけですので、手軽に毎日できますし、これが痛みを誘発することもありませんので、変形性膝関節症の保存療法の基本的な指導として行っています。保存療法で効果が出ている患者さんは、こうした筋力強化訓練をまじめに取り組まれている方が多いですね。筋力訓練は手術後も、まじめに取り組まれる方のほうが早い回復を見込めるという、はっきりしたデータがあります。股関節の筋力強化訓練はプール歩行などがありますが、どこまでどうやったら良いのかはわからない点も多く、難しいですね。
保存療法で特筆したいのは、4年ほど前から、当院では変形性関節症の患者さんに、ノルディック・ウォーキングの理論を取り入れた、ストック歩行という訓練を取り入れています。歩行状態の良くない、進行した股関節症、膝関節症の患者さんに、2本のストックを使って歩いていただくのですが、自覚的に歩くのが楽になり、歩容(ほよう:歩く姿)の改善や痛みの軽減に効果があるようです。ストックは北海道ですので、雪や凍結路を歩く際にも補助となります。このストックは病院からレンタルして、保存療法期間中は日常生活で積極的に使っていただきます。

公益財団法人ときわ会 常磐病院 清水 啓 先生Q. テレビでサメの軟骨が良いと宣伝されていますが。

A. 本当に効くという確証はありませんので、医薬品としては認可されていません。病院に来られるときには軟骨の機能がかなり低下した状態ですから、その状態では恐らく無効でしょう。現時点では、薬物療法で効果があるのは、膝についてはヒアルロン酸の注射しかないと思います。ただし、これも関節に潤滑油を差すようなもので、機能低下した軟骨が元に戻るわけではありません。

Q. 手術のタイミングについて詳しく教えてください。

A. 実は、このタイミングを決めることは難しいんです。保存療法をしていても症状がグレード3から4といって、進行期の後半から末期の状態が手術の対象となるのですが、3ヵ月あるいはそれ以上の何年も保存療法を行っていて、この対象になっても「手術をしたくない」とおっしゃられる患者さんが多いですね。手術に対する恐怖心を持たれたり、手術を理解してもらえない方が少なくありません。積極的に手術を受けようとされるのは、患者さんのまわりに理解度の高い方や実際に手術を受けられた方がいらっしゃる場合です。医師側から手術を勧めて、手術に踏み切られる患者さんは全体の半数ぐらいでしょうか。

Q. 手術すなわち人工関節の手術なのでしょうか?

A. いま、お話ししました通り、当院では手術を決断されるのは長い期間保存療法をした罹病期間の長い患者さんが多いので、必然的に最終的な手段としての人工関節置換術(じんこうかんせつちかんじゅつ)が多くなります。

全人工膝関節置換術

全人工膝関節置換術

全人工股関節置換術

全人工股関節置換術

Q. 最先端の人工関節置換術について教えてください。

A. 私は25年以上、治療に携わってきました。昔に比べてということでしたら、実際25年前に手術した人工関節でもゆるまない方が多くいるんですね。それでも、材質の進歩や、手術のしやすいタイプや器具の進歩は確かにあります。 ポリエチレン部分の進化で摩耗が少なくなり、人工関節を入れ換える頻度も減ってきています。具体的には、人工関節のサイズや形状の種類が増えたことや、正しい位置に正確に設置するための器具類の進歩があります。また、実際に固定する際のセメントも進化しています。

Q. 正確な位置に設置するために、どのような工夫がされているのでしょうか?

A. まずは術前にしっかりとした計画(術前計画)を立てます。昔はレントゲン写真だけでしたが、現在ではCTで立体的に把握しながら計画します。患者さんの患部の立体画像に、実際に設置する人工関節を入れるところまで事前にシミュレーションできます。人工関節をどの位置にどの角度で設置すれば良いか事前に確認しておき、手術中にはその画面を確認してその通りに設置します。手術する側の者としては、事前に3次元的に患者さんの骨を把握しておくことは、正確な手術をする上で大変重要なことだと思います。

Q. 実際の手術方法も昔に比べて変わってきているのでしょうか?

公益財団法人ときわ会 常磐病院 清水 啓 先生A. 10年くらい前から、アメリカを中心に切開の大きさを小さくするMIS(エムアイエス:最小侵襲手術)が始められました。私も、アメリカやドイツに行ってそれを学んできました。膝関節、股関節ともに皮膚、筋肉などの軟部組織をできるだけ切らないようにして人工関節を設置する手技を採用しています。しかし、小さく切開したとしても、人工関節を正確に設置できなければ意味がありません。実はMISが導入された当初は、切開の大きさだけにこだわって、肝心の設置がうまくいかない報告もありました。今ではそれを反省し、切開の大きさだけでない、たとえば膝関節だと、膝蓋骨(しつがいこつ)を反転しない方法で大腿四頭筋を切らずに手術する手技が考えられています。股関節でも前側方(ぜんそくほう)アプローチといって、外旋筋群(がいせんきんぐん)を切らずに手術できるので、脱臼のリスクを低くすることができるようになりました。この手技は仰臥位(ぎょうがい:あおむけの体位)で行えますので、手術中に人工股関節が正確に設置できているかどうかの確認がやりやすいこともメリットです。

Q. 脱臼しにくい手技での手術を行うことで、リハビリにも影響がありますか?

A. 万一、その患者さんが脱臼しやすい状態で手術を終えたとしても、手術中に人工股関節が脱臼しやすい肢位(しい:脚の位置)の確認を行えるので、リハビリの際に注意することができます。

Q. 入院期間はどれくらいでしょうか?

A. 股関節や片方の膝の手術の場合で3週間、両方の膝だと4週間位で、少しゆっくり目にしています。過去に、翌日からのリハビリを始めた際に手術の傷口のトラブルがあったことから、リハビリ開始時期を慎重に判断しています。

Q. 退院後に気をつけた方が良いことはありますか? また、自宅でできるリハビリがありましたら教えてください。

公益財団法人ときわ会 常磐病院 清水 啓 先生A. 軽いスポーツでしたら何の問題もありません。土地柄、農作業に従事されている方が多いのですが、農作業は3ヵ月間見合わせてもらっています。3ヵ月後に検診に来ていただき、そこで判断するようにしています。自宅でできるリハビリとしては、何も持たずに片脚起立(へんきゃくきりつ:片あしで立つ)を5秒間行う、体幹部のトレーニングがとても大事だと思います。人工関節手術を受けられる患者さんは、1関節だけでなく他の関節の罹患、特に高齢者は腰部にも疾患がある方が多いのです。体幹部の疾患は、歩行バランスの悪化につながります。人工関節手術を受けて、確かに手術1年後は歩容もきれいになった、患者さんの満足度も高くなったけれども、意外と転倒しやすくなったなどの自覚症状がある場合は、実は他の関節への影響や脊椎にかかるストレスの問題が根底にある場合もあります。
これを改善するために、そういった体幹部のトレーニングをあえてするという意識を持っていただきたいのです。先ほど保存療法のところで少し触れましたが、ノルディック・ウォーキングも積極的に推奨しています。2本のストックを持って歩くので転倒することなく安全にできますし、なにより歩行の際に姿勢がすごく良くなります。もともと歩容が良くない方は手術をしてもなかなか正しい姿勢を取り戻せません。そのような方、歩き方の下手な人が、人間が本来持っていた歩き方を学習する良いツールとして、ノルディック・ウォーキングは大変役に立ちます。

Q. 先生はノルディック・ウォーキングに大変お詳しいのですね。

A. ドイツに留学した際に初めて見ました。ドイツはウォーキング天国で、多くの方がされています。ノルディック・ウォーキングは競技スポーツではなく、健康スポーツです。とても楽しくて、インストラクターの資格も取りました。北海道ではスキー人口が多く、たくさんの方がストックを使うのに慣れていますので、リハビリに取り入れやすいと考えたのです。実際、患者さんの評判が良かったので、そのまま継続して取り入れています。

公益財団法人ときわ会 常磐病院 清水 啓 先生Q. 先生が患者さんを治療される際に最も大切にされていることは何でしょうか?

A. 手術をするほどの症状のある患者さんは、良くなったらまたこれをしようとか、こんなことに挑戦してみたいという目的を持つことが大切だと思います。それがある方のほうが、リハビリも順調に進み、術後の経過も良いのです。つまり、人生を前向きに、夢や希望を持つように動機づけをしてあげるのも私の仕事だと考えています。

Q. 最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

清水 啓 先生からのメッセージ

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取材日:2015.1.23

*本ページは個人の意見であり、必ずしも全ての方にあてはまるわけではありませんので詳しくは主治医にご相談ください。

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